新城市は6月29日、2004年からこれまで20年間にわたって続けられてきた新城ラリーが、2023年大会をもって閉幕することを明らかにした。近年メイン会場となってきた県営新城総合公園のキャパシティや安全面が要因という。
これまでラリーの運営を担ってきた新城市産業振興部観光課の横山和典氏は、「市としては、できれば開催継続を望んでいたのですが……。やはり会場(県営新城総合公園)の問題となってしまいますと、市としてあれほどの規模の代替地がないのです。最近ではクルマの性能も上がっており、安全性を考えて園内の道路を広くするということも難しく、サービスパークとして使っていた駐車場を拡張することも現実的ではない、というのが現状です」と厳しい状況を語っている。
続けて、「我々としても、小規模だった頃から20年間続けてきたものですから、そうした経験を活かせることを今後考えていきたいですね。ラリーそのものは新たなエリアでの開催となるとのことですが、これまで新城ラリーが20年続いてきたことが礎となっている点を伝えていっていただけたらと思います」と締めくくった。なお、現在WRCラリージャパンのコースとして含まれている新城市内の観戦エリアについては、鋭意準備を進めているとのことだ。
また、オーガナイザーを務めたモンテカルロオートスポーツクラブ(MASC)の勝田照夫会長は、取材に対して次のように語っている。
「(閉幕の)最も大きな理由は、やはり県営総合公園自体のキャパシティと、雨天時の足場の悪さです。新城市には5月21日のしもやまラリーを開催している時にご相談しました。皆さんと色々な話をした結果、現状維持でラリーを開催することは可能ですけれども、より広い範囲で多くの方に知っていただこうとか、エンターテインメント的な部分を考えていくとなると、キャパシティの問題で厳しいということです」
今後は愛知県内の別地域で新たなラリーを作り上げる計画でおり、詳細は近日発表されるとのこと。
「ラリーとしては全日本選手権の一戦として計画しています。せっかくですから、広い地域を舞台としながら、より地域密着型・地域性のあるラリーという新しいチャレンジをしようと」と、勝田氏は展望を語る。
2004年にスタートした新城ラリーは、新城市が『DOS(Do Outdoor Sports)地域再生プラン』を政府に申請、地域再生法第1号としての認可を受けて始まった。オーガナイザーであるMASC勝田氏とともに官民一体となった取り組みは年を追うごとに規模を拡大、2007年からは全日本ラリー選手権として開催され、シリーズ屈指の大規模イベントへと成長していった。現在のWRCラリージャパン開催にもつながる、愛知県エリアにラリーを根づかせる大きな契機となったと言えるだろう。後日発表となる新たなラリーにも期待したい。