TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム3期生の後藤正太郎と松下拓未が、6月14日〜15日に開催されたフィンランドラリー選手権第5戦ポフヤンマーラリー(グラベル)で、初めてのラリー参戦に挑んだ。マシンは、2期生もラリー2へのステップアップ前にドライブしていたルノー・クリオ・ラリー4で、松下はペッカ・ケランダーと組んでSM3クラス8位、後藤はユッシ・リンドベリと組んで9位でラリーを走り切った。
次の参戦予定として7月26日〜27日に、WRCフィンランドの準備としてWRCのトップドライバーも参戦することの多いHYAセンターラリーに参戦することも発表された。
(以下、発表リリース)
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム
3期生の後藤、松下が欧州でラリーデビューし完走を果たす
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの3期生、後藤正太郎と松下拓未が6月14-15日に開催されたフィンランドラリー選手権第5戦「ポフヤンマー・ラリー」に参戦。欧州でのデビュー戦で2台揃って完走し、経験を積みました。
後藤と松下は、2023年に実施したセレクションを経て、本プログラムへの参加が決定し、今年の初めから拠点をフィンランドに移してTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの講師陣のもとトレーニングに取り組んでいました。
両選手ともに日本でのモータースポーツ経験は限られており、特に後藤にとっては今回が人生初のラリー参戦、松下にとっても日本で参戦した一回を含め、今回が2度目のラリーでした。二人はそれぞれ経験豊富なフィンランド人コ・ドライバーとペアを組み、今回の参戦までに、ペースノートのトレーニングと、今回のラリーでも使用した二駆のRenault Clio Rally4での走行テストを重ねてきました。
ポフヤンマー・ラリーはフィンランドの典型的な高速のグラベル(未舗装路)ラリーで、フィンランド西部に位置するセイナヨキ周辺で行われました。9つのスペシャルステージ、合計123.53kmの競技区間で戦われた今回のラリーは、繰り返し走るステージは1ステージのみで、8つの異なるステージで構成されていたため、クルーはラリー前のレッキで、たくさんのページ数のペースノートを作成することが求められました。
今回のラリーの目標は、全てのステージを走り切り、できるだけ多くの経験を得ること。後藤、松下ともに、初日となった金曜日夜の3ステージで堅実な走りを見せると、コンディションが変わり続ける難しい状況の中、土曜日も午前3ステージ、午後3ステージを大きなトラブルなく走り切り、松下/ペッカ・ケランダー組がSM3クラス9位、後藤/ユッシ・リンドベリ組がクラス10位で完走を果たしました。
後藤正太郎:
人生初のラリーはとてもエキサイティングで楽しかったです。クルマへのダメージなくゴールに着いた時は本当に嬉しかったです。コンディションが常に変わり続けていたことで、激しい雨や大きな轍、とても泥の多い道など、多くのことを経験し、学ぶことができました。一番難しかったのは、ペースノートを作るときに勇気を持つことと、一貫性を持たせることでした。今回作ったノートは、いくつかのステージで慎重になりすぎてマージンが大きすぎた箇所や、その逆もありました。トップ選手とのタイム差からも分かるように、ラリーを戦いながら、改善・成長ができたと思います。参戦を通してラリーで重要なことがわかり、さらに良くなるためにすべきことを見つけることができました。
松下拓未:
簡単なラリーではありませんでした。今回は走り切ることが重要だったので、フィニッシュに辿り着いた時はとても嬉しかったです。ですが、安全に寄りすぎていたわけでもなく、自分が今持っているものを出せたと感じています。難しかったのは、長い直線の後でコーナーが見えないとき、正しいブレーキングポイントを見つけることでした。初日は特にそこに苦戦しましたが、2日目はかなり良くなってクルマの挙動にもペースノートにもより自信を持つことができ、一つのラリーを通してたくさん改善できたと思います。今後、テストを続け、より多くの道、コンディション、路面を経験することで、もっと速く、安定した走りができるようになると思います。
ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):
後藤と松下にとって良い初戦になり嬉しく思っています。今回私たち講師陣が求めていた唯一のことは完走することだったので、彼らはトラブルや大きなミスなく、きちんとそれをやってくれました。ステージ毎に上位のドライバーたちとのタイム差を比較していましたが、彼らはフィンランドで何年も多くのラリーを走っていることを考えると、二人の初めてのラリーにしては今後の期待が持てる結果でした。コンディションが変わり続け、時にはとても激しい雨も降りましたが、後藤・松下はテストでは雨は全く経験したことがありませんでした。二人にとって新しいことばかりでたくさん学びがありました。テストでは同じ道を繰り返し走るので道を覚えてしまいますが、ラリー本番ではそうは行きません。ペースノートの重要さにも改めて気づいたはずです。彼らは物事をとてもうまく分析し、どこの領域をより改善すべきかということをきちんと理解できていたと思います。初めてのラリーに対するプレッシャーも二人ともうまく対処できていましたし、今後に向けてポジティブな面がたくさんありました。
結果 (SM3 class):
1 Tuukka Kauppinen/Veli-Pekka Karttunen (Ford Fiesta Rally4) 1h07m44.3s
2 Jaspar Vaher/Sander Pruul (Ford Fiesta Rally4) +13.5s
3 Joni Korhonen/Miro Iljina (Peugeot 208 Rally4) +45.9s
4 Valentino Ledda/Claudio Mele (Renault Clio Rally4) +1m11.4s
5 Niko Kalmi/Sofia Rantasalo (Renault Clio Rally4) +1m27.3s
6 Thomas Martens/Eddy Smeets (Renault Clio Rally4) +2m04.9s
8 松下拓未/ペッカ・ケランダー (Renault Clio Rally4) +3m30.0s
9 後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ (Renault Clio Rally4) +3m59.8s
■次戦
後藤と松下は、7月26-27日にフィンランドのタンペレを拠点に開催されるHYAcenter Rallyに参戦予定です。典型的なフィンランドの道で行われるため、ラリー・フィンランドの準備として、WRCのトップチーム・トップドライバーも参戦することが多いラリーです。