第8戦ラリーエストニアを終えたWRCは8月3日〜6日、同じく高速グラベルラリーである第9戦ラリーフィンランドを迎える。
WRC創設の1973年からカレンダーに加わっていたラリーフィンランドは、今回が72回目の開催。主催者であるAKKスポーツは毎シーズン、アイテナリーに変化をつけていくことをポリシーとして掲げており、今回も2022年のルートから27%を変更した。約3500人のボランティアが支えるこのイベントには、この6年で最も多い68台がエントリーしている。ラリー1勢は9台、ラリー2マシンは36台、ラリー3は14台、ラリー4が8台参戦するほか、ラリー2キット規定のマシンも1台エントリーしている。
話題を集めているのは、トヨタのヤリ‐マティ・ラトバラ。WRC通算18勝のうち、3回がフィンランドでマークしたものだ。2021年からトヨタ・ガズーレーシングWRTのチーム代表を務めているが、自身のWRC参戦は2020年のスウェーデン以来で、ラリー1マシンでの競技参戦は初めてとなる。また昨年、17歳でラリーフィンランドにデビューしたユストゥス・ライコネンも再び挑む。元F1ドライバーのキミ・ライコネンを叔父に持つユストゥスは、プジョー208ラリー4をドライブする。
■ラリー1マシン勢エントリー状況
トヨタは、選手権リーダーのカッレ・ロバンペラが、初の母国WRC優勝を目指して挑む。2021年のラリーフィンランド覇者であるエルフィン・エバンス、イベント本拠地であるユバスキラ在住の勝田貴元もマニュファクチャラーズ選手権ポイント対象ドライバーとしてノミネートされている。ラトバラは、4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドを駆る。
ヒョンデは、ティエリ・ヌービル、エサペッカ・ラッピのほか、前戦エストニアで待望のラリー1マシンデビューを果たしたテーム・スニネンが、母国ラウンドでも引き続きヒョンデi20Nラリー1ハイブリッドで戦う。
Mスポーツ・フォードは、2022年覇者のオィット・タナック、ピエール‐ルイ・ルーベをフォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1のドライバーにエントリーしている。
■サポートカテゴリーエントリー状況
WRC2部門筆頭は、PHスポーツのヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)。サルディニア、エストニアと参戦した2戦で連勝を飾ったアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)も選手権争いでは2番手に浮上して迫っている。フォード・フィエスタ・ラリー2勢での最上位はアドリアン・フルモー。2022年チャンピオンのエミル・リンドホルムは、ヒョンデi20Nラリー2にスイッチしての2戦目を母国ラウンドで迎える。フィンランドの若手でWRC3で通算4勝をマークしたルーペ・コルホネンは、WRC2にステップアップを果たす。
■ラリールート
ラリーは8月3日の午前に4.48kmのRannankylaステージでシェイクダウンを行った後、夕方にはユバスキラのミックス路面ステージ、Harjuで競技が始まる。
金曜日は、ユバスキラの北東部に108.24kmが設定。ユバスキラのサービスを挟んで4SSを2ループした後、夕方には再びHarjuを走行する。注目は、Myhinpaa(SS4/SS8)の復活で2015年以来の設定だ土曜日はイベント最長の160.08kmが設定。同じくサービスを挟んで4SSを2ループする構成となる。Vekkula(SS14/SS18)はイベント最長の20.65km。Vastila(SS11/SS15、18.94km)は新ステージだ。
日曜日は2回ずつ走行する2本での構成となる51.64km。タイヤフィッティングゾーンとポディウムセレモニーが行われるヒモスを中心に走行する。Himos-Jamsa(9.26km)の2回目の走行はパワーステージに指定されている。
■ラリーデータ
開催日:2023年8月3日〜6日
サービスパーク設置場所:ユバスキラ
総走行距離:1471.63km
総ステージ走行距離:320.56km(SS比率21.8%)
総SS数:22
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ(#69)
エルフィン・エバンス(#33)
勝田貴元(#18)
[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
エサペッカ・ラッピ(#4)
テーム・スニネン(#3)
[Mスポーツ・フォードWRT]
オィット・タナック(#8)
ピエール-ルイ・ルーベ(#7)
■2022年ラリーフィンランド最終結果
1 O.タナック/M.ヤルベオヤ(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド) 2:24:04.6
2 K.ロバンペラ/J.ハルットゥネン(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +6.8
3 E.ラッピ/J.フェルム(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +1:20.7
■近年のウイナー
2022年 O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド)
2021年 E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
2019年 O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC)
2018年 O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC)
2017年 E.ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)