2010年の「ダカールラリー」でトヨタ車体の1号車をドライブする“エース”三橋淳に今年のダカールに対する思い、マシンについての話を聞いた。
Q:まずは新型のランクル200が旧型の100に比べて、どう進化していると感じていますか?
A:足回りが大きく違いますね。旧型で苦労していた安定性の部分でかなり楽になりました。でも今のマシンに関してはスタビリティも効くし、特にジャンプ後の姿勢制御が非常に楽です。観客が多くWRCのような雰囲気がありますが、走りもWRCのようなシャープさが出せますね。
Q:では(砂丘の少ない)南米に移った事もプラスになったということですか?
A:そう思ったんですが、一番大きく差がつく砂丘ステージでは今年もディーゼル! 旧型のエンジン特性に有利な印象があります。特に南米の砂丘は迂回路がなくまっすぐ乗り越えることが多いので、そういうときは100のエンジン特性はプラスαの部分で強さがあった気がします。
A:でもそこは2輪時代の経験を活かしてオートバイ的な乗り方を試みています。クルマが少し前屈みなところで加速していって回転をキープしてギヤを上げていく感じですね。
Q:市販車部門ではTLCがマシン的に優位に立っていると思います。
A:規則上マシンに特別な差はないと思います。ただ、現在のマシンは電子制御が大きいウエイトを占めているので、そこをカバーできる実力を持ったチームが少ないという点があると思います。
Q:ではご自身が今回優勝する以外に何か目標としていることはありますか?
A:総合順位でトップ10をひとつの目標にしています。相当厳しいとは思いますが、あながち不可能というわけでもありません。
Q:何か具体的なレース戦略があるということですか?
A:いえ、ありません。毎日ベストを尽くすだけです。とにかく自分のミスを少なくすることが上位進出には絶対に必要ですからね。そのためには勝負に徹してなりふりかまわず全開で行くつもりです。
Q:TLCの一員としてレースに臨む心境を教えてください。
A:もちろんチームワークは大切です。でも、僕が結果を出すこともチームにとって最高の貢献になると信じています。
Q:三橋さんご自身、日本でいう年末や正月がありませんね。
A:最近は年のせいかあまりイベントごとを気にしなくなりましたが、レースが終わったらお節料理を食べたいですね。お雑煮に肉たまご、あとは栗きんとんと伊達巻きがあればいいかな(笑)。
Q:実際、この時期にレースがあることで何か思うところはありませんか?
A:(考)……。強いて挙げるなら、新年が明けてスタートするので昔のようにモロッコの高速を走行している時に年越しを迎え、それをふと実感するという侘びしさはなくなりましたね(笑)。それこそ2輪時代は途中でライバル選手たち何台かが止まっていて「どうした?」って聞いてみたら「ハッピーニューイヤー!」って言われたことがありましたよ。
Q:では最後に、日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
A:今年は去年以上の活躍をしたいと思うので応援をお願いします。あと、この競技を通じて世界のあらゆるものに目を向けてもらえたらうれしいです。海外のいろいろなものを見れば新しい発見もあるので、視野を広げる意味でもこの競技のコンペティションの部分だけでなく地理的なことや風土などすべての部分を見て欲しいと思います。