
©山本雄紀/ジェームズ・フルトン/TOYOTA
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生の小暮ひかる、山本雄紀、3期生の後藤正太郎、松下拓未、4期生コ・ドライバーの前川富哉が、3月8日にフィンランド南東部で開催されたフィンランドラリー選手権第3戦サボンリンナラリーに参戦。今季最後のスノーラリーで山本がSM1クラス3位でポディウムに上がった。小暮は5位でフィニッシュ。松下もSM2クラス3位を獲得し、後藤は10位で完走。また、4期生の前川はドライバーのヤルコ・ニカラと組んでSM3クラスに参戦し、初優勝を飾った。
小暮、山本、後藤、松下の次の参戦は4月24日〜27日に開催されるWRCラリーカナリア諸島(スペイン)。前川もレッキに参加して経験を積む。
(以下、発表リリース)
TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム
2期生の山本、3期生の松下、コ・ドライバーの前川が
今シーズン最後のスノーラリーで表彰台を獲得
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかると山本雄紀、3期生である後藤正太郎と松下拓未、コ・ドライバーの前川富哉が、3月8日(土)に、フィンランド南東部で開催されたフィンランド・ラリー選手権第3戦「SMサヴォリンナ・ラリー」に出場。2025年のウインターシーズンを締めくくるスノーラリーで山本がSM1クラス3位を獲得し、小暮は5位でフィニッシュ。松下がSM2クラス3位を獲得し、後藤は10位で完走。また、前川はドライバーのヤルッコ・ニカラと共にSM3クラスで初優勝を飾りました。
フィンランド南東部のサヴォンリンナをベースとするこのラリーは、今年からフィンランド・ラリー選手権のカレンダーに加わり、第3戦として開催されました。そのためTGR WRCチャレンジプログラムの全選手にとって、未知なるステージでの戦いになりました。摂氏0度以上という、この時期のフィンランドとしては比較的高い気温により、路面の雪や氷は一部が溶けてシャーベット状に。また、雪の下のグラベル(未舗装路)が露出している区間もあるなど、グリップレベルが頻繁に変化する、非常に難しいコンディションで行なわれました。ステージはもともと7本、合計104.3kmの競技区間が予定されていましたが、コンディションの悪化により、唯一2回走行する予定だった最後から2本目のSS6はキャンセルされました。
TGR WRCチャレンジプログラムの2期生である山本と小暮にとって、フィンランド選手権のラリーへの出場は約1年ぶりとなり、彼らは最初のステージを手堅く走り終えた後、徐々にペースを上げて行きました。他のドライバーたちが滑りやすいコンディションでコースオフするなどしてタイムを失う中、山本とコ・ドライバーのジェームズ・フルトンはSS4で3番手タイムを記録し総合3位に浮上。続くSS5ではフィンランド選手権で4度チャンピオンを獲得しているテーム・アスンマーに1.1秒差まで迫り、最終ステージに臨みました。
最終ステージでの山本は、アスンマーよりも6.3秒速い2番手タイムを記録しポジションを逆転。TGR WRCチャレンジプログラムのインストラクター、ユホ・ハンニネンをコ・ドライバーに迎えて出場し、序盤の遅れから挽回したTGR WRTのチーム代表ヤリ-マティ・ラトバラ(GR Yaris Rally2)に次ぐ、総合3位を獲得しました。なお、ラトバラと山本のタイム差は僅か1.4秒でした。また、コ・ドライバーのトピ・ルフティネンと共に出場した小暮は、総合5位でフィニッシュしました。
3期生ドライバーである松下と後藤は、今年初めてウインターシーズンに挑み、今回のラリーはルノー・クリオRally3で臨んだ4回目のスノーイベントでした。松下は最初のステージを終えた時点でSM2クラス6位につけましたが、その後スピードを増し、SS4ではクラス最速タイムを記録。首位に5.4秒差の4位に順位を上げ、続くSS5で3位に浮上すると、そのまま最後まで順位を守り切り、コ・ドライバーのペッカ・ケランダーと共にポディウムフィニッシュを果たしました。一方、後藤とコ・ドライバーのユッシ・リンドベリは順調な走りでクラス5位につけていましたが、最後のステージで雪壁に突っ込みスタック。脱出に25分に以上を要しましたが、クラス10位で完走しました。
コ・ドライバーである前川にとって、今回はWRCチャレンジプログラム参加後2回目のラリー参戦となり、フィンランド人ベテランドライバーのヤルッコ・ニカラと共にルノー・クリオRally4で出場しました。彼らは午前中にトップを争う力強い走りを披露し、最終ステージでライバルがコースアウトしたことにより、前川はSM3クラス初優勝を達成しました。
ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):
非常に難しいコンディションでのラリーになりましたが、我々のドライバーたちは全体的に良い仕事をしてくれましたし、素晴らしい結果を残すこともできました。柔らかいシャーベット状の路面、グラベルが露出した路面、凍結した路面など、グリップを判断し自信を持ってプッシュすることが難しいコンディションでした。そのような状況で山本が経験豊富なドライバーたちを相手に総合3位でフィニッシュしたのは素晴らしいことですし、今回の結果は彼の自信につながるでしょう。小暮もまた何度か速い区間タイムを記録し、グリップを予測しにくく、難しい状況下でも、クリーンなドライビングを続けました。また、松下も非常にいい走りでトップに肉薄し、後藤を含む多くのドライバーがコースオフした非常にトリッキーな最終ステージもクリーンに走り切りました。全体的には、彼らにとって非常にポジティブな最初のウインターシーズンとなり、様々なコンディションで多くの経験を積むことができました。さらに、前川もヤルッコと共に初勝利を飾るなど、コ・ドライバーとして素晴らしいスタートを切りました。
小暮ひかる:
私にとっては簡単なラリーではなく、コンディションに苦しみました。出走順が前のドライバーたちがコーナーをカットしたことにより、コーナリングライン上にたくさんの新雪や、シャーベット状の雪が掻き出されていたため、グリップレベルは数メートルごとに変化していました。予想が難しく、自信を持って走ることができなかったので、少しペースを落として慎重に走り、フィニッシュすることができました。このようなコンディションで学ぶことができたのは良かったですし、スピードには満足していませんが、走行距離を稼ぐこともできました。今後のために今回の経験を分析し、次のラリーではより良い結果を出せるようにしたいと思います。
山本雄紀:
表彰台に立つことができて本当に嬉しいですし、自分にとっては特別なリザルトです。序盤はトリッキーなコンディションに驚いて慎重になり過ぎましたが、その後はドライビングと考えかたを調整することができました。最終ステージを前にギャップが僅差であることは理解していましたが、それまで通りの走りを続けることを心がけ、上手く行ったと思います。ヤリ-マティとユホとのバトルは本当に楽しかったですし、彼らはステージの合間にもいろいろアドバイスをくれました。今回はヤリ-マティの方が速かったですが、彼から学び今後のレベルアップに繋げたいと思います。スウェーデンでは少し苦戦したので、この素晴らしい結果とパフォーマンスを出して冬を締めくくることができて、ホッとしています。
後藤正太郎:
今回のラリーでは、コンディション変化にかなり苦戦しました。同じステージでもグリップの良い場所と悪い場所があり、その判断が難しかったため、速く走れるはずのコーナーでも自信を持って攻めることができませんでした。最後のステージではペースノートの指示を少し聞き間違えて、コーナーに正しくないスピードで進入してしまい、柔らかい雪壁に突っ込みスタックしてしまいました。自分にとって初めてのスノーラリーだったここ数戦は、良いステージもあれば、そうでないステージもあったので、自分のドライビングを改善するために、どの部分に集中するべきか理解することができたと思います。
松下拓未:
厳しいラリーを走り切り、表彰台に立つことができて本当に嬉しいです。レッキを終えて、路面にシャーベット状の雪があったり、グラベルが出ていることはある程度予想していましたが、ラリー本番のコンディションは予想以上に酷い状態でした。グリップを感じることができるコーナーもありましたが、次のコーナーではまったくグリップがなかったりするなど、本当に難しかったです。スタート時は安定性を重視していましたが、その後は常にトップタイムに迫る走りができました。ウインターラリーの初戦で優勝し、その後は苦戦が続きましたが、このようなリザルトで冬を終えることができて嬉しいですし、あらゆるコンディションを経験できたことは、学習プロセスにおいて非常に有益でした。
前川富哉:
ヤルッコと私自身にとって、この勝利はとても嬉しいものです。コンディションが非常に厳しかったので、コース上に留まるのは容易ではありませんでしたが、ヤルッコの非常にクレバーなドライビングのおかげで、このような素晴らしい結果を残すことができました。彼の経験のおかげで、自分たちのペースノートはトリッキーな場所をマークするという点で非常に優れていたので、このようなコンディションでもラリー中に修正を加える必要はあまりありませんでした。もちろん、改善すべき点はまだたくさんあるので、これからもコ・ドライビングの向上に集中して取り組まなければなりません。
サヴォリンナ・ラリーの結果
SM1 class:
1 Esapekka Lappi/Enni Mälkönen (Škoda Fabia RS Rally2) 42m30.9s
2 Jari-Matti Latvala/Juho Hänninen (Toyota GR Yaris Rally2) +35.8s
3 山本 雄紀/ジェームズ・フルトン (Toyota GR Yaris Rally2) +37.2s
4 Teemu Asunmaa/Tuukka Shemeikka (Škoda Fabia RS Rally2) +43.5s
5 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2) +1m34.2s
6 Tommi Jylhä/Anssi Viinikka (Škoda Fabia R5) +2m22.1s
SM2 class:
1 Patrick Enok/Silver Simm (Ford Fiesta Rally3) 44m29.2s
2 Henri Altomaa/Jussi Kärpijoki (Renault Clio Rally3) +11.0s
3 松下 拓未/ペッカ・ケランダー (Renault Clio Rally3) +25.7s
4 Toni Herranen/Kimmo Pahkala (Renault Clio Rally3) +36.6s
5 Pekka Keski-Korsu/Hannu Lamminen (Renault Clio Rally3) +1m30.2s
6 Kristian Nieminen/Valtteri Nieminen (Ford Fiesta Rally3) +3m35.5s
10 後藤 正太郎/ユッシ・リンドベリ (Renault Clio Rally3) +27m43.7s
SM3 class:
1 ヤルッコ・ニカラ/前川 富哉 (Renault Clio Rally4) 48m05.2s
2 Niko Kalmi/Patric Öhman (Ford Fiesta Rally4) +38.4s
3 Esko Kytömäki/Niilo Ahonen (Ford Fiesta Rally4) +2m01.8s
4 Raoul Dahlqvist/Matias Peippo (Ford Fiesta Rally4) +3m59.6s
5 Can Alakoç/Ivo Pūkis (Renault Clio Rally4) +6m50.0s
6 Petri Gullans/Markus Ruuhimäki (Ford Fiesta R2T) +7m21.8s
■次回のイベント情報
小暮と山本、後藤と松下にとっての次戦は、4月24日から27日にかけて行われる、WRC初開催の「ラリー・イスラ・カナリアス」です。スペインのリゾートアイランド、グラン・カナリアで開催されるこのラリーはターマック(舗装路)イベントであり、ザラザラとした舗装路面が特徴です。小暮と山本は引き続きRall2車両のGR Yaris Rally2で、後藤と松下はRally3車両での出場となります。また、前川も経験を積むために、このラリーのレッキ(事前下見走行)に参加します。