初めてのWRCラリーモンテカルロに挑むTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀。コンディション変化が激しくラリー1勢でも波乱の連続となった金曜日のコメントをお届けする。
小暮
──今日の午前中はどのような状況でしたか?
ルートノートクルーと僕らがステージを走る時間までに、かなり時間が空きました。ルートノートクルーが通過した時はかなり凍結していた場所が、自分が走る時には実際は乾いていたり濡れているだけの状態だったので、抑えすぎてしまった分が大きなタイム差に繋がっている感じです。その辺りをもう少しルートノートクルーと話し合って、彼らができること、ドライバー側が判断できることなどを検討していきたいと思っています。
──ルートノートクルーの通過から実際に走るまで、どれくらい時間が空いたのですか?
たぶん3時間くらいです。
──小暮選手のルートノートクルーは誰が務めていますか?
クリスチャン・ニエミネンという、フィンランド選手権のラリー3のクラスに出場しているドライバーです。
──タイヤをクロスで履いていますが、組み合わせは色々なテストをした結果で決定しているのですか?
僕らが試して得たフィーリングと、ラリー1のクルーからも情報が入るので、時間差を加味してこの辺がいいかなと考えながら試しています。でも、それがベストのチョイスかどうかはよく分からないです。
──午後はタイヤを替えていきますか?
凍結しているステージの、特に日陰の場所についてはまだ凍っていると思うので、スタッドは必要になってくると思います。基本的には陽の当たっているところはどんどん乾く方向にあると思うので、スリックタイヤ寄りにはなると思います。
金曜日夜
──金曜日の午後のステージはいかがでしたか?
泥のセクションなどで自分のドライビングで自信が持てなくて、そこでかなりタイムロスをしてしまっている感じでした。最後のステージは、正確な場所は分かりませんがスローパンクチャーでSS中にタイヤを交換しなくてはならず、少し大変でした。
──明日の抱負は?
明日はもうちょっと路面が良くなると思っていますが、ステージ自体は「危ない」ステージなので、バランスを見ながらもう少しタイム差を縮めたいです。
山本
──午前中、一番大変だったのは?
一本目でしょうか。(ルートノートクルーの)情報的にはブラックアイスだらけということだったのですが、実際に行ってみたら、自分たちの順番の頃には融けてウェットになっている場所が多かったです。でも、ブラックアイスと聞くと抑えてしまうような感じになってしまいました。「アイス」と聞いて実は融けていたら、次の「アイス」はいける、という判断をしていかなくてはならないのですが、どうしても抑えてしまうので、そこは勉強していかなくてはならないと思います。
──タイヤをクロスで履いていますが、小暮選手は左リヤがスタッドで山本選手はソフトです。自分たちでテストをした結果で、決めるのですか?
何パターンもテストしたわけではありませんが、自分としてはフロントを考えた時に、自分に近い方はダメなタイヤでも自分に加重がかかる側なので分かりやすくて、アウト側の方に良いタイヤを履きたいというイメージがあるので、その時に良いタイヤを自分と遠い方に履くようにしています。
[夜のメディアゾーン]
──フロントが破損していますが、何が起きたのでしょうか?
午後の1本目、いい感じに走れていたのですが、とても滑りやすい場所でブレーキングをする際に少しロックアップしてしまい、あまり減速させられずにコーナーに入ってしまいました。泥が出ていたのでそのままリヤが草に乗って、その先にあった木にぶつかって。観客に押し出してもらいましたが、フロント周りにダメージを負いました。
──その後のステージは普通に走ることができましたか?
影響はほぼなくて、最後のステージではブレーキダクトがなくなっているので、ブレーキが柔らかくなった、というのが終盤の数kmだけありました。
──観客に出してもらえるなんて、モンテの洗礼みたいなものでしたね。
観客が「出し方」を理解しすぎてて……。僕は、この角度ではもう出ることができないなと思って一度はOKサインを出しに行ったのですが、観客はみんな「これはいける」といった感じで、ジェームズ(フルトン、コ・ドライバー)に「頼んでみて」と言ったら、ほんの10秒くらいで出たんですよ。
──明日はどのような一日になりそうですか?
一番長いステージがあるのと、SS11が危なくて。危ない場所が5kmくらい短くなりましたが、コンディションによっては厳しいループになると思うので、今日のマディなステージとは違う感じになるとは思いますが、気持ちを切り替えてクリーンに走りたいと思っています。
(Keiko Ito)