トヨタ・ガズーレーシングは、WRCで活躍することを目指して選手を育成するWRCチャレンジプログラム4期生の最終選考を12月7日〜13日にフィンランド北部のラップランドで行い、ドライバーとして尾形莉欧と柳杭田貫太を選出した。また、今回初めて募集を行ったコ・ドライバーは10月に東富士で最終選考を行い、前川富哉が選出された。3人は、2025年からプログラムへの参加が始まる。前川は1月から、フィンランド人ドライバーのヤルッコ・ニカラとラリー参戦を開始する予定。
(以下、発表内容)
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム
2025年より活動開始するドライバー4期生とコ・ドライバーが決定
TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)は、WRCで活躍できる日本人ドライバーの発掘・育成を目指すTGR WRCチャレンジプログラムの4期生セレクションの最終選考を12月7日から13日にかけてフィンランドで実施。選考の結果、尾形莉欧、柳杭田貫太の2名が4期生のドライバーとして2025年よりプログラムに参加します。また、10月末に実施したプログラム初のコ・ドライバーセレクションの結果、前川富哉がコ・ドライバーとしてプログラムを開始します。
今年度のセレクションは、10月下旬に富士スピードウェイで実施した1次選考、2次選考からスタート。100名の候補者がフィンランドから来日した講師陣の前でスキルを試し、6名が2次選考を通過しました。最終選考には、モリゾウチャレンジカップでシーズンチャンピオンとなった山田啓介が合流。7名は、フィンランドの北部、ラップランドで約1週間にわたるトレーニングキャンプに参加し、フィジカルテストおよび様々な車両での氷上走行に取り組みました。
候補者たちは雪上および氷上での走行経験はほとんどありませんでしたが、全員が高いポテンシャルを発揮し、講師陣は全体のレベルを高く評価しました。昨年に引き続き今年も難しい選択となりましたが、多くの議論の末、最終的に尾形莉欧、柳杭田貫太の2名が選ばれました。
23歳の尾形はeモータースポーツ出身で、大学の自動車部ではジムカーナとダートトライアルを経験。一方、24歳の柳杭田は長年ドリフトの世界で活動しており、今年のモリゾウチャレンジカップでラリーのキャリアをスタートさせました。両者ともにラリーの経験はまだほとんどありませんが、来年上旬にはフィンランドへ拠点を移し、集中的なトレーニングプログラムによって、ラリーでの成長を加速させます。トレーニングではドライビング、ペースノート、フィットネスを包括的に行い、夏頃には前輪駆動のRally4車両でフィンランド国内やヨーロッパ内のラリーに参戦することを目標にしています。
また今年は、プログラム初となるコ・ドライバーのセレクションも実施しました。5名のコ・ドライバーが10月末に東富士で実施した最終選考に参加し、ペースノートのリーディングスキルやその他の関連するスキルについて評価を受けました。選考の結果、今年のモリゾウチャレンジカップに参加していた前川富哉が選出され、フィンランドでトレーニングを開始します。前川は2025年1月より、経験豊富なフィンランド人ドライバー、ヤルッコ・ニカラとラリー参戦を開始する予定です。
TGR-WRTには、すでにGR YARIS Rally1でWRCにフル参戦している1期生の勝田貴元を始め、2025年はRally2でWRCイベントに多数参戦予定の2期生の小暮ひかると山本雄紀、そしてRally3にステップアップする後藤正太郎と松下拓未が在籍しており、新しいドライバー、コ・ドライバーは先輩たちの背中を追いながら多くを学ぶことが期待されています。
ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):
富士スピードウェイで選考をスタートするプロセスは今年で2回目でした。フィンランドでの最終選考のメンバーのレベルは今年さらに上がったと感じています。今年も優れたドライバーが集まり、全員が一週間を通して成長を見せてくれました。経験は少なくても素晴らしい素質を持っているドライバー、すでにモータースポーツの経験があるドライバーなど、彼らのバックグラウンドは様々でしたが、実力の差は拮抗しており、全員が必死に努力する必要がありました。運転の技術はもちろん重要ですが、私たちはプレッシャーのかかる中で彼らがどのようにパフォーマンスするかも重視しています。様々なクルマや状況で安定した走りができるか、タイムを計ったときに冷静に対応できるか、というような点で、リオとカンタは他のメンバーを上回っていました。彼らにとっては本当に大変なのはこれからです。クルマの運転は高いレベルでできていても、より完成されたアスリートになるにはメンタル面やフィジカル面など、多くの要素が関わってきます。そしてペースノートに関してもやるべきことがたくさんあります。プログラムがコ・ドライバー向けにも広げられたことは素晴らしいことで、トミヤは経験豊富なドライバーの横に乗って多くのことを学び、トップコ・ドライバーに必要とされるすべての要素をチームから学んでくれることを期待しています。
尾形莉欧(ドライバ―):
まずはホッとしています。昨年もこのセレクションを受けて最終選考で落ちてしまったので、今年再びチャレンジしてミッコとヨウニに認めてもらえたことがとても嬉しいです。自分はシミュレーターをメインでやってきて、大学に入ってからジムカーナやダートトライアルをやってきました。ラリーの経験はありませんが、このプログラムに参加することで、たくさんの経験を積んで、もっと上手くなれると思うのでとても楽しみです。
柳杭田貫太(ドライバ―):
発表まで不安な気持ちもありましたが、自分の名前が呼ばれて本当に嬉しかったです。氷上で様々なクルマに乗らせていただき、ライン取りや車の動かし方、ブレーキの使い方など、講師からたくさん的確なアドバイスをいただき、とても勉強になった一週間でした。チャレンジプログラムに参加することは自分にとって新しい人生の始まりだと思っているので、厳しい道のりになると思いますが、WRCのトップを目指して頑張っていきたいと思います。
前川富哉(コ・ドライバー):
技術を磨くことが難しいと感じていたコ・ドライバーの育成がチャレンジプログラムで開始されるということで、またとないチャンスを絶対に掴みたいと思っていました。選んでいただけて本当に嬉しく思っています。選考会を通してTGRの皆様と接する中で、すでに世界のレベルの高さを感じており、今後、日本では経験することが難しい環境や道でトップチームの技術を学べることがとても楽しみです。なるべく多くを吸収して技術を高め、次世代の日本のコ・ドライバーに希望を与える選手となれるよう全力で臨みます。