WRCセントラルヨーロッパ:勝田貴元が戦線復帰、トヨタは4台体制でエントリー – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCセントラルヨーロッパ:勝田貴元が戦線復帰、トヨタは4台体制でエントリー

 

TOYOTA GAZOO Racing WRTは、10月17日〜20日にかけてドイツ・バイエルンのカルプフハムを拠点に、ドイツ、チェコ、オーストラリアの三カ国で開催される2024年WRC第12戦セントラルヨーロピアンラリー(ターマック)に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネンの布陣で、4台のトヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドをエントリーする。前戦チリをスキップして今季残るターマックイベント2戦に臨む勝田は「忍耐強く戦ってチームのためにポイント獲得を目指します」とコメントを寄せている。

(以下チームリリース)


WRC 第12戦 セントラル・ヨーロピアン・ラリー プレビュー
ヨーロッパ三ヶ国を舞台に開催されるターマックラリーに
4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、10月17日(木)から20日(日)にかけて、ドイツ、チェコ、オーストリアのヨーロッパ三カ国で開催される、2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦「セントラル・ヨーロピアン・ラリー」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)、サミ・パヤリ/エンニ・マルコネン組(5号車)の、4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。2024年シーズン8勝目とチャンピオンシップでの挽回を目指します。

前戦ラリー・チリでTGR-WRTはカッレ・ロバンペラが優勝し、エバンスが総合2位でフィニッシュ。土曜日終了時点での総合順位によるポイント、日曜日のスーパーサンデーでの順位によるポイント、そしてパワーステージでのポイントと、1戦で得られる最大のマニュファクチャラーズポイントを獲得しました。その結果、マニュファクチャラー選手権における首位チームとの差を、35ポイントから17ポイントへと半分以下に縮めました。今シーズンのWRCはあと2戦となり、セントラル・ヨーロピアン・ラリー、最終戦ラリージャパンの2戦はいずれもターマック(舗装路)ラリーとなります。今シーズンのターマックイベントは4月の第4戦クロアチア・ラリー以来となり、選手たちは久々に完全に舗装された路面でタイムを競うことになります。

セントラル・ヨーロピアン・ラリーは昨年初めてWRCとして開催され、ドイツ、チェコ、オーストリアの三ヶ国を舞台とする斬新な試みのラリーとして、大きな注目を集めました。ステージは全てターマックとなりますが、国ごと、地域ごとに道や路面のキャラクターは大きく異なります。それに加え、この時期のヨーロッパは天気がとても変わりやすく、雨や泥、そして落ち葉などによって路面は所々非常に滑りやすくなるのも特徴のひとつです。

昨年に続き出場のオジエとエバンスは、依然ドライバーズタイトル獲得の可能性を残しており、前戦ラリー・チリを欠場した勝田も万全の準備を経て2年目のこのラリーに臨みます。さらに今回は、地元のラリー・フィンランドで初めてトップカテゴリー車両のGR YARIS Rally1 HYBRIDをドライブし、総合4位を獲得した新星パヤリも、前戦ラリー・チリに続きGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場します。パヤリにとってはトップカテゴリー車両で初めて挑むターマックラリーとなるため、今大会では多くの経験を積むことが最大のテーマになります。

ラリーの中心となるサービスパークはドイツ南東部、バイエルン州のカルプフハムに置かれ、セレモニアルスタートは2023年大会と同じくチェコの首都プラハの中心部で行われます。しかし、前年は水曜日にドイツで実施されたシェイクダウンは、17日(木)の午前中にチェコで行われ、その後セレモニアルスタートを経て、同日の午後3時からプラハ郊外の競馬場「ヴェルカー・チュクレ」で行われるスーパーSSで競技が始まります。さらに、夕方にはSS2として「クラトヴィー」で11.78kmのステージが行われます。

18日(金)のデイ2は、やはりチェコの道が舞台に。クラトヴィーのステージをSS3、SS6としてさらに2回走行し、その他にも2本のステージを各2回走行。チェコの道は全体的に道幅が狭く、ハイスピードで、起伏も多くあるのが特徴です。デイ2には朝と日中に2回のリモートサービスが設定され、一日の終わりにはドイツに戻り、カルプフハムのサービスパークで45分間のフルサービスが予定されています。競技3日目となる19日(土)のデイ3は、ドイツとオーストラリアのステージを走行。3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走り、6本のステージの合計距離は123.46kmと4日間で最長の一日となります。また、SS10/13の「ビヨンド・ボーダーズ」は、ステージ名が示すようにドイツをスタートして、オーストリアでフィニッシュするという国境を越えるステージです。ラリー最終日の20日(日)は、デイ4としてドイツで2本のステージを各2回走行。そのうちSS16の再走ステージである最終のSS18は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。18本のステージの合計距離は302.51km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1584.44kmが予定されています。

なお、今回サポートカテゴリーのWRC2には、チェコのトップドライバーのひとりであるフィリップ・マレス(ACCRトヨタ・ドラーク)が、GR Yaris rally2でエントリーしています。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
チリでの結果は、チーム全体のモチベーションを大幅に高めることに繋がりました。ポイント差を半分に縮めることができたことによって、マニュファクチャラー選手権争いは依然オープンな状態にありますし、全てがまだ可能であることが示されました。そして我々は、セントラル・ヨーロピアン・ラリーをとても楽しみにしています。このラリーはドライバーにとって大きな挑戦であり、昨年は雨と泥により難しいコンディションになりました。我々のクルマは、そのようなコンディションでもよく機能してきましたし、ドライバーたちもチャレンジする準備ができているはずです。セブが依然高いスピードとモチベーションを維持していることは、チームにとって大きな後押しとなります。また、エルフィンはチリで好調な週末を過ごしたことで、自信を取り戻しました。貴元にとっては、ラリージャパンを前にしっかりとラリーを戦い抜いてポイントを獲得し、クルマに良いフィーリングを感じられるようになることが目標になるでしょう。一方、サミにとってはRally1で臨む初めてのターマックラリーとなるため、学びを得ることと経験を積むことが全てとなるでしょう。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
チリではチームとして素晴らしいパフォーマンスを発揮し、再び表彰台に戻ることができて嬉しかったです。そして今、シーズンを締めくくる最後のターマックラリー2戦で、最大限の力を発揮したいと思っています。セントラル・ヨーロピアン・ラリーとラリージャパンは、天候の面でかなり難しいラリーになる可能性があります。このようなイベントでは、仕事を正しく進め、特にルートノート・クルーと上手く仕事をすることがドライバーにとって大きなチャレンジです。私たちがターマック路面で走れる時間は年間を通じてかなり限られていますが、少なくとも予想されるコンディションはクロアチアとそれほど大きく変わりません。私たちのクルマはクロアチアで調子が良かったので、仕事を始める上で良いベースが既にありますし、そこからさらに改良点を見つけることができたならば、ラリーではいい位置につけることができるはずです。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
私個人としては、チリでは期待していたような結果を残すことができませんでしたが、チームにとっては完璧な週末になりましたし、自分にとって今シーズン最大のターゲットであるマニュファクチャラー選手権で、ポイント差を大幅に縮めることができたことを嬉しく思います。そして今、私たちは残るターマックラリー2戦に向けてやる気に満ちています。現在ドイツに住んでいる私にとって、ほど近い場所で開催され、多くのファンがステージを見に訪れるセントラル・ヨーロピアン・ラリーは、第2のホームラリーともいえるものなので、楽しみです。 昨年の経験から、道は非常に幅が狭く、かなり汚れたセクションや、グリップの低い路面があるなど非常に難しいコンディションになることは分かっています。 ですので、そのようなトリッキーなステージでも最大限の自信を与えてくれるクルマを造るために、私たちは努力してきました。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
今年最後の2戦で、まったく異なる路面を走ることをとても楽しみにしています。自分はターマックを走るのが大好きなので、良いフィーリングを掴み、良いパフォーマンスを発揮したいと思っています。 セントラルヨーロッパ・ラリーは路面が頻繁に変化し、グラベルも多く出るなど、誰にとっても大きなチャレンジになるでしょう。昨年は、特に金曜日のチェコの道が、雨と多くのインカットにより大変でした。その経験があるので、今年は昨年よりは楽に走れるとは思いますが、それでも新しいステージも多くあるので、ペースノートの作成とルートノートクルーとのコミュニケーションに集中する必要があります。自分としては忍耐強く戦い、チームのためにポイントを獲得できるように努めるつもりです。もし全てが上手くいけば、ラリージャパンではよりプッシュをしやすくなるでしょう。

サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 HYBRID 5号車)
今回初めてターマックラリーでRally1車両をドライブすることになるため、大きなチャレンジになることは確かです。昨年はこのラリーのWRC2カテゴリーに出場しましたが、非常にトリッキーな場所がありながらも、楽しめる場所もありました。ステージは三ヶ国それぞれで少し異なり、今年のこの時期の天候はかなり予測が困難です。しかし、今の自分にとっては、そうした課題に立ち向かい、そこから学ぶことが全てです。フィンランドとチリではかなりしっかり仕事ができたと思いますし、今回のラリーでもきっと同じような展開になるはずです。良いフィーリングを得られている時は良いタイムを出すことができますし、リスクが増えたり、コンディションがトリッキーになった時は、経験値を高めるため少しペースを緩め、あまり攻め過ぎないようにするつもりです。



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