ERC第4戦アゾレス・エアラインラリー(グラベル)は6月2〜4日、ポルトガル領のアゾレス諸島最大の島、サンミゲル島で開催される。
ERCはここまでの3戦ですべて勝者が異なる結果となっており、昨年王者のカエタン・カエタノビッチはここまで未勝利ながら、3戦すべてで高得点を重ねタイトル争いでは首位につけている。ベテランのアレクセイ・ルキヤナクは開幕戦カナリアスで、強豪クレイグ・ブリーンは第2戦アイルランドで母国での連覇を果たしている。そして前戦第3戦で一気に注目を集めたのが、シュコダを駆るエストニア出身の若手、ラルフ・サーマキスだ。
昨年はERCジュニアでシリーズ2位に入ったサーマキスは、初めてのR5マシンでの参戦となった前戦アクロポリスでいきなり優勝。先週の日曜日に22回目の誕生日を迎えたばかりの若手だが、そのポテンシャルにはベテラン勢も脅威を感じ始めている。サーマキスは昨年のアゾレスにはジュニア部門で参戦しているが、序盤にリタイア。しかし「今年は、優勝しか考えていない」と鼻息が荒い。今回のアゾレスには、フォード・フィエスタR5のカエタノビッチ、ルキヤナク、シュコダ・ファビアR5のサーマキス、アゾレスの国内チャンピオン、ホセ・ペドロ・フォンテス(シトロエンDS3 R5)をはじめ、エントリーリストには27台のR5マシンが名を連ねている。
2015年チャンピオンで現シリーズリーダーのカエタノビッチは、昨年のアゾレスでブリーンと激戦を繰り広げた。しかし11.9秒差の2位で迎えた最終ループに向けて賭けに出たタイヤ戦略が裏目に出てしまい、惜しくも優勝を逃している。ルキヤナクのアゾレス参戦は今回が初めて。今季、グラベルでの速さが上がっているルキヤナクだけに、その走りも注目だ。今回はアゾレス3連覇のブリーンがエントリーしていないだけに、激しい優勝争いが期待されそうだ。
アゾレスラリーは、初開催が1965年と長い歴史を持っており、1992年にERCに組み込まれた後、3年前にカレンダーに復帰している。大西洋を臨む豪快な景観の中をラリーマシンが疾走する光景は、ドライバーにもファンからも人気が高い。
今年は16SS・215.53kmのステージが設定されており、うち11%がターマック区間となる。
イベントは6月2日に3.12kmのステージでERC勢の予選が行われた後、同日午後に4SSを走行。3日金曜日に設定される6SSには、イベント最長の名ステージ、Sete Cidadesでの2回の走行も含まれている。死火山の麓を周回するイベントのハイライトだ。さらに4日土曜日には6SSを走行し、夜にフィニッシュを迎える。