全日本ラリー高山:シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が優勝、今季の舗装戦を全制覇 – ページ 2 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリー高山:シュコダ・ファビアR5のヘイキ・コバライネン/北川紗衣が優勝、今季の舗装戦を全制覇

©Jun Uruno / JN-1クラス首位を走るヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)

■レグ2
ラリー2日目の10月15日は、高山市の北東部に広がる山間部のステージが舞台。「駄吉下り(6.24km)」、「大山線(5.11km)」、「無数河-アルコピア(6.08km)」の3SSを、サービス挟んでループする6SS、34.86kmを走行する。予報どおり夜半から降り始めた雨により、コンディションはフルウエット。多くのクルーは足まわりを雨用のセッティングに変更し、高山市位山交流広場のサービスパークを後にした。

ラリー初日を終えて、JN-1クラストップのヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)と勝田範彦/木村裕介(トヨタ・GRヤリスJP4-ラリー2)の差は5.2秒。3番手の福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)は45.5秒差と大きく離れており、優勝争いはコバライネンと勝田に絞られたと言っていいだろう。

JN-1クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) / Jun Uruno

オープニングのSS7、コバライネンはフルウエットの路面にドライ寄りのタイヤが合わず、ウエットタイヤを履いてスタートした福永から9.5秒も遅れた4番手タイムに沈む。これで6.2秒差の2番手タイムで走行した勝田との差は、一気に1.9秒にまで縮まった。SS8とSS9も福永が制し、午前中のセクションで3連続ベストタイム。比較的雨量が少なかったSS9は、ステージ前半こそ快調に飛ばしていたコバライネンだったが、終盤の左ヘアピンで痛恨のスピン。コース復帰にも手間取り、福永から11.8秒、2番手タイムの勝田から6.7秒も離された5番手タイム。これで勝田がコバライネンをかわし、4.1秒差をつけてトップの座に返り咲いた。ウエット路面で抜群のスピードを披露した福永は、首位勝田との差を28.0秒にまで縮めている。総合2番手に順位を落としてコバライネンだが、「まだトップとは4秒ちょっとだし、問題はない。勝つために、午後はフルアタックをするよ」と、逆転勝利を諦めていない。

中間サービスの段階では一時晴れ間ものぞき、路面コンディションは回復傾向に。コバライネンはSS10で勝田に2.5秒差をつけ、この日初となる一番時計をマーク。続くSS11でも勝田を4.2秒も上まわり、首位の座を奪還した。ラリーの最後を締めくくるSS12は、スタート直前に雷雨を伴う激しい雨が襲った。コバライネンはフルウエットのなか、ダウンヒルでポールにマシンをヒットさせながらも、勝田を6.0秒も突き放す圧巻のベストタイム。終わってみれば2位の勝田に8.6秒差をつけて、シーズン5勝目を手にした。33.9秒差の3位は、ウエットとなった最終日に3度のベストタイムを記録した福永。2分04秒5差の4位に新井大輝/金岡基成(プジョー208ラリー4)、2分29秒1差の5位に新井敏弘/保井隆宏(スバルWRX S4)、2分30秒2差の6位に眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスGR4ラリーDAT)が入った。

N-1クラスの表彰式。左から木村、勝田、北川、コバライネン、齊田、福永 / Naoki Kobayashi

2023年シーズンのターマックラリー全戦を制覇したコバライネンは「今回のラリーは初日に燃料系のトラブルに見舞われたり、今朝はタイヤチョイスを失敗したり、最終SSでポールにマシンをヒットさせたりと、本当に色々なことがあった。タイトで厳しいラリーだったけれど、勝てたことはうれしいし、ラリージャパンに向けても良い収穫になった。来シーズンもJRCでのプログラムを続けたいし、新しいマシンに乗れるといいね」と、満面の笑顔で振り返った。

コバライネンの前に敗れた勝田だったが「今日の午後はちょっと根性がなかったですね(笑)。ただ、丹後までは舗装路で苦労しましたが、ハイランドでは楽しいクルマに仕上がったと実感しました。これまでの違和感はずいぶん解消されたと思います」と、ターマックでの成果を語っている。

JN-2クラス優勝の奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) / Jun Uruno

JN-2クラスは、首位の奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス)が、ウエット路面において2番手以下との差をコントロールし、安全なペースで走行。危なげなくシーズン6勝目を飾り、総合順位でも4位に入った。2番手争いは、SS10で川名賢/前川冨哉(トヨタGRヤリス)が、横尾芳則/穴井謙志郎(トヨタGRヤリス)をパス。6.1秒差で逃げ切った川名が、ラリー北海道に続き2位表彰台を得ている。三枝聖弥/船木一祥(スバルWRX STI)も、SS10で小泉敏志/加勢直毅(トヨタGRヤリス)をかわし4位に順位を上げた。

最終戦を勝利で締めくくった奴田原は「ウエット路面でしたが、順調に走れましたね。初日に得たリードを保ちながら、余裕を持って戦えました。今シーズンはタイトルも獲得できましたし、クルマもいい感じに仕上がりました。良いラリーが戦えたと思います」と、納得の笑顔。横尾との接戦を制した川名は「最終日の午後はセッティングを変えたことで、路面とのマッチングが良くなりました。最終ステージはペースが上がらなくて、横尾選手に逆転されるかと思っていたので、ひと安心です」と、安堵の表情を見せている。

JN-3クラス優勝の長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86) / Hiroaki Ibuki

JN-3クラスは、ウエットとなった最終日も3度のベストタイムを含め、ミスなく走行した長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86)が、シーズン初勝利を飾った。24.2秒差の2位に山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)。SS9でベストタイムをマークした貝原聖也/西﨑佳代子(トヨタGR86)が、前日の5番手からふたつポジションを上げて3位表彰台を獲得している。4位にベテランの曽根崇仁/石田一輝(トヨタGR86)、5位にはSS7とSS12でベストタイムを記録した鈴木尚/遠藤彰(スバルBRZ)が入っている。

最終戦で待望のシーズン初勝利を手にした長﨑は「ようやく優勝できました。20秒の差は大きいようで小さいので、気を抜き過ぎないようにメリハリをつけて走りました。来年のプログラムは未定ですが、この結果でチームに恩返しができたので、来年の活動の弾みになればいいですね」と、喜びを語った。追い上げる貝原をわずか0.3秒上まわった山本は「本人なりに頑張ったんですが、後ろからの追い上げがキツかったです(笑)。最終的に0.3秒差で、なんとか2位争いに残れて良かったです。次はラリージャパンなので、気持ちを切り替えます」と、コメントしている。

JN-4クラス優勝の内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ) / Jun Uruno

JN-4クラスは、タイトルを争う内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)と西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が、8.9秒差でスタート。SS7とSS8で連続ベストを刻んだ西川が内藤を逆転するが、SS9は内藤がベストを獲り返して、再び首位に立つ。午後のセクションは、SS10とSS11をコンマ差で内藤が制するが、最終ステージを前にふたりの差は、わずか1.6秒。すべてが決するSS12を迎えたが、内藤を追う西川にエンジントラブルが発生、3気筒での走行を強いられてしまう。この結果、内藤が西川に30.4秒差をつけて、シーズン3勝目。自身初となる全日本ラリー選手権王者に輝いた。ふたりから2分以上離れたものの、奥村大地/山本祐也(スズキ・スイフトスポーツ)が3位表彰台を得ている。

最終戦で悲願のタイトルを決めた内藤は「2ループ目はノートを信じて、自分が持っているスピードすべてをぶつけました。コンマ差だったので、その中で集中力を維持して、最後のSSはミスなくしっかり走れればと思いました」と振り返った。一方、トラブルで連覇を逃した西川は「最後のSSでスタート直後にエンジンが3気筒になってしまって、踏んでも全然進まない状況でした。マシントラブルは仕方ないです……」と、肩を落とした。

JN-5クラス優勝の大倉聡/豊田耕司(トヨタ・GRヤリスRS)/ Hiroaki Ibuki

JN-5クラスは、最終日も松倉拓郎/山田真記子(トヨタ・ヤリス)と、大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が僅差のバトルを展開。お互いがベストを獲り合いながら迎えたSS10、回復しつつある路面コンディションを前に、ドライ寄りのタイヤで走った大倉がウエットタイヤの松倉を8.2秒も突き放し、ここで逆転。そのまま3.1秒差で逃げ切り、シーズン3勝目を手にした。この結果、豊田がコ・ドライバー選手権王者を確定させた。3位に河本拓哉/有川大輔(マツダ・デミオ)、4位に小川剛/藤田めぐみ(トヨタ・ヤリス)が入った。

自身のタイトルは逃したものの、松倉を上まわるシーズン3勝を手にした大倉は「SS10は死ぬ気で踏みました。何度かこぼれそうになったんですが、たぶん人生の中でベスト3に入る渾身のアタックでしたね。これで負けたら、仕方ないと思っていました。開幕当初はこれだけ勝負できるとは思っていなかったので、シーズンを通してクルマを進化させてくれた、この勝利はチームのおかげだと思っています」と、チームへの感謝を語っている。惜しくも2位に終わった松倉は「最後は僅差でしたし、悔しさが残りました。SS10のタイヤ選択が勝負の分かれ目でしたね。難しい天候のなか、ここまで大倉選手と勝負ができたのは、来年に向けて糧になると思います」と、勝者を称えた。

JN-6クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) / Hiroaki Ibuki

JN-6クラスは、天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア)が、危なげなくシーズン全勝を達成。SS7で天野の連続ベストをストップした海老原孝敬/河西晴雄(ホンダ・フィット)が、2位表彰台。来シーズンは全戦へのエントリーを計画しているモータージャーナリストの清水和夫/山本磨美(トヨタ・ヤリス)が3位を得ている。

ひとつ上のJN-5クラスをターゲットに戦う天野は「ベストを獲れなかったSS7は、コンディションを警戒して抑えてしまったのかもしれません。ただ、今回のラリーでは、バッテリーがしっかり使えているステージではJN-5とも戦えることが分かりました。上りメインのステージでなければ、いい勝負もできるはずです」と、シーズンを通したアクアの進化をアピール。2位に入った海老原は「SS7で天野選手に1本勝ったので、気分がいいです。ただ、その1本だけだったので、まだまだ要修行ですね。来年も同じ体制で参戦する予定です。まだ、フィットにはポテンシャルはあると思っています」と、来シーズンの雪辱を誓った。

ハイランドマスターズ 最終結果
1 ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5) 58:00.5
2 勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリスJP4ラリー2) +8.6
3 福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo) +33.9
4 奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +1:48.3
5 新井大輝/金岡基成(プジョー208 ラリー4) +2:04.5
6 新井敏弘/保井隆宏(スバルWRX S4) +2:29.1
7 眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリスGR4ラリーDAT) +2:30.2
8 川名賢/前川冨哉(トヨタGRヤリス) +3:04.6


13 内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ) +4:39.8
16 長﨑雅志/大矢啓太(トヨタGR86) +5:11.7
24 大倉聡/豊田耕司(トヨタ・GRヤリスRS) +7:07.4
31 天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクア) +9:07.1

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