4期生選考会を終えたミッコ・ヒルボネン「ドライバーのレベルは年々高まっている」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

4期生選考会を終えたミッコ・ヒルボネン「ドライバーのレベルは年々高まっている」

©Jun Uruno

トヨタ・ガズーレーシング(TGR)は、日本人若手ドライバーの発掘・育成を目的としたTGR WRCチャレンジプログラムの4期生となるドライバーの国内実技選考を10月25日に富士スピードウェイで実施。参加した21人から6人のファイナリストを選出し、MORIZO Challenge Cupでチャンピオンとなった山田啓介とともに12月、フィンランドで5日間の実技トレーニングを行い、最終的なドライバーを決定する。

この選考会を終えて、ドライビングのトレーナーを務めるミッコ・ヒルボネン、ヨウニ・アンプヤに4回目となる選考について聞いた。

Jun Uruno

──このプログラムは4回目となるが、今回の選考会をどのように振り返りますか。
ミッコ・ヒルボネン(MH)
:とてもいい選考会になった。参加するドライバーの基本的なレベルが、年々高まっているように感じる。昨年も参加してくれたドライバーもいたが、初参加のドライバーもいて、そうしたドライバーが2次選考に進出できるレベルであることには驚かされた。だから、日本の、さらにラリードライバーのレベルが上がっていることを目の当たりにできたのは、本当にうれしいことだ。

ヨウニ・アンプヤ(JA):同感だ。それに、様々なバックグラウンドを持つドライバーが集まった。ラリー経験があるドライバーもいれば、ドリフトをやっているドライバーもいた。KANTAはリズムが素晴らしいし、ニュージーランドから参加したジール・ジョーンズのようなドライバーもいて、ミッコも言ったようにとても興味深いしいいことだ。富士の選考会に来る人も増えたし、レベルも上がっている。

──ここまでの3期と比べて、今回の参加者の違いはありますか。
MH
:少なくとも今の段階のレベルとしては、幅が広がったように感じる。強いドライバーが増えたが、そのなかでもベストの6人を選んだ。フィンランドで行うトレーニングの間に、彼らがどのように学び、進化していくかを見ていく。でも、今回参加してくれた全員に伝えたいことは、全員がフィンランドに行くことはできないが、今回の選考会を通じて何かを学んでくれたことを願っている。今回の経験を、今後のモータースポーツキャリアや、自分がやっていくことに活用してもらいたい。

──前回に比べて2次選考に参加した人数は増えていますが、フィンランドに進む人数は変わらずに6人です。
MH
:我々としては、フィンランドで行うファイナルの人数として6人というグループが適切だと考えている。トレーニング中に、それぞれのドライバーに費やす時間を考えれば、それが限界だ。それに、今回の選んだ6人という結果に非常に満足している。

JA:そのとおり。今回選んだ結果について、選択は正しかったのだろうかという疑問はまったく感じていない。フィンランドでさらに成長するポテンシャルを持った、非常に優れた6人を選んだと心から自信を持っている。

──選抜は難航しましたか?
MH
:ドライバーが走行できる時間が非常に短いので、選ぶのが難しい時もあった。でも、車内で隣に乗り、全体の状況のなかでどのようにアプローチしていくのか、どのような走りをするのかを見れば、それぞれの印象を感じる。自分とヨウニで少し話し合うこともあったが、すぐに合意できたし、ドライバーについての見方もほぼ同様だった。

Jun Uruno

──選抜されたドライバーがほかと最も違っていた点とは?
MH
:基本的にはもちろん速さだが、それがすべてではない。彼らは大きなプレッシャーも感じていた。彼らにとっては、それは素晴らしい機会で、緊張もあっただろう。でも、そのなかで冷静を保ち、ミスなくコースを走り抜け、あるいはそのなかで成長も見せたところだ。車内ではドライバーたちと会話もした。そうしたことも重要となった。

JA:長いコースではなかったが、車内で彼らの違いを見極めるには十分だった。ダブルチェックを行っているか、その都度で成長しているか、どのような考え方をしているか、どのように変更を行えたか、この短い間に学べることができたか、などだ。

Jun Uruno

MH:さらに明確に加えられることがひとつある。常にタイムがすべてではないし、短い時間だったが、ドライバーと一緒にクルマに乗り込めば、ドライバーがマシンの動きをどのように感じているかが分かる。アンダーステアなのかオーバーステアなのか、どれくらいアグレッシブにドライビングしているか。なかには、アンダーステアになっていることに気付いていなかったり、対応できなかったドライバーもいたが、こうした動きに非常に敏感なドライバーもいた。それがかなり重要であり、我々が注目している点だ。

Jun Uruno

──フィンランドでのファイナルまで1カ月半ほど、ドライバーたちが何かすべきことはありますか。
JA
:特段、何もない。これまでやってきたことを、続けていくことだ。自分自身で準備を整えることはもちろんだが、この短い間に何かを学ぼうとか得られるものはないし不可能だ。今の段階で彼らが学んできたこと、経験してきたことがフィンランドでどのように活きるかを我々は見る。だから、フィンランドで格段に成長した姿を見せられるような学習法はないよ。

──フィンランドではドライバーたちはどのようなことを行うのでしょうか。
MH
:体力テストとドライビングだ。走行は、スノー&アイスのみ。そのような路面で走ったことがないドライバーがほとんどだと思うが、どのようにクルマを操ればいいのか、ベーシックなスキルを理解するためには最適な環境だ。それに安全だからね。

──どのようなクルマ、タイヤを使うか決まっていますか?
MH
:様々なクルマ、タイヤを使ってもらう。FF、FR、4WD。タイヤも色々と履いてもらう。だから、それぞれに対応しなくてはならないので、ハードルが高くなる。彼らには大変なチャレンジになると思うが、知らない環境でどのようにプレッシャーや変化に、どれだけ早く対応できるかに注目していく。



ラリプラメンバーズ2024募集中!!