2023年シーズンWRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は、8月5日(土)に3日目の8SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが首位の座をキープ。32.1秒差の2番手にヒョンデのティエリー・ヌービル、1分27秒8差の3番手に3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブする勝田貴元がつけている。
ラリー最長のルートを走る土曜日のルートは、ユバスキラ南西部の4ステージを中間サービスを挟んでループする8SS、160.68km。レッキを終えた多くのクルーが、鍵となるステージに挙げた18.94kmの「Vastila(SS11/SS15)は、今年から導入された新ステージだ。
ユバスキラのサービスパークはスタート時点で霧雨が降っており、1日をとおして降雨も予報されている。前日、足まわりを壊したMスポーツ・フォードのピエール-ルイ・ルーベがリスタートした一方、エンジントラブルのオィット・タナック(Mスポーツ・フォード)、マシンのダメージが大きかったエサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)とカッレ・ロバンペラ(トヨタ)は再出走を断念した。
ウエットコンディションとなったオープニングのSS11、トップのエバンスが、ヌービルに4.6秒をつけるベストタイム。12.2秒差のSS3番手タイムにヒョンデのテーム・スニネン、ペースノートに問題があったと振り返った勝田は13.0秒差のSS4番手で続く。
雨は止んだもののウエットが残ったSS12は、エバンスがヌービルを0.4秒しのぐ連続ベストをマーク。スピンを喫した勝田は、コース復帰にリバースギヤの使用を余儀なくされ、ベストのエバンスから21.5秒遅れたSS6番手タイム。7.7秒差のSS3番手タイムでまとめたスニネンが、勝田を捉えて総合3番手に順位を上げた。
雨が残り、滑りやすいコンディションとなったSS13とSS14もエバンスが一番時計を並べ、午前中に行われた全ステージでベストタイムを記録。必死に追い続けたヌービルだったが、その差は17.7秒にまで拡大した。どちらのステージも3番手タイムで走行した勝田は、総合3番手につけるスニネンとの差を1.0秒に縮めている。首位から2分33秒3差の5番手は、TGR-WRT代表のヤリ-マティ・ラトバラ。「トヨタのクルーのことを心配しながら走っているよ(笑)」と、肩をすくめた。
ユバスキラでのサービスを挟んだ、午後のセクション。ステージを走行する段階では雨が上がり、路面は少しずつ乾き始めてきた。SS15は午前中の走行によりライン上には深い轍が刻まれるなか、完璧なドライビングで走り抜けたエバンスが、ヌービルを7.8秒も引き離すベストタイム。10.3秒差のSS3番手タイムで走行した勝田がスニネンをパスし、総合3番手に順位を戻した。
続くSS16、エバンスがヌービルに4.5秒差の連続ベスト。僅差の3番手争いは、スニネンがエンジンの不調を訴えた勝田に1.1秒差をつけ、再び総合3番手の座を獲り返した。SS17もエバンスがヌービルを上まわり、7連続ベストタイムを刻む。勝田はエバンス、ヌービルに続くSS3番手タイムで、スニネンとの差を0.1秒差としている。
この日を締めくくるSS18、勝田がヌービルに1.6秒、エバンスに2.3秒差をつける今大会2度目のベストタイム。スニネンは6.5秒差のSS4番手タイムに留まり、勝田がスニネンに6.4秒差をつける総合3番手で、ラリー最長の1日を終えた。
首位のエバンスは8SS中7SSを制する圧巻のスピードを披露し、スタートの時点で6.9秒だったヌービルとの差を32.1秒にまで拡大。「フィーリングが良かったし、クルマもまったく問題なかった。プッシュする自信もあったから、クリーンなドライビングに集中することができたよ。明日も距離が残っているし、このポジションをキープできるよう頑張るよ」と、笑顔を見せた。
競技4日目はSS19〜SS22の4SS、SS走行距離は51.64km。オープニングのSS19は、日本時間8月6日の13時53分にスタートする。
WRCフィンランド SS18後暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:08:07.0
2. T.ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) +32.1
3. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:27.8
4. T.スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1) +1:34.2
5. J-M.ラトバラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +3:39.5
6. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:05.0
7. S.パヤリ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +8:17.5
8. A.フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2) +8:51.4
9. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:42.7
10. A.ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +10:02.6