WRC第10戦アクロポリス・ラリーギリシャは9月9日、SS7〜12の走行が行われ、波乱の展開の中、トヨタ勢はカッレ・ロバンペラが首位に浮上。エルフィン・エバンスも3番手で続いている。セバスチャン・オジエはデイリタイアとなった一方、4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドをドライブする勝田貴元は、総合6番手の座を守って最終日を迎える。
(以下、チームリリース)
WRC 第10戦 アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ3
アクロポリスの競技3日目は大荒れの展開に
ロバンペラが首位に立ち、エバンスが総合3位につける
9月9日(土)、2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」の競技3日目デイ3が、ギリシャのラミアを中心に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組 (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)が総合1位に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位につけました。なお、SS11終了時点でトップに立っていた、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)はデイリタイアを喫し、TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は、総合6位につけています。
アクロポリス・ラリーのデイ3は、ラミアのサービスパークを中心に、その南側エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。4日間で最長となる合計141.52kmのステージは、完全にドライなステージもあれば、週前半の豪雨の影響がまだ残り、湿っていたりぬかるんでいるステージもあるなど、様々な路面コンディションの道での戦いになりました。ステージによっては非常に荒れた区間も多くあり、そのため多くのドライバーがクルマやタイヤにトラブルを抱え、一日を通して順位が激しく入れ替わる、荒れた展開のデイになりました。
前日のデイ2で総合2位につけたオジエは、首位のティエリー・ヌービル(ヒョンデ)と激しいトップ争いを展開。オープニングのSS7でオジエは2番手タイムを記録し、首位に立ちました。続くSS8ではヌービルが首位に返り咲きましたが、SS10でクルマにダメージを負いステージの途中でストップ。その結果オジエが再びトップに立ち、総合2位のロバンペラに12.4秒の差を築いてデイ3最終のSS12に臨みました。ところが、そのSS12でオジエはサスペンションにダメージを負い、自力での修復を試みるもデイリタイアに。チームはサービスパークでクルマを修復し、明日の最終日デイ4での再出走を目指します。オジエのデイリタイアにより、8ステージのうち5ステージでベストタイムを刻んだロバンペラが首位に立ち、総合2位のダニ・ソルド(ヒョンデ)に2分04.4秒差を築いて一日を締めくくりました。
一方、前日総合4位のエバンスは、確実性の高い走りを続けていましたが、午前中最後のSS9でラジエターにダメージを負い1分以上を失いました。それでも、ハイブリッドシステムのEVモードを活用してステージを走りきり、ミッドデイサービスでクルマを修復して午後の3本のステージを走破。総合2位のソルドと5秒差の総合3位につけています。なお、勝田はSS10が終了した時点では総合5位につけていましたが、SS11の途中での2回のタイヤ交換により5分程度タイムロス。それでも総合6位で一日を終えました。
カイ・リンドストローム (スポーティングディレクター)
タフでチャレンジングな一日になるだろうと予想していましたが、まさにその通りの一日でした。特に午後の再走ステージは、クルマにとっても選手にとっても厳しいものでした。まず不運にもヌービルがリタイアし、最終ステージでは悲しいことにセブのクルマがスロー走行するシーンを目にすることになりました。そこまで彼は非常にいい位置につけていただけに、本当に残念です。その一方で、カッレにとってはいい一日になりました。彼はまたしても賢い走りを見せ、全てが問題ないと感じた時にプッシュしていました。明日は走行距離が短いですが、それでもこのようなラリーでは何かが起こる可能性は十分にあります。カッレとエルフィンのふたりが表彰台に立つことを願っています。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
今日はいい一日だったと思います。速く走ることができましたし、このようなラリーではとても重要な安定性もありました。今日、実際に目にしたように、いろいろなことが起こり得る一日でしたが、それがチームメイトに起こってしまったのは残念です。セブはいい戦いをしていましたが、自分はチャンピオンシップのことも考えなければならなかったので、常にリスクを冒し過ぎないようにしていましたが、それが奏功して良かったです。自分のペースにも満足していて、ハードにプッシュしながらも、ラフなところでは少しペースを緩めてクレバーに走りました。もちろん、明日もまたトリッキーな一日になると思うので、クレバーであり続ける必要がありますが、最後まで上手く行くことを願っています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
大変な一日でした。一日を通して、コンディションが常に変化していました。ミッドデイサービス前の、午前中最後のステージではクルマにトラブルが起こってしまったので、ラリーを続けられたのはラッキーだったといえます。クルマをサービスに戻すにあたってマージンはあまりなかったのですが、それでも何とかやり遂げることができました。タイムを失ってしまったのはもちろん残念ですが、まだ戦いに残ることができているのは良いことです。午後は路面がところどころ荒れていたので、できるだけクルマをいたわって走りました。今晩、この場所にいることができて嬉しいですし、明日もまだ戦いは続きます。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
今日は朝から既にチャレンジングなスタートとなり、最初のステージではぬかるんだセクションがありましたし、午前最後のステージはかなり荒れていました。午前のループはもっと上手く走れたとは思いますが、特に大きな問題なく走り終えることができたので満足しています。しかし、午後のループではいろいろな出来事がありました。ティエリーがトラブルに見舞われた場所では、私もクルマに衝撃を受けてダメージを負ってしまったのですが、なんとかいいペースで走り続けることができました。そして、最終ステージ前のリグループを出たところでは、ハイブリッドが効かなくなってしまいました。さらに、ステージを数キロ走ったところでまずリヤタイヤの空気が抜け始め、その後さらにもう1本パンクしてしまいました。ゆっくり走り続けようとしたのですが、不運にもヘアピンの出口で小さな異音がして、左リヤのアップライトが壊れてしまいました。何とか自分たちで修理をしてクルマをサービスに戻そうと全力を尽くしたのですが、残念ながら叶いませんでした。
アクロポリス・ラリー・ギリシャ デイ3の結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h29m40.5s
2 ダニ・ソルド/カンディド・カレーラ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +2m04.4s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +2m09.4s
4 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (フォードPUMA Rally1 HYBRID) +4m49.7s
5 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +6m16.2s
6 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +7m02.2s
7 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m51.1s
8 ガス・グリーンスミス/ヨナス・アンダーソン (シュコダ Fabia RS Rally2) +8m51.5s
9 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +9m47.6s
10 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +9m56.3s
(現地時間9月9日19時30分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
明日のステージ情報
競技最終日となる9月10日(日)のデイ4は、ラミアのサービスパークを起点に、西北エリアで3本のステージを走行。伝統的な「タルザン」のステージを1本走った後、当初の予定よりも距離が短縮された「グラムメニ」を2回走ります。そのうち、最終ステージとなる再走のSS15は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。3本のステージの合計距離は41.37km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は242.46kmが予定されています。