今季、初めての世界シリーズを迎えているFIA世界ラリークロス選手権も、いよいよタイトル争いが大詰め。9月27−28日には第10戦がイタリアで開催される。先週のドイツで今季4勝目をマークし選手権首位に立っているペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)には、このイタリアで初代世界ラリークロスチャンピオンの座を射止めるチャンスが出てきた。
現在212ポイントで選手権リーダーとなっているペターと、2位のトーマス・ヘイッキネンとの差は52ポイント。ペターがこのイタリア戦で2位以下との差を60ポイント以上にまで広げることができれば、タイトルが確定する。
イタリア戦の舞台となるのはイタリア北部ブレシアにあるフランシャコルタ・インターナショナル・サーキット。今季3つめの新設サーキットとなる。1390mと他に比べて距離が長く、グラベル40%、ターマック60%となる。
タイトル獲得に王手をかけたペターは戦略を問われて「この段階では、最も重要なのはポイントを重ねること。イタリアでは、もし勝てるチャンスがあれば迷うことなく狙うが、最優先はタイトルだからリスクは負わない。いよいよ、プレッシャーを感じてきたよ」とコメント。
「このフランシャコルタは、開幕前のメディアイベントで訪れたから、どんなコースなのかはイメージできる。フルコースは走らなかったが、今季のカレンダーの中でも長いコースだし、高速ストレートや大ジャンプがあることも把握できている。他のコースよりも路面変化が大きく、フランスのロエアックと似たような感じだ」
ペターのタイトル確定を阻む可能性を残している強豪のひとりが、昨年のGRCチャンピオン、ヘイッキネン(フォルクスワーゲン・ポロ)。「今季は残り3戦。全部勝つつもりで全力を尽くすよ」というヘイッキネンは、23歳の若手成長株だ。「かなり厳しい状況にはなっているが、まだチャンスは十分にあると思っている」
さらに、レイニス・ニッティス、アンドレアス・バックラッド、ティマール・ティマラザヤノフ、アントン・マルクルンド、ティミー・ハンセンにも計算上はタイトルの可能性を残している。6台が一斉に第1コーナーを目指していくラリークロスは一瞬のミスで失う犠牲が大きく、前戦ドイツでは選手権2位につけていたニッティスがセミファイナル進出を逃し、獲得したポイントが1に留まるという波乱も起きるなど、残り3戦の行方はまったく予想がつかないとも言える。
イベントは9月26日にメディアコンファレンスが行われた後、27日はフリープラクティスに続きヒート1、ヒート2を走行。翌28日にヒート3、ヒート4を行い、合計ポイントによる上位12台がセミファイナルに進出。さらに6台によりファイナルが行われる。