2023年シーズンWRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)は、8月6日(日)に最終日の4SSを走行し、トヨタのエルフィン・エバンスが今シーズン2勝目を獲得した。2位にはヒョンデのティエリー・ヌービル、激戦の3位争いはトヨタの勝田貴元が制した。
日曜日のルートは、ユバスキラ南西部の2ステージをリピートする4SS、51.64km。SS21後、ユバスキラから南西に50kmほど離れたヒモスでのリグループ&タイヤフィッティングゾーンを挟み、パワーステージの「SS22 Himos-Jamsa 2(9.26km)」を走行する。
首位のエルフィン・エバンス(トヨタ)は、最終日を前に総合2番手につけるヒョンデのティエリー・ヌービルに対し、32.1秒のアドバンテージを確保。エバンスは「けして長くはないが、そこそこの距離は残っている」と慎重なコメントを残して、ユバスキラのサービスを後にした。勝田貴元(トヨタ)とテーム・スニネン(ヒョンデ)による3番手争いは、6.4秒差とこちらはまだ分からない。
オープニングのSS19、「今日はもうクルージングモード」とヌービルが語る一方、エバンスはスニネンに1.0秒差をつけるベストをマーク。スニネンは3番手タイムの勝田に1.9秒差をつけ、その差を4.5秒に縮めている。続くSS20は、勝田が今ラリー3度目となる一番時計を刻み、リヤの挙動への不満を訴えたスニネンとの差を7.2秒に広げてみせた。
SS21はエバンスがヌービルに4.5秒差のベスト。最終ステージを前にヌービルとの差を38.2秒に拡大した。依然としてリヤの挙動が安定しないスニネンだったが、いくつかミスを喫したと振り返った勝田を0.9秒しのぐ3番手タイム。最後に残された9.26kmで勝田との6.3秒差を逆転するのは、苦しい状況となってきた。
そして迎えた最終ステージ、SS22がスタート。まずはWRC2の上位陣がアタックを開始した。この部門では、序盤首位につけていた後にパンクから追い上げたシュコダ・ファビアRSラリー2のサミ・パヤリが首位でスタート。このステージを部門5番手タイムで堅実に走り切り、母国ラウンドで自身にとって初めてのWRC2優勝を飾った。
ラリー1勢は、Mスポーツ・フォードのピエール・ルイ・ルーベからスタート。この日は前日からエンジンパワーが上がらないトラブルに見舞われており、この日も攻めるのはパワーステージだけと明かしていたが、1回目の走行で勝田がマークしたベストタイムを1.1秒上回り、ベンチマークとなった。4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1を駆るヤリ‐マティ・ラトバラは、ルーベのタイムを0.5秒上回り、総合5位の座を固めた。そして注目の3位争い、まずスタートしたスニネンはラリー1勢では唯一、スペアタイヤなしでアタック。ラトバラのタイムを6.3秒上回るタイムをマークして、勝田のフィニッシュを待つ。その勝田は、しっかりペースをコントロールし、スニネンとのギャップを4.3秒残して3位の座を勝ち獲った。ヌービルはスニネンのタイムを1.4秒上回り、2位を確定。そして最後に登場したエバンスは、完全集中の見事な走りを見せてヌービルを0.9秒上回るベストタイムを叩き出し、鮮やかに今季2勝目を飾った。
最終SS終了時点での総合順位は、エバンス、ヌービル、勝田、スニネン、ラトバラ、選手権ノミネート外で参戦したオリバー・ソルベルグ(シュコダ)、パヤリという順に。パワーステージはエバンス、ヌービル、スニネン、勝田、ラトバラがトップ5に入り、ボーナスポイントを獲得した。この第9戦を終えて、ドライバーズランキングは、このラリーはリタイアに終わったトヨタのカッレ・ロバンペラが170点で首位をキープ。今回、最大ポイントを獲得したエバンスは、145点とし、ポイント差を25に詰めている。ヌービルが134点、タナックが104点、セバスチャン・オジエが98点で続いている。マニュファクチャラーズランキングはトヨタが378点、ヒョンデが311点、Mスポーツ・フォードが205点となった。
次戦は1ヶ月のブレイクを挟んで、9月7〜10日に開催される第10戦アクロポリス・ラリーギリシャ。マシンに厳しいラフグラベルラリーとして知られる伝統の一戦で、厳しい暑さの中でツイスティな山岳ステージに挑む過酷なラリーだ。
WRCフィンランド 暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:33:11.3
2. T.ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) +39.1
3. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:36.7
4. T.スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1) +1:41.0
5. J-M.ラトバラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +4:09.4
6. O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:33.6
7. S.パヤリ(シュコダ・ファビアRSラリー2) +10:03.7
8. A.フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2) +10:37.5
9. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +11:11.5
10. A.ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +11:35.2