カルロス・サインツ、ケケ・ロズベルグ、ジャック・ブラバム、グラハム・ヒル、ジル・ビルヌーブ、マリオ・アンドレッティ……。
彼らはすべて、猛烈に速い息子を持つ世界に名だたる父親たちだ。
そして今、ソルベルグ家にもこの関係が誕生しつつある。ペターとオリバーだ。
4月、僕はポルトガルで行われた世界ラリークロス選手権の開幕戦では、2連覇中のタイトル防衛に向けて、最高の滑り出しを迎えた。でも、それ以降はポディウムの頂点から遠のいている。
一方、北ヨーロッパクロスカート選手権では、同じマシンで戦っているなかで、ライバルたちにラップあたり1秒も速いなど、 圧倒的な強さを見せているオリバーは、父にアドバイスを送ってくれた。
「父さん、勝つことは簡単にはいかない。簡単にできることなんてないけど、でも死ぬほどプッシュしないと、手にすることはできない。父さんは世界最高のドライバーなんだ。父さんならやり遂げる。信じているよ。みんな、父さんのことを信じているんだ」14歳の小さなスーパースターの口から発せられた言葉だ。
オリバーは正しい。僕はやり遂げる。先週は、さらにテストを重ねて、ジオメトリー、サスペンション、デファレンシャルを煮詰めてきた。
正直、マシンはまったく新しくなったようなものだ。今季の始めから、チームは信じられないほどの開発を続けてきたし、今もそれを続けてさらに速さを上げ続けようと挑んでいる。まだまだ満足はできないよ。
今週の開催地はスウェーデン。つまり、今月2度目の母国ラウンドだ。みんなもご存じのとおり、PSRXはスウェーデンのトースビーを拠点にしている。だから、チームスタッフもスウェーデン出身が多い。僕の奥さん、パニラのようにね。世界RX戦が開催されるヘリェスは、とてもドライブのしがいのあるコース。大好きだよ。拠点から近いからという理由だけじゃない。ここのコースは、本当にクールなんだ。ドライバーが本領を発揮して、ビッグアタックができる場所なんだ。
でも、一番のポイントは、ファン。ヘリェスのファンは、ものすごいんだ。本当にたくさんの人々がキャンピングカーで押し寄せる様子は、正直信じられないほどだよ。みんな、レース前から1週間泊まり込んで、パーティをしたりして楽しむ。僕も大好きだ。WRCでいえばアルゼンチンのエルコンドルが、世界RXではヘリェスなんだ。
こんな情熱のあるファンがいることを感じると、僕らも誇りを持って戦える。
世界RXドライバーズ選手権では、マティアス・エクストロームに5ポイント差の2位。でも、3位に浮上したセバスチャン・ローブとは37ポイント差をつけている。スウェーデンでは、首位奪還を目指してアタックしていくから、応援よろしく!