グラベル戦が続いたWRCは第9戦、古都トリアーを拠点としたラリードイツで舗装戦を迎える。
■プレビュー
ブドウ畑、軍事施設、風光明媚な郊外と、多彩な道路にステージが設定される、シーズンで最もトリッキーなイベントの一つ。さらに不安定な天候という要素も加わり、精密なドライビングと完璧なタイヤ選択が重要となる。
WRCでは、舗装戦でコンペティターがステージを走行する前にノートクルーがステージを走行して路面コンディションや天候分析を行うことが認められている。ドライバーに最新情報を与えてタイヤ選択を判断するためには、ノートクルーが効果的に機能し、天候パターンを予測することが不可欠だ。
選手権タイトル争いでは、現チャンピオンのセバスチャン・オジエとジュリアン・イングラシアに、3連覇確定の最初のチャンスが訪れている。ドイツでは過去2年、完走に恵まれていないオジエを、選手権ライバルがどこまで阻止できるかに注目が集まる。
■2015年ルート
金曜日はルクセンブルグとベルギーとの国境に近いエリアにステージを設定。2011年以来となるミッテルモーゼルのステージも登場する。土曜日はセント・ウェンデルの郊外を走行。2007年以来となるボーゼンベルグのステージも設定される。この日は、軍事施設を走行する難関パンツァープラッテも走行。イベント最長の45.61kmで設定されている。日曜日はモーゼルのブドウ畑地域周辺を走行。クライマックスとなるパワーステージは、初めてドーロンタルのステージに指定されている。
■ラリーデータ
開催日:2015年8月20-23日
本拠地:トリアー
時差:UTC +2
総走行距離: 1394.50km
総ステージ走行距離:374.43km (SS比率26.9%)
総SS数:21
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■主なマシンスペック
・ターマックサスペンション:車高を落とし安定性を高めてバランスを向上させる
・同一セクションで路面キャラクターが異なるため、セットアップは非常に複雑
・ドライコンディションにはハードコンパウンド、ウエットや冷涼なコンディション用にソフトも用意
■歴史
・初開催は1982年、当時はヨーロッパ選手権の一戦だった。
・2000年から拠点をトリアーに移し、WRC昇格は2002年。
・WRC戦になってから2013年まではシトロエン勢が勝利を独占。セバスチャン・ローブが9勝、セバスチャン・オジエ、ダニ・ソルドがそれぞれ1勝を挙げている。2014年はヒュンダイのティエリー・ヌービルがポディウムの頂点に上がった。
■見どころ
・モーゼルのブドウ畑。バンピーでナローな高速ステージは、丘陵地帯の連続ヘアピンに続き、高台の観戦エリアからは数kmに渡ってラリー車の走行を見渡すことができる。
・パンツァープラッテの軍事エリアに設定される2.87kmのスプリントステージは、1カ所で1本全体を観戦できる。このステージの後には、45.61kmのロングステージが待っている。