トヨタ・ガズーレーシングWRT(TGR-WRT)は、フィンランドの若手、サミ・パヤリがコ・ドライバーのエンニ・マルコネンとともに、7月に初めてWRCラウンドとして開催されるラリーラトビア(グラベル)に4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドで参戦することを発表した。パヤリがWRC最高峰レベルで参戦するのは、初めて。
現在22歳のパヤリは、いまラリー界で最も勢いのある若手のひとりとして知られている。2021年に史上最年少でジュニアWRCタイトルを獲得した後、2023年には母国フィンランドで初めてWRC2勝利を飾っている。今季はトヨタGRヤリス・ラリー2でWRC2に参戦し、路面を問わずに好タイムを連発し、実戦デビューしたばかりのマシンからの貴重なフィードバックをエンジニア陣にもたらしてきた。先週開催されたWRC第6戦ラリーイタリア・サルディニアでは、GRヤリス・ラリー2での初めてのWRC2勝利をマークしたほか、総合でも6位に食い込む大健闘を見せた。
WRCラトビアでパヤリにラリー1マシンでの参戦機会を与えることは、若手ドライバーのスキルアップと夢の実現をサポートするというトヨタ・ガズーレーシングの世界的なコミットメントの一環として、TGR-WRTが若い才能にラリーの世界トップレベルへの道を提供する姿勢を示したもの。
同郷フィンランド出身でチーム代表のヤリ‐マティ・ラトバラは「我々は、2015年から開始したTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムによる若手日本人ドライバーの育成への取り組みと併行して、WRCのサポートカテゴリーに参戦する才能ある若手ドライバーにも注目してきた。今年、サミ・パヤリが我々のGRヤリス・ラリー2で見事な走りを披露してきており、ラリー1マシンでの彼のポテンシャルを見てみたいと思った」とパヤリ起用の経緯を説明する。
「サミはサルディニアでの週末、素晴らしい走りを披露して大きな前進を果たし、結果を出している。見事な速さを見せるだけでなく、我々のエンジニアに与えるフィードバックは、我々のカスタマーによりよいマシンを供給するために役立っている。ラリーラトビアは、ラリーフィンランドのように高速でリズミカルなイベントで、サミもバルト三国の道を得意としているので、地元のような感じで挑めると思う。また、こうした高速ステージなら、ラリー1マシンのエアロダイナミクスの効果をよく感じることができ、理解も進む。サミとエンニがこのイベントでいい経験を積み、このマシンやラリー2からのステップアップについて学べることを期待している」
初めてのラリー1マシンでの参戦が決まったパヤリは「トヨタ・ガズーレーシングから、このような機会を与えていただき、信じられない気持ち」と喜びを語る。
「このチャンスを目指して何年も取り組んできたが、ラリー1マシンに乗れるチャンスは滅多にない。新たなことをたくさん学ばなくてはならないので壮大な試練になるし、トップレベルのペースもすごく高い。でも、リザルトを気にしすぎたりプレッシャーを感じすぎないで、とにかく楽しんで将来のための経験を積みたい。少なくともラトビアは、ステージはほぼ高速でリズミカルで、自分がフィンランドで慣れているのと似ている感じ。基本的にみんなが初めて挑むイベントなので、その意味ではトップドライバーたちとも同じ立場で始めるようなもの。いい走りができれば、今後につながるチャンスも生まれるかもしれないが、それは後で考えること。今は、とにかくこの一戦に専念し、楽しみたい」