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勝田貴元、GT86 CS-R3初のターマック戦で「しっかり完走してデータを持ち帰りたい」

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TOYOTA GAZOO Racingの若手ラリードライバー育成プログラムで、フィンランドを拠点にトレーニングを積む勝田貴元が、全日本ラリー選手権第6戦モントレー2016 in 嬬恋に参戦。今回貴元は、前戦の洞爺ラウンドでヘイキ・コバライネンが全日本デビューさせたGT86 CS-R3をドライブする。先週はフィンランド選手権第5戦ラリートゥルクを走り、クラス10位・総合11位でフィニッシュした彼が、スタート直前に意気込みを語ってくれた。

「今回はヘイキ・コバライネン選手がSUPER GTと重なっていて参戦できないこともあり、僕に白羽の矢が立ちました。(GT86 CS-R3は)前戦洞爺でデビューしたばかりですし、ターマックラリーも今回が初めてです。まだマシンとして完成していませんし、データも少ないので、少しでもラリーに出てマイレージを稼ぎたいというのがチームの方針です。僕としてもしっかり完走して、今後に向けたデータを持ち帰りたいと思っています」

フィンランドでの活動もあり、かなり多忙な貴元。事前にGT86 CS-R3をテストする時間はほとんどなかったという。

「このクルマに関してはテストで転がした程度で、ぶっつけ本番に近いです。去年も86で出ていますし、サーキットでの経験もあるので、FRのラリーカーに関しては問題はありません。GT86 CS-R3は、まだセッティングの幅が狭いんですが、今後TMGからのパーツも揃ってくるでしょうし、高いポテンシャルを持っています。ヨーロッパ仕様のラリーカーなので、日本で走るにはギヤレシオがロング過ぎるのが、ちょっと難しいですね」

昨年から本格的にラリー転向を果たした貴元は、フィンランドでのトレーニングによって自分の課題がクリアになったと明かしてくれた。

「昨年からラリーを初めて、まだ絶対的に経験が足りていない状態です。フィンランドで貴重な経験を積むことで、ペースノート製作に関しては成長している実感があります。でも、“ラリードライバーとしての考え方”というのが、まだ壁になっています。“ラリードライバーとしての考え方”は、ひとつのステージだけではなく、ラリー全体を考えて戦うこと。これが本当に難しい」

サーキットでキャリアをスタートさせた貴元にとって、目の前のコーナーに集中するのではなく、ラリー全体としてドライビングをコントロールするのは、至難の技のようだ。

「サーキットはひとつひとつのコーナーで、限界を1/1000秒ずつ削っていく作業です。でも、ラリーは目の前のコーナーだけでなく、その先、さらにその先もトータルで考えなければならない。アベレージでスピードを上げていくのが本当に難しい。どうしても、目の前のコーナーを攻め過ぎてしまうし、そこで失敗してしまうと分かっていても、落ち込んでしまいます。マージンを残しつつ、抑え過ぎないという微妙なコントロールができていません。それでもフィンランドで半年間学んできたことで、自分のなかで課題が明確になって、どうすればいいのか分かってきました。それさえ身に付けていけば、他のラリードライバーにない部分が、アドバンテージになると思っています」

今回の参戦はテスト的な意味合いが強いため、あくまでも完走が絶対命題となる。

「今回はかなり豪華なエントリーになりましたし、クラスを盛り上げる1台になったのは嬉しいですね。ドライターマックになれば、FRのマシンですし、ドライビングで稼げる自信もあったんですが、雨になってしまったので……(笑)。ちょっとしたミスが致命傷になりますし、壊さないようにマイレージを稼ぐのが第一だと思っています」



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