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WRC第4戦ラリーカナリア諸島(ターマック)は競技最終日となる4月27日、SS14〜SS18の走行が行われ、TGR-WRTはカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデ、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン、勝田貴元/アーロン・ジョンストンがトップ4を独占したままフィニッシュ。さらにスーパーサンデーでもトップ4独占、パワーステージではトップ3独占と圧勝を飾った。
(以下、発表リリース)
WRC 第4戦 ラリー・イスラス・カナリアス デイ3
ロバンペラが一度も首位を譲ることなく今季初優勝
オジエ、エバンス、勝田は総合2、3、4位を獲得
4月27日(日)、2025年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・イスラス・カナリアスの最終日デイ3がスペインのカナリア諸島、グラン・カナリア島のラス・パルマスを起点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(GR YARIS Rally1 69号車)が優勝。セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)が総合2位で、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合3位で、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)が総合4位でフィニッシュし、TGR-WRTは1-2-3-4フィニッシュを達成しました。
ラリー・イスラス・カナリアスの最終日デイ3は、島の南側エリアで2本のステージを各2回走行。その間にはレーシングカート・サーキットでのスーパーSSが1本行なわれ、5本合計58.38kmのステージでタイムが競われました。島南側のステージは早朝から好天に恵まれて青空が広がり、路面はドライ。ラリー最終日に相応しい、素晴らしいステージコンディションとなりました。
デイ1の全6ステージを制し、デイ2でも6本のベストタイムを刻み首位を独走するロバンペラは、最終日の朝もライバルを圧倒するハイペースで走行。2本の山岳ステージで連続ベストタイムを刻み、総合2位のオジエとの差を51.1秒に拡げました。続く、1.5kmのレーシングカート・サーキットでのスーパーSS、SS16ではオジエが今大会初のベストタイムを他の二人のドライバーとわけ合い、ロバンペラは0.6秒差の9番手タイム。オジエはSS17も制し、両者のタイム差は49.5秒となりました。そして迎えた、ボーナスポイントがかかる最終のパワーステージ、SS18ではロバンペラが今大会15本目となるベストタイムを記録。2番手タイムのオジエに4秒という大差をつける圧巻の走りでパワーステージを制し、今シーズン初の優勝に華を添えました。彼のWRCでの優勝は昨年9月のラリー・チリ・ビオビオ以来となり通算16勝目。これまでトヨタのドライバーとしての優勝回数では15回でカルロス・サインツ、オジエと並んでいましたが、今回の勝利により単独トップとなりました。
これで、TGR-WRTは開幕から4連勝。オジエが総合2位、エバンスが総合3位でフィニッシュしたことにより表彰台を独占し、さらに勝田が総合4位に入ったことで2023年のサファリ・ラリー・ケニア以来となる、1-2-3-4フィニッシュを達成しました。また、日曜日だけのタイムで競われる「スーパーサンデー」と、「パワーステージ」も制したことで、ロバンペラはパーフェクトウインを達成。ドライバー選手権ランキングでは、第3戦終了時点での5位タイから、2位へと大きく順位を上げ、選手権首位の座を守ったエバンスとの差を43ポイントに縮めました。また、オジエは総合2位、スーパーサンデー2位、パワーステージ2番手タイムと、ロバンペラに次ぐ好結果を残し、チームの最大マニュファクチャラーズポイント獲得にも大きく貢献しました。エバンスは開幕4戦で、2回の優勝を含む4度のポディウムを獲得。今回も総合3位、スーパーサンデー3位、パワーステージ3番手タイムと、安定した速さでラリーを走り切り、確実にポイントを積み重ねました。
TGR-WRTとしては、総合順位、スーパーサンデー、パワーステージの全てで獲得可能な最大ポイントである60ポイントを加算することに成功。マニュファクチャラー選手権首位の座を守り、2番手チームとの差を51ポイントと、さらに拡大しました。
なお、サポート選手権のWRC2では、スペイン・ラリー選手権のチャンピオンであるアレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ組が、トヨタ・スペインの支援を受けたGR Yaris Rally2(テオ・マルティン・モータースポーツ)と共にクラス2位を獲得。総合順位でも9位でフィニッシュしました。
ユハ・カンクネン(チーム代表代行)
このような結果はめったにないことなので、私たちは本当に嬉しく思っています。チーム全員の努力のおかげでテストからセッティングまで全てが順調に進み、ドライバーたちがこのコースで完璧に操ることができるようなクルマに仕上りました。カッレのスピードは非常に素晴らしく、10点満点のドライブでした。彼はとてもリラックスしてクリーンな走りを続け、この週末を完全に支配下に置きました。私にとって彼のパフォーマンスは驚きではありません。彼は5速ギヤに入ると本当に速い走りをする、スピードボーイなのです。ただし、彼だけでなく今回はチーム全員が素晴らしい走りをしてくれました。セブは今年2戦に出場して1位と2位を獲得し、エルフィンも引き続き素晴らしい仕事を続け、貴元もこのラリーでの走りは本当に良かったと思います。今シーズンはまだ多くのラリーが残っていますし、競争はさらに激しくなると予想されますが、私はチームの仕事に自信を持っています。
エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 33号車)
チームにとっては素晴らしい週末となり、GR YARIS Rally1は驚異的なパフォーマンスを発揮しました。このラリーの難しさを理解し、クルマの準備と新しいタイヤへの適応を完璧にこなしたチームに、大きな感謝を捧げます。また、この週末誰も真似のできないペースを発揮したカッレを称賛したいと思いますし、セブも素晴らしかったと思います。もちろん、彼らと同じクルマに乗りながらもやや遅れを取り、優勝を争えなかったことには満足していません。しかし、それでも多くのポイントを獲得できたので喜ぶべきでしょう。
カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 69号車)
自分たちとチーム全員にとって、本当に素晴らしい週末でした。1-2-3-4フィニッシュという結果を再び得られたことは、非常に驚くべきことです。クルマはとても速く、運転を心から楽しむことができました。チーム全体が素晴らしい準備をしてくれたことに感謝します。また、ヨンネも素晴らしい仕事をしてくれましたし、二人でいい走りができたので、今回の勝利はこれまででもっとも満足できる勝利のひとつだと思います。このような高いレベルで、週末を通して一貫して速く走れることはそうありません。今日の目標は最大ポイントを獲得することでしたし、自分たちにとって本当に必要なことでした。エルフィンとのポイント差は依然として大きいですが、少なくとも一歩近づくことはできたので、引き続き頑張ります。
セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 17号車)
トップ4を独占した今回のリザルトは、チームにとって素晴らしいものです。毎回手にすることができるようなものではないので、満足するべきでしょう。私たちとしては、2位はもっともお気に入りの順位ではありませんが、それでも良い結果には違いありません。ラリー中の自分たちの走りはとても良かったと思いますし、クルマの運転を思い切り楽しむことができました。チームがこの週末最高のツールを提供してくれたことに感謝します。カッレとヨンネは手が付けられないほど強力でしたが、それでもチームに最大ポイントをもたらすことができたので、非常にポジティブな週末になりました。
勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 18号車)
このような素晴らしい結果を残したチームの一部になれたことを、とても誇りに思います。また、いいクルマを準備してくれたチーム全員に感謝します。週末を通してクルマはとても運転しやすく、だからこそ初めて出場する、今までとは異なるラリーで1-2-3-4フィニッシュを達成できたのだと思います。自分としては、さらに上位でフィニッシュできればより良かったとも思いますが、それでも大きなトラブルもなく良いラリーになりましたので、次のラリーにフォーカスを移し、改善を続けます。
ラリー・イスラス・カナリアスの結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1) 2h54m39.8s
2 セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ (トヨタ GR YARIS Rally1) +53.5s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1) +1m17.1s
4 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1) +2m02.9s
5 アドリアン・フォルモー/アレクサンドレ・コリア (ヒョンデ i20 N Rally1) +2m31.0s
6 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m11.4s
7 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1) +3m40.7s
8 ヨアン・ロッセル/アルノー・デュナン (シトロエン C3 Rally2) +7m10.7s
9 アレハンドロ・カチョン/ボルハ・ロサダ (トヨタ GR Yaris Rally2) +7m40.2s
10 ニコライ・グリアジン/コンスタンティン・アレクサンドロフ (シュコダ Fabia RS Rally2) +7m58.4s
R サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン (トヨタ GR YARIS Rally1)
(現地時間4月27日18時00分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)
第4戦終了時点でのドライバー選手権順位
1 エルフィン・エバンス 109ポイント
2 カッレ・ロバンペラ 66ポイント
3 ティエリー・ヌービル 59ポイント
4 セバスチャン・オジエ 58ポイント
5 オィット・タナック 57ポイント
6 アドリアン・フォルモー 44ポイント
7 勝田 貴元 39ポイント
8 サミ・パヤリ 19ポイント
9 グレゴワール・ミュンスター 16ポイント
10 マールティンシュ・セスクス 8ポイント
第4戦終了時点でのマニュファクチャラー選手権順位
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 208ポイント
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 157ポイント
3 M-Sport Ford World Rally Team 58ポイント
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 25ポイント
次回のイベント情報
WRC次戦は、5月15日(木)から18日(日)にかけて、ポルトガル北部のポルト近郊、マトジニョスを中心に開催される第5戦「ラリー・ポルトガル」です。ポルトガルは今シーズン、ヨーロッパで行われる最初のグラベル(未舗装路)ラリーとなり、同じくグラベルイベントとして開催された第3戦サファリ・ラリー・ケニアとはステージの特徴が大きく異なります。ステージを1回目に走行する際は、路面は砂利や砂に覆われており出走順が早いドライバーたちにとっては不利なコンディションとなります。そして、2回目の再走時は砂が掃けて下から硬い岩盤や石が現れるなど、1回目と2回目で路面コンディションが大きく変化するのがこのラリーの特徴です。