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Mスポーツ、WRCスウェーデンではスタート順を活かせるか?

 

ミッコ・ヒルボネンの引退に伴い、今季はエルフィン・エバンスとオィット・タナックという若いラインナップで挑んでいるMスポーツ。今季唯一のフルスノーラリーとなるスウェーデンは、アイスと雪が押し固められた路面では、予想もしないようなトラクションレベルに見舞われることもある。

ミシュランのX-ICE NORTH 2にはタングステン鋼のスタッドが埋め込まれるが、ソフトなスノーを噛んでハードな氷面でグリップを得る。エコブーストエンジンのフォード・フィエスタRS WRCは、シーズンの中でも速度域の高いラリーで素晴らしいスピードを発揮することができる。

しかし雪の量によっては、グリップレベルが予想よりも高くなり、クルーはブレーキングポイントを変えたり、固くしまった雪壁にフロントを押し当てながらスライドさせるなど、ドライビングスタイルを対応させなくてはならなくなる。

スウェーデンの厳しい気候では、スタート順も大きな鍵を握る。ここ数日は降雪が続いたため、先頭スタートは雪をかく役目を負わなくてはならず、後発スタート勢が有利になる。しかし、気温が高くなるとグラベルが顔を出し、後続勢が不利になる。

スウェーデンでは伝統的に北欧ドライバーが強さを発揮している。エバンスにとっては、スノーラリーの参戦はわずかに2度目。しかし開幕戦のモンテカルロでは遜色のない速さを見せている。昨年のスウェーデンでは最終ステージでリタイアを喫したが、スウェーデン戦に向けて2日間のテストを行い、週末のラリーでは速さの向上を目指す。

「スノーでの経験は多くはないが、スノーは楽しいよ。独特の面白さがある」とエバンス。「今回はどうしてもフィニッシュしたいね。去年はまずまずの滑り出しだったが、向上させなくてはならない点もたくさんあった。スノーのドライビングには独特のテクニックが必要。まだすべてをマスターしてはいないが、順調につかんでいるよ」

エストニア出身のタナックは、3度目のスウェーデン参戦だが、スノーには自信をもっている。昨年は一時総合3位につけており、最終的に5位という好リザルトをマークしている。

「スウェーデンはこれまで2回しか参戦したことがないので、他のドライバーほど経験はないが、選手権の中でも好きなイベントのひとつだよ。とても速度域の高いステージでとてもスムースだから、スウェーデンのドライブするのはとても楽しい」とタナック。「今のところ、コンディションはとてもよさそうだから、このままであってほしいね。鍵となるのはいいテストを行って、ラリーの前にいいフィーリングをつかんでおくことだと思う。リラックスして序盤からいいリズムを築くことができれば、いいイベントになると思うよ」

またこのスウェーデン戦には、フィエスタRS WRCが8台、RRCが3台、R5が8台、S2000が1台と、今回もフォードマシンが多数並ぶ。Mスポーツのサービスエリアには、ヘニング・ソルベルグ、ユーリ・プロタソフ、地元の英雄ポンタス・ティデマンドが合流する。

【WRCのツボ:スタート順】
WRCでは同じコースを1台ずつ順番に走行し、路面は刻一刻と変化していく。そのため、出走順がタイムに大きく影響してしまう。

たとえば、グラベル(未舗装路)ラリーでは、路面の上に乗っている砂利によってグリップを得られず、先頭走者は大きな不利を被る。これが雨となると先頭走者はクリーンな路面だが、後続は徐々に荒れた路面となり、逆に後続ほど不利になる。また、ターマック(舗装路)ラリーでは、インカットにより路肩の泥がアスファルト上に広がり、後続ほど滑りやすい路面となる場合もあるなど、ラリーにおいては出走順による有利不利は必ずつきまとう問題だ。

以前のWRCでは、初日の出走順は選手権ランキング順、2日目は1日目終了時点の順位、3日目は2日目終了時点の順位で走行することになっていた。そのため、1日目の最終SSで故意にスローダウンし、2日目のスタート順を有利な順番(先頭走者以外)にする戦略が半ば公然と行われていた時代もあった。



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