今シーズン、スバルラリーチームチャイナから中国ラリー選手権にインプレッサWRX STIでJr.ドライバーとして参戦する畑野賢明が、11月13日(金)から15日(日)にかけて開催された第4戦龍遊(全5戦)に出場した。
アジアパシフィックラリー選手権の最終戦との併催になる第4戦龍遊は、SS中に道幅が狭い住宅地やガードレールのない山岳路が多数ある上に、土質も軟質であるため雨が降った場合には非常に滑りやすくなるなど、ドライバーには常に繊細なドライビングが要求される非常に難しいコース設定。総走行距離は16カ所のSS(競技区間)/220.70kmと移動区間の合計で750.10kmとなり、出場台数は全クラス合わせ51台(エントリーした2リッターターボ+4WDで争われるN4クラスは、アジアパシフィックラリー選手権出場組の8台を含んで41台)であった。
ラリーは11月13日にクローズドダートコースで行われたSS1(2台同時に走るスーパーSS、1.82km)で開幕。コンディションは曇り、気温10度という天候ながら、前日までの雨によりFF車はSSがキャンセルになるほどのヘビーウェットの中、畑野はシルバーストーンタイヤにカットを入れたものを使用。前走車による深い轍などによる悪条件の中、ランサーエボリューションⅧを駆る中国のFAN XIAO選手を相手に善戦するが、惜しくも敗退。
11月14日のDAY1も気温10度、曇りという天候。路面は通常レベルのウェット路面に加え、ところどころヘビーウェット部分もあるという難しいコンディション。畑野は前日より多めのカットを入れたタイヤを使用。この日1つ目のSS2(7.15km)を順調にクリアするが、次のSS3(24.03km)の18km地点でペースノート作成の不備によりコーナーの曲率を見誤りコースアウト。そのままスタックし、残念ながらリタイアに終わった。
11月15日のDAY2にはDAY1でのコースアウトがあったものの、マシンに大きなダメージはなく、スーパーラリーシステムで再出走。コンディションは曇りであったが、気温は8度と低い上に路面は滑りやすいグラベルと硬く締った部分が混じり合い、さらに大きな石も散乱しているという劣悪な状況。コンディションの悪さもありラリー自体がリタイアの続出するサファイバル戦となっていたことも考慮し、とにかく完走を目指し前日と同じウェット路面重視のタイヤを選択した。DAY2最初となるSS11(19.80km)、SS12(13.23km)はDCCDがロック状態になるトラブルはあったものの、無難に走行。しかし、SS12終了後のサービスでパワーステアリングにトラブルが見つかり、メカニック達は懸命の修復を試みる。しかし、与えられたサービスの時間内には修復が間に合わずタイムアウトにより失格。無念のリタイアとなってしまった。
なお、総合優勝とアジアパシフィックラリー選手権部門の優勝はすでにアジアパシフィックラリー選手権のタイトルを決めているコディ・クロッカー選手(インプレッサWRX STI)が、フィニッシュ直前のSS15、SS16が悪コンディションのためキャンセルになるなど終始波乱に満ちた展開かつ、完走11台というサファイバル戦を制した。総合2位と中国ラリー選手権部門の優勝はチームメイトであるディーン・ヘリッジ選手が続いた。
今回のラリーは畑野にとっては約3年振りのリタイアとなったが、難しいコンディションを走る機会に巡り合い、完走する大切や難しさを改めて学ぶなど、結果は残らなかったものの得難い経験を手に入れたラリーとなった。
また、今シーズンから行っているカーボンオフセット活動に関しては、走行1kmにつき1.5kgの二酸化炭素排出権を供給していただいおり(今回のラリーでは走行できなかった走行距離分を差し引き、約330kgの二酸化炭素排出権)、実際にラリー中で排出された220km分の二酸化炭素量(約95kg)を差し引くと、約235kgの二酸化炭素排出量削減を実施することが出来た。
次戦は12月19日(土)から21日(月)という変則的な日程で行われる最終戦 福建省邵武(shaowu)に臨む。最終戦 福建省邵武は昨年から中国ラリー選手権に加わったラリーで、コースは路面がフラットな高速グラベルであるという。今シーズン最後となるラリーでの畑野の活躍に期待していただきたい。