WRC第7戦サファリ・ラリーケニア(グラベル)、6月21日(水)に行われたシェイクダウンで、勝田貴元はトヨタGRヤリス・ラリー1で転倒。リヤセクションに大きなダメージを負ってしまったが、トヨタ・ガズーレーシングのメカニックが修復し、22日(木)にスタートするラリー本番には間に合うことになった。
「僕のミスにより、チームを想定外に忙しくさせてしまいました。マシンの状況は見た目にはかなりひどいようでしたが、エンジニアの説明によると、外装のダメージほど内部の損傷はひどくはなく、ロールケージも無事でした。木曜日からのラリーもスタートできます」と、勝田はメカニックへの感謝を語った。
このラリーでは2021年に2位、2022年は3位と表彰台に上がっている勝田。レッキを終えて、ステージの状況を次のように説明する。
「コンディションは、かなりバラつきがありました。昨年からオーガナイザーが修復した箇所もあれば、手は入れたものの岩を置いただけなどきちんと直せていない場所も存在します。一概に良くなった、悪くなったとは言えないのが正直なところです。ステージによっては本当にラフで、どこを走ってもパンクする可能性があるセクションも。それが土曜日の『Sleeping Warrior(SS10/SS13)』で、その中の2kmくらいは岩肌しかないような場所です。もう運だけという感じですね(笑)。あと、日曜日の朝1本目に走る『Malewa(SS14/SS17)』もかなり危険です」
2023年はワークスチームのテストが厳しく制限されているため、サファリに向けた特別なテストは実施できなかったという。
「直近のグラベル3戦(ポルトガル、サルディニア、サファリ)に関しては、サルディニアで行ったテストのみとなりました。一応、昨年と一昨年のデータがあるので、それを使ってエンジニアが開発を進めたりダンパーを調整したり、色々とやってくれました。それもあって、クルマは昨年以上に乗りやすくなっています。後は、コンディションの変化にどうやって対応するかにかかってきます」
前述のように、このタフなサファリにおいて、勝田は2年連続で表彰台フィニッシュを果たしている。
「プレッシャーは特にありませんが、自分自身をノせていきたいです。昨年と一昨年は、遅いペースでずっと粘っていたから表彰台を獲れたわけではなく、攻めるべき場所でしっかりと速いタイムを出せたことが大きかった。攻めるべき場所と、クルマやタイヤを労わるべき場所をしっかり見極めて、バランスよく走ることが必要だと考えています。今年はこれまでのサファリ以上に、そのメリハリが重要になってきそうです」
「距離も長いラリーですから、『注意深くいく』と簡単には言えますが、慎重に走りすぎると5kmのセクションでもあっという間に10~20秒も遅れてしまいます。プッシュをしつつ、運を頼らないで走り切る。その見極めが必要です」
「今回、天候がまったく読めないので、具体的な順位の目標を掲げるのは難しいです。誰がどうなるかまったく分からないので、生き残れば絶対に良いポジションにつけられると思っています。昨年、一昨年とポテンシャルを発揮できたステージでしっかりタイムを出せれば、トップに喰らいついていけるはずです。とにかく、クレバーに走りたいと思っています」
(Keiko Ito)