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©TOYOTA
トヨタは、2月13日〜16日にかけてスウェーデンのウメオを拠点に開催される今季のWRC第2戦ラリースウェーデン(グラベル&スノー)に、プライベーターも含め5台のトヨタGRヤリス・ラリー1をエントリーする。TGR-WRTからはエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、勝田貴元/アーロン・ジョンストン、TGR-WRT2からサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン、プライベーターとしてロレンツォ・ベルテッリ/シモーネ・スカットリンというラインナップだ。
またWRC2部門には、オリバー・ソルベルグをはじめ7台のトヨタGRヤリス・ラリー2が参戦。このなかにはTGR WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀も含まれている。また、3期生の後藤正太郎と松下拓未が、ルノー・クリオ・ラリー3で初めてWRC3部門に挑む。
(以下、発表リリース)
WRC 第2戦 ラリー・スウェーデン プレビュー
白銀のフルスノーイベント、ラリー・スウェーデンに
5台のGR YARIS Rally1で参戦
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、2月13日(木)から16日(日)にかけて、スウェーデンで開催される、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」に、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(GR YARIS Rally1 33号車)、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)に、プライベーターのロレンツォ・ベルテリ/シモーネ・スカットリン(37号車)と、TGR-WRT2からのエントリーとなるサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)を加えた、合計5台のGR YARIS Rally1で参戦。シーズン唯一のフルスノーイベントで開幕2連勝を狙います。
TGR-WRTは2025年WRC開幕戦ラリー・モンテカルロで、セバスチャン・オジエが自身の記録を更新する同大会10勝目を獲得し、エバンスが総合2位でフィニッシュ。マニュファクチャラー選手権においては、チームとして獲得可能な最大ポイントを得ることに成功し、理想的な形でシーズンのスタートを切りました。
そして迎える第2戦ラリー・スウェーデンは、今シーズンも数戦にのみ出場するオジエが参戦しないため、出場選手の中ではエバンスがドライバー選手権ランキング最上位となり、「フルデイ」初日の金曜日は出走順一番手でステージに臨むことになります。エバンスは2020年にこのラリーで優勝しており、2024年大会では総合2位に入るなど、スノーラリーも得意としています。ラリー・モンテカルロで総合4位を獲得した2022、2023年の世界王者ロバンペラは金曜日の出走順が3番手となり、2022年大会以来となるスウェーデン優勝を目指します。そして、サポート選手権であるWRC2で2018年にスウェーデン大会を制し、2022年には総合4位に入った勝田が、今回はチームの3台目としてマニュファクチャラー選手権ポイント獲得の任に当たります。それに加え、Rally1車両でのシーズンフル参戦は今年が初となる23歳のパヤリが、モンテカルロに続きTGR-WRT2から出場。さらに、TGR-WRTのカスタマープログラムにより、イタリア人プライベーターのベルテリがGR YARIS Rally1をドライブ。ラリー・スウェーデンでのTGR-WRTとベルテリの協力関係は、これで3年連続となります。
シーズン唯一の「フルスノーイベント」であるラリー・スウェーデンは、トヨタがTGR-WRTとしてWRCに復帰した初年度である2017年に、現チーム代表のヤリ-マーティ・ラトバラがドライバーとして出場し、チームに最初の優勝をもたらしたメモリアルなラリーです。ラリーの主催者はより安定したスノーコンディションを求め、2022年に北部最大の都市「ウーメオー」にホストタウンを移動。以降、3大会連続でウーメオーを中心に開催され、今年もウーメオーにサービスパークが設けられます。ウーメオーは、チームの本拠地であるフィンランドからボスニア湾を船で渡ってすぐの場所に位置し、気候的にも共通する部分が多いこともあり、TGR-WRTにとってはホームラリーに近い感覚で臨むことができる一戦です。首都ストックホルムの約600km北にあるウーメオーは、北極線の南側約400kmとかなり北部に位置することから、ステージは理想的なウインターコンディションとなることが多く、加えてハイスピードなステージも多いため、スノーラリーを開催するには格好の場所といえます。森林地帯の未舗装路は氷と雪で覆われていますが、雪道専用に準備された、金属製のスタッド(=スパイク)が打ち込まれた「スタッドタイヤ」により、ラリーカーは非常に高いグリップを得て走行することができます。そのため、ラリー・スウェーデンはWRC全戦の中でも毎年トップ3に入るほどステージの平均速度が高い、超高速イベントとして知られています。
2025年のラリー・スウェーデンは13日(木)の午前中にシェイクダウンが、夕方7時過ぎからウーメオーの市街地近くで全長5.16kmのSS1「ウーメオー・スプリント1」が行われます。森林地帯の雪道での本格的な戦いは翌日14日(金)の朝からスタートし、デイ2としてウーメオーの北側エリアで3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。一日の最後には2回目のウーメオー・スプリントがSS8として行われます。デイ2のステージの合計距離は124.32kmとなり、4日間で最長の一日となります。15日(土)のデイ3は、ウーメオーの西側エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。一日の最後には、ウーメオー・スプリントの走行距離を約2倍に延ばした10.08kmの「ウーメオー1」がSS15として行われます。ラリー最終日となる16日(日)のデイ4は、ウーメオーの北東で「ベステルビーク」のステージをSS16/17として2回走行。全長29.35kmのベステルビークは、今大会最長のステージとなります。最終ステージのSS18「ウーメオー2」は、土曜日のSS15の再走となり、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。ステージは全18本で合計300.22km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1060.05kmが予定されています。
なお、サポート選手権であるWRC2には、全部で7台のGR Yaris Rally2がエントリー。2024年にパヤリと最後までWRC2の王座を競ったオリバー・ソルベルグが、パヤリを王座に導いたプリントスポーツから出場しホームイベントでの優勝を目指します。また、2024年のこのラリーのWRC2にレッドグレイ・チームから出場し3位表彰台を獲得したゲオルグ・リンナマエ、2024年のフィンランド選手権王者ローペ・コルホネン(ラウティオ・モータースポーツ)、今季のフィンランド選手権アークティック・ラップランド・ラリーで優勝した18才の新鋭トゥウッカ・カウッピネン(ラウティオ・モータースポーツ)、ラリー・スウェーデンの常連選手である大ベテランのミハウ・ソウォボフ(プリントスポーツ)、そしてTGR WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀が、GR Yaris Rally2でWRC2に挑みます。さらに、今回はTGR WRCチャレンジプログラム3期生の後藤正太郎と松下拓未が、ルノー・クリオRally3でWRC3に初挑戦します。
ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ラリー・スウェーデンは、我々がフィンランドで経験するステージとコンディションが似ているため、チームにとってはほとんどホームラリーのような感覚です。ラリーカーをドライブする上では、最も楽しめるコンディションのひとつと言えます。我々にとって開幕戦ラリー・モンテカルロは、ほぼ完璧なシーズンスタートになりましたので、スウェーデンでも勝利のために戦いたいと思います。このラリーも、モンテカルロのようにトリッキーなコンディションとなるかもしれません。なぜなら、凍結した路面の上に新雪が積もると、金曜日のエルフィンのように、一番手でステージに臨むドライバーのパフォーマンスに大きな影響を及ぼすからです。コンディションさえ安定すれば、私たちのドライバー全員が楽しめるラリーになるでしょう。シーズン序盤の各ラリーで私たちが対峙する路面は毎回異なるため、新しいタイヤについて学ばなくてはなりません。そのため、イベント前のテストは、ドライバーたちがラリー期間中にタイヤの性能を最大限に発揮させる方法を理解するために、重要な機会となります。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
モンテカルロで表彰台を獲得したことによって、順調に新しい年をスタートすることができたので、次のスウェーデンでもチャレンジが楽しみです。ハイスピードなステージが多く、常に運転を楽しめるイベントですが、昨年のように新雪が大量に積もっていると、一番手でステージを走行する者にとっては難しいスタートとなる可能性があります。その一方で、路面が凍結していたら私たちにとっては好都合ですが、いずれにせよ全力で臨みます。シーズンの初めは、新しいハンコック・タイヤについて学ぶことがたくさんありますが、スウェーデンについても同様です。ここまでのところ、以前のタイヤとフィーリングがかなり大きく異なるので、それに適応し、性能を最大限引き出さなければなりません。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
自分たちにとって、ラリー・モンテカルロはシーズンをスタートする上で必ずしも上手く行ったとは言えないイベントでしたが、ポイントはそれなりに獲得することができたので、スウェーデンでは力強いパフォーマンスを発揮したいと思っています。雪道を走るのはいつだって楽しいですし、イベント前のプレイベントテストに加えてアークティック・ラップランド・ラリーにも出場したことは、新しいタイヤで雪道を長い距離走り、フィーリングをつかむという意味で非常に有効でした。チームと協力してベストなセットアップと正しい方向性を見つけるために一生懸命努力してきましたが、ここまでところ良いフィーリングを得られています。コンディションがどうなるかは分かりませんが、私たちにとって良いラリーになることを願っています。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
ラリー・スウェーデンはお気に入りのラリーのひとつなので、チームのために最善を尽くすつもりです。今回はタイヤも新しくなり大きなチャレンジとなるので、スノーロードでのフィーリングはきっと以前とは少し異なると思いますが、上手く適応できるように頑張ります。このラリーは、自分たちが直面する状況によって、多くのことが左右されると思います。もし昨年のように雪が大量に降れば、自分たちの出走順はきっと有利になるでしょうが、純粋なアイス路面だったとしたら、自分たちにとってはより難しい状況になるはずです。もちろん雪が多く降ることを期待していますが、どちらにしてもベストを尽くして戦います。
サミ・パヤリ (GR YARIS Rally1 5号車)
ラリー・スウェーデンはWRCシーズンの中でもお気に入りのイベントのひとつなので、とても楽しみにしています。通常、路面のコンディションは安定していますし、タイヤの選択肢は1種類のみとシンプルなので、ラリー・モンテカルロとは全く異なるイベントです。そういう意味では、ラリーへのアプローチはよりシンプルです。もしかしたら上位入賞を期待している人もいるかもしれませんが、自分にとってはRally1で出場する初めてのウインターラリーなので、まだ学ぶことが多くあります。ですから、それほど高い期待は設定していません。ただラリーを楽しみ、堅実にラリーを戦い切ることだけを考えています。