2024年シーズンWRC第1戦ラリーモンテカルロは、1月28日(日)に最終日の3SSを走行し、ヒョンデのティエリー・ヌービルが今季初優勝を決めた。2位はトヨタのセバスチャン・オジエ、3位は同じくトヨタのエルフィン・エバンスが入っている。競技2日目のアクシデントでタイムをロスしたトヨタの勝田貴元は最終的に7位のポジションでフィニッシュしている。
競技最終日のルートは、3SS、52.12km。3SSしかないとはいえ、オープニングのSS15「La Bréole / Selonnet 3(18.31km)」、SS16「Digne-les-Bains / Chaudon-Norante(19.01km)」ともそれなりの距離があり、最終ステージの「La Bollène-Vésubie / Col de Turini(14.80km)」と合わせてまだまだ勝負の行方は分からない。競技3日目を終えた段階で、首位のヌービルと総合2番手のオジエは3.3秒差、オジエと総合3番手のエバンスは31.6秒差と、何かがあれば大きく順位は変動する可能性がある。ヌービルとオジエはソフトコンパウンド4本+スーパーソフトコンパウンド1本という組み合わせ、エバンスはソフト5本という組み合わせで最終日に臨む。この日曜日の順位に対しては上位7位まで7-6-5-4-3-2-1ポイントが与えられる。
オープニングステージのSS15は、まだ暗いうちからスタート。路面はドライコンディションだが、凍結した部分やブラックアイスが点在する状況で、各選手ともルートノートクルーの情報をもとにアタックしていく。ここでのベストタイムはヌービル。SS2番手タイムのオジエに4.7秒差、SS4番手タイムのエバンスに6.9秒差をつけてリードを拡大することに成功した。これでヌービルとオジエの総合タイム差は8秒となった。続くSS16は、WRCとしては久しぶりに使うステージ。ここでも一番時計はヌービルが獲り、SS2番手のエバンスに対して0.2秒、SS4番手のオジエに対して5.5秒の差をつける快走を見せた。これでヌービルはオジエに対して13.5秒、エバンスに対して42.0秒のマージンをもって、最終SSへと臨むことになる。
最終ステージのSS17は、名物チュリニ峠に上って行くルートが舞台。峠の手前でフィニッシュし、頂上が暫定表彰式会場になるという趣向だ。ステージはWRC2の上位勢、トヨタGRヤリス・ラリー2を走らせるステファン・ルフェーブルからコースイン。WRC2はシトロエンC3ラリー2のヨアン・ロッセルがそれまでラリーをリードしてきたシュコダ・ファビアRSラリー2のペペ・ロペスを逆転して、前年に続き、モンテカルロ連勝を果たした。
ラリー1勢では、再出走のグレゴワール・ミュンステール(Mスポーツ・フォード)からコースイン。続いて走行した勝田が9分53秒2という暫定ベストタイムをマークし、後続のフィニッシュを待つことに。上位陣の走行は粛々と進み、いよいよトップ3がスタート。最初にスタートしたエバンスは、勝田の0.4秒差で暫定SS2番手、3位以上を確定させた。続くオジエは勝田のタイムを0.2秒上まわる暫定ベストタイムをマーク、これで2位以上を確保している。最後にコースインしたヌービルは、オジエの暫定ベストタイムを2.6秒上まわる会心の走りを見せて優勝、フルポイントをゲットすることに成功した。ヌービルはこれでキャリア通算20勝、23年第12戦セントラル・ヨーロッパ以来の勝利となった。モンテカルロでの勝利は20年以来のことだ。
これで最終SS終了時点での総合順位はヌービル、オジエ、エバンス、タナック、フルモー、ミケルセン、勝田というトップ7。パワーステージはヌービル、オジエ、勝田、エバンス、タナックがトップ5に入り、それぞれボーナスポイントを獲得した。土曜日までのポイントと日曜日のポイント、パワーステージでのボーナスを足したドライバーズランキング上位は、首位ヌービルが30点、オジエ24点、エバンス21点、タナック15点、フルモー11点という並びとなった。2日目に遅れを喫し7位フィニッシュとなった勝田は、ポイントを重ね9点/ランキング6番手でシーズンをスタートすることとなった。マニュファクチャラーズランキングは、トヨタが46点、ヒョンデ45点、Mスポーツ・フォードが19点。
次戦は2月15日〜19日に開催される第2戦スウェーデン。スウェーデンの北部に位置するウメオを中心に開催される、シーズン唯一のスノーラリーだ。昨年はフォードのオィット・タナックが勝利を獲得している。
WRCモンテカルロ 暫定結果
1. T.ヌービル(ヒョンデi20Nラリー1) 3:09:30.9
2. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +16.1
3. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) +45.2
4. O.タナック(ヒョンデi20Nラリー1) +1:59.8
5. A.フルモー(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +3:36.9
6. A.ミケルセン(ヒョンデi20Nラリー1) +5:34.6
7. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +8:28.5
8. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +10:29.8
9. P.ロペス(シュコダ・ファビアRSラリー2) +10:33.8
10. N.グリアジン(シトロエンC3ラリー2) +10:45.2