ダカールラリー2025は1月13日、アルダワディミをスタートしてサウジアラビアの首都リヤドまでの487kmを走行するステージ8が行われた。この日は、砂丘、距離、危険な路面などダカールの試練がすべて盛り込まれたステージとなった。ここまでの走行距離は6000km近くに達したが、勝負のうえで重要な競技走行はフィニッシュまでまだ2000km残っている。
この日は、総合首位につけるTGR南アフリカのヘンク・ラテガン(トヨタGRダカール・ハイラックスEVO)が、ステージウインを奪取。2番手で追うヤジード・アル-ラジ(トヨタ・ハイラックス)との差を、前日の21秒から5分近くにまで広げた。
3番手のマティアス・エクストローム(フォード・ラプター)はこの日、長い区間で道を開く役目を担ったことで厄介な一日となり、ラテガンとの差は約29分となった。
「50km〜350kmの間は道を開く役目となり、難しかった。できることはすべてを尽くしているし、残る4ステージもその流れを維持していく計画だ」とエクストローム。
同じく首位ラテガンの背中が遠のいたのは、ダカール6度目の勝利を目指すナッサー・アル‐アティヤ(ダチア・サンドライダー)。この日だけでギャップが12分広がったため、明日のステージは挽回に努めることになりそうだ。
「すごくタフな一日だった。道を開いていた区間もあり、大変だった。一日を走り切れてハッピーだよ。ここからは、残る4日間で何が起こるかだね」とアル‐アティヤ。
一方、前日にステージウインをマークしたTGRのルーカス・モラエス(GRダカール・ハイラックスEVO)とステージ6を制したギヨーム・ド・メビウス(ミニ・ジョンクーパー・ワークス・ラリー)は、さらに厳しい一日となった。モラエスは24番手タイム、ド・メビウスは序盤にストップして3時間以上をロスという滑り出しで、過酷な日を過ごした。
「本当にタフなステージになってしまった。100kmあたりでテクニカルトラブルに見舞われ、修復のために止まらなくてはならなかった。その後は、みんなのダストの中を走ることになり、前輪からしかトラクションが得られなかった。砂丘の中では、大変だった」とド・メビウスは状況を語っている。
次のステージ9では、リヤドからハラドへは357kmと比較的短いステージが設定されている。今年のダカールもいよいよ佳境を迎え、戦略が重要になってくる。エンプティ・クオーターの砂漠では巨大な砂丘が待ち構えており、各ステージでのスタート順が鍵となる。
ダカール2025暫定リザルト(ステージ8終了時点)
1 H.ラテガン(トヨタGRダカール・ハイラックスEVO) 42:05:02
2 Y.アル-ラジ(トヨタ・ハイラックス) +05:41
3 M.エクストローム(フォード・ラプター) +28:55
4 N.アル‐アティヤ(ダチア・サンドライダー) +34:14
5 M.ガスリーJr.(フォード・ラプター) +55:39
6 M.セラドーリ(センチュリーCR6) +58:24
7 J-C.ヤコピーニ(トヨタ・ハイラックス) +1:32:11
8 S.キンテロ(トヨタGRダカール・ハイラックスEVO) +1:36:54
ランドクルーザー300GRスポーツをベースとしたラリーカーで市販車部門(FIAストッククラス)を戦うチームランドクルーザー・トヨタオートボデーは、三浦昂/ジャン・ミッシェル・ポラト組の500号車がパンク1本を喫しながらも順調に走行し、部門トップタイム。一方、ロナルド・バソ/ジャン・ピエール・ギャルサン組の501号車は、フィニッシュまで20kmという地点で右のドライブシャフトに不具合が発生してストップ。自力でパーツ交換を行い、無事にステージをフィニッシュした。
三浦は「パンクは1本ありましたが、思うようにペースが上がらないステージでした。現在のダカールラリーの路面は砂丘はともあれ、荒れた路面は市販車ベースの競技車には厳しすぎるように思います」と語っている。
HINO600シリーズでトラック部門に参戦する日野チームスガワラの菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組も、250km地点でトランスファーの油温度が上昇したうえに、内蔵されているセンターデフロックが入らないなどトラブルが発生しペースダウンを余儀なくされた。トラブルの状況を考慮し、GPSポイント8カ所を通過せずにペナルティを受けてフィニッシュすることを選択。部門17番手のタイムとなり、累積順位では前日の部門7番手から10番手に後退した。
「トラブルは残念ですが、最小限の遅れとペナルティで無事にゴールできる次善策を選んだつもりです。思えばセンターデフロックは昨日あたりから入りにくいことがありました。明日からまた頑張ります」と菅原。