WRCフィンランド:新井大輝「自分に足りない部分を見極めたい」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCフィンランド:新井大輝「自分に足りない部分を見極めたい」

©Naoki Kobayashi

初めてのWRCだからといって、あまり感慨はないですね。エストニアで注目度が高かったのにはびっくりしたんです。自分のなかではあれがキャリアのなかで一番大きいイベントだったので、気負い的な部分では前回のラリーの方が強かったですね。

Naoki Kobayashi

Naoki Kobayashi

エストニアでのクラッシュの原因ははっきり分かっているので、身体的にも精神的にもダメージはありません。あれはペースノートのミスで、クラッシュした地点はレッキの時に前のクルマを追い越したところでした。だからあそこでは違うラインを通るしかなくて、本番の時にはこうなるんじゃないかと予想して書いたのが、実際とは違っていた。今回のレッキではそういうこともなかったし、自分で怪しいなと思ったところはキツくコーションをいれているので問題ないです。あとはペースノートに従って運転するだけですね。

今年ここまで走ってきて、気づいた点といえば、低速コーナーの走り方ですね。今まで自分は高速コーナーで負けているんじゃないかとずっと思ってたんです。でも実際はジャンクションとかヘアピンとかの低速コーナーがヘタで、そこで毎回ロスしている。高速コーナーで稼いだぶんを低速コーナーで3秒とか4秒負けて吐き出していました。例えばジャンクションで奥に膨らんでふかふかの部分に入ってタイムロスすると、その箇所だけでは1秒くらいのロスなんですけど、そこから先にかなり影響するんです。ジャンクションとかは攻めても差がでないので、抑えて走ればよかったんです。進入を抑えて、あとは加速で稼げばよかった。今までは攻め過ぎていたんです。今はちゃんと抑えて走ってます。

ここのステージは難しいですね。ジャンプするところが多くて、オウニンポウヤとかえげつないです。対策はクルマが壊れないようにきちんと4輪で着地することかな。R5は速いですけど、R4に比べると運転しやすいです。操作できる許容範囲が広い。ジャンプもバンプも心配しなくていいですし、コーナーで姿勢変化させても安定しているので僕の好みですね。でも、限界値が高いので、まだまだどこまでコーナーでコントロールできるかというのが、分かっていない。そこを詰めたいですね。
今回はWRC2の連中と戦うことになりますけど、自分が抑えて走った状態でどこまでくらいついていけるかをみたいです。今回のベンチマークは、ファビアに乗るスコット・ペダー(オーストラリア)かな。経験も豊富で、コンスタントにタイムを出せるドライバーだと思うので。トップを争うエルフィン・エバンスやテーム・スニネンは全開でくると思うんですけど、あの人たちのペースで走ったら完走できないのは間違いないので、一歩引いたところで自分には何が足りないかを見極めることに専念したいです。

コ・ドライバーをグレン・マクニールに変えたのは、自分はまだ経験が少ないので、経験豊富なコ・ドライバーからサポートしてもらって成長できる部分が大きいと思ったからです。グレンは自分が悩んでいるところを聞くと、こうじゃないの、というヒントをくれる。それは自分のなかでかなり大きい。組んでからペースノートも簡単に分かりやすいものに進化してます。コミュニケーション的にも(父親と組んでいたので)子供の頃からから知っているので問題ないし(笑)。
今年はこのあとフィンランド選手権に2回出て終わりです。目標はこのラリーで完走して、残り2戦では優勝を狙います。先生(ヨウニ・アンプヤ)からここで完走できたら、次は優勝を狙えと言われているんです。来年以降、長期スパンのイメージはあんまり考えていないですね。今年やるべきことを精一杯やらないと、来年、再来年はないと思っているので、とにかく今年のプログラムに集中してやっていきます。



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