ラリーヒエラルキーではWRCに次ぐ地域選手権。アジア-パシフィック・ラリー選手権(APRC)も地域選手権の一シリーズだが、R5、S2000主流のヨーロッパとは異なり、総合タイトル争いの主力がS2000に移った今でも、グループN車両のニーズが高いのが現状だ。そこには、ホモロゲーション公認のキットを購入しなければならないR5、S2000車両の車両価格やランニングコストが高いことが理由の一つに挙げられる。
このため、南米ではアルゼンチン国内選手権が独自に生み出したMaxiカーが人気を集めており、南米選手権でもバラテックが地域選手権に参戦できるようにMaxiカーの登録を行った。
現在の地域選手権規定に従えば、地域選手権で参戦が認められた車両は、他の地域選手権(ヨーロッパ選手権以外)にも参戦できることになり、昨年からAPRCへの参戦が認められている日本のJAFのRJ車両もこれに当たる。つまり、APRCへの参戦手続きを行ったJN車両は、南米や中東、アフリカなどの地域選手権にも参戦が可能となる。
一方で、長くAPRCの主力マシンとして活躍してきたN4車両が、パフォーマンス面で性能差の大きいS2000が登場して以来、立ち位置が微妙になってきたことから、N4車両のニーズが高いAPRCでの対応が模索されてきた。
12月3日に行われたワールド・モータースポーツ・カウンシルでは、地域選手権に新カテゴリーの創設が認めれた。これを受けてAPRCのワーキンググループは、新カテゴリー発足への動きを早めている。関係筋によれば、具体的には新カテゴリーは、現行のR4以上にN4車両の改造度を格段に挙げた仕様を目指しており、S2000にも対抗できるパフォーマンスを目指すという。ここには、一定のマシンがシリーズを独占するのではなく、シリーズ争いが拮抗するような展開がイメージされている。
FIAの安全規定の遵守とのすり合わせが最大の課題となると思われるが、新カテゴリーの規定立案は現在、最終調整に入っているという。