WRCは今季の第4戦、轍の掘れやすいソフトでサンディなグラベル路と、対照的にナローでロッキーな道が入り交じるカレンダー屈指の難関グラベル戦、ラリーアルゼンチンを迎える。
巨大な川渡りや標高が変わるなどの試練に加え、天候は1本のステージのスタートとフィニッシュの間でさえ変わる可能性もあるほど不安定。1年のこの時期は、高地では深い霧に見舞われることも多い。WRCのカレンダーの中でも、アルゼンチンのラリーファンはとりわけ情熱的。熱い応援で参加者を迎える。何万人もの観客がステージが設定される山の中に繰り出し、コース脇にテントやキャンピングバンでキャンプを設置、バーベキューを楽しむ光景は、まるでカーニバルのような雰囲気だ。これに息を飲むような景観が加わるラリーアルゼンチンは、WRCの中でも独特の一戦だ。
■2016年のルート今年のラリーアルゼンチンには新旧のステージで構成され、設定されるステージのうち、2015年と全く同じ内容なのは10本中、3本のみ(SS5/9、SS10/13、SS16/18)。イベントは木曜日、コルドバの市街地に登場する全く新しいストリートステージで開幕。金曜日は南部に向かい、近年度々使用されているステージを使用する。土曜日は、2015年にも走行したVilla Bustos-Tantiを走行。残る2本は、近年走行したセクションを取り混ぜて設定される。日曜日は、月面のような光景でおなじみのTraslasierra、Mina Clavero-Giulio Césare、El Condor-Copinaが登場。El Condor-Copinaの2回目の走行は、パワーステージに指定されている。
■ラリーデータ
開催日:2016年4月21-24日
本拠地:ヴィラ・カルロス・パス
総走行距離: 1,333.26 km
総ステージ走行距離:364.68 km (SS比:27.35%)
総SS数:18
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
■主なマシンスペック
・グラベルサスペンション
・ステージは2回目のループでは轍が掘れるため、車高を上げる
・タイヤはハードとソフトのコンパウンドを準備
■歴史
・1回目の開催は1980年、北部のタクマン地方で開催。当時はラリーコダスールとして知られていた。
・1982年は、アルゼンチンと英国の間で勃発したフォークランド紛争の影響で開催がキャンセルされた。
・1983年に開催地をバリロックに移したが、1984年にコルドバに戻った。
・アルゼンチンはサッカーへの情熱も高く、2007年にはブエノスアイレスのリバープレートスタジアムにステージを設定。タジェーレスの本拠地、コルドバスタジアムでもステージを2回走行した他、フィニッシュも行われた。
■注目ポイント
・高地を走行するEl Condorでは、コース脇に立ち並ぶ巨石の上に大勢の観客が押し寄せる風景が有名。
・Giulio Cesareの月面のような光景は、とにかくドラマチック。アルゼンチンの名物だ。
・何万人もの情熱的なラテンアメリカの観客が大ジャンプに歓声を挙げる様子は、まさにお祭り騒ぎだ。