ERC第4戦ラリーリエパヤ(グラベル)は6月17〜18日、ラトビアで開催され、地元ラトビアのマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)が前戦ポーランドに続いての2連勝を飾った。
昨年のERCリエパヤで圧勝したセスクは現在23歳。来季はWRCとして開催されるこのイベントでの連覇を果たし、2024年は母国開催のWRCに参戦するだけでなく、ラリー1マシンでのエントリーを目指している。ラリー2マシンからハイブリッドの最高峰マシンにステップアップすることは大きなチャレンジとなるが、セスクは前戦ポーランドで披露した傑出したパフォーマンスに続き、今回も豊富な才能を発揮した。
今回のリエパヤはコンディションが刻々と変化し、まず開幕ステージのツクム(17.12km)はあまりにダストがひどいことから、続けて再走する予定だったSS2をキャンセルせざるを得ない状況に。このSS1でもセスクは、自分がどこを走っているのか分からないと表現する状態の中で16.4秒の大差をつけてのベストタイムをマーク。その後は、リードを広げていった。
「この1本はクレイジーだった」とSS1をトップタイムで走り切ったセスクは語った。
「ステージの半分は、どこがステージでどこにコーナーがあるのか分からなかった。(沿道にある)柱は見えたので、それを頼りに走っていた。クラッシュしかけた場所もあったし、まったく見えない場所もあった。自分のコ・ドライバーは、30m手前でコーナーをコールするのだけど、どこにコーナーがあるかは感じるしかなかった」
SS3ではダストの代わりに雨が降り始めたが、セスクの強さに揺るぎはなかった。ここから3本連続でベストタイムをマークすると、この日最後にリエパヤに設定されたスーパーSSを迎えるまでに、2番手で追うヘイデン・パッドン(ヒョンデi20Nラリー2)に31.4秒の大差を築いた。
全ステージ制覇も達成するのではという勢いを見せていたセスクだったが、大雨に見舞われた路面では、走行順が遅くなったことで結果的に不利となった。それでも、28.3秒のリードを握って迎えた最終日の4SSは、とにかくセスクと相性が良かった。午前中の2本は、雨の中でもベストタイムを並べてリードを34.2秒に広げると、1回目の走行で轍が掘れた2ループ目は慎重に走行。しかし、パッドンも同じアプローチでの走行を選択したため、セスクはリードを41.4秒に広げることになった。
最終パワーステージでは確実に優勝を目指して抑えることもできたセスクだったが「フルシーズンの戦いを視野に入れているし、このステージを制したら5ポイントを獲得できるのだから、もちろんプッシュするしかなかった」と語り、シケインで痛恨のミスを喫したパッドンにわずか0.001秒差で競り勝ってパワーステージのトップタイムをたたき出した。
「本当に特別な週末になった。チームMRFや支えてくれたみなさんに感謝したい」とセスクはフィニッシュで笑顔を見せた。母国ラウンドで最大ポイントを獲得したセスクは、シリーズ折り返しの時点で、選手権争いでは3戦連続で2位フィニッシュとなったパッドンに30ポイント差にまで近づいている。(今季のERCは全8戦中、ベスト7戦のポイントが有効)
3位は、シトロエンC3ラリー2のグリップ不足に悩まされたマッズ・オストベルグが、開幕戦のファフェ以来となるポディウムに上がった。
コ・ドライバーに初めてジェームス・フルトンを迎えての参戦となったジョシュ・マクリーン(i20Nラリー2)は、4位でフィニッシュ。モータースポーツ・アイルランド・アカデミーのマクリーンは5番手でスーパーSSを迎えたが、4番手を走行していたロベルト・ビルベスがフォード・フィエスタ・ラリー2 MkIIのミスファイアによりスローダウン。これで順位が入れ替わってのフィニッシュとなった。
(Graham Lister)
ERCリエパヤ 最終結果
1 M.セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2) 1:22:47.3
2 H.パッドン(ヒョンデi20Nラリー2) +41.4
3 M.オストベルグ(シトロエンC3ラリー2) +1:04.0
4 J.マクリーン(ヒョンデi20Nラリー2) +1:23.9
5 R.ビルベス(フォード・フィエスタ・ラリー2 MkII) +1:27.8
6 M.フランチェスキ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:29.6
7 M.ヘイッキラ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +1:38.5
8 G.リンナマエ(ヒョンデi20Nラリー2) +1:51.5