Mスポーツは、コルシカからわずかな時間でWRC次戦スペインへの準備を進めるなかでも、2017年型WRカーのテストを一週間レベルで行うなど、意欲的な活動を続けている。
長くラリー活動を続けている彼らは、ドライバーだけでなくエンジニア、メカニック陣営も、数々の時間との勝負を乗り越えてきた。折しも今回のスペイン戦は、初日がグラベル、2日目からはターマックと、デイ1の最終サービスでは拡大される75分の制限時間でマシンの仕様を一変させなくてはならない。その範囲は、サスペンション、ブレーキはもとより、ギヤボックス、リヤディファレンシャル、ステアリングラック、クロスメンバーにまでおよび、一般車で行うとすれば12時間はかかるとされる大作業だ。
Mスポーツは今回、マッズ・オストベルグ、エリック・カミリの他、オィット・タナック、ロレンツォ・ベルテッリとフォード・フィエスタRS WRCを4台、さらにマリウス・アーセン、サンデル・パルンのフィエスタR5と、6台のメンテナンスを担当。サービスパークでは、Mスポーツ陣営が慌ただしく奮闘する模様が見られることだろう。
ターマック連戦では、苦手な路面を成長の機会と捉えて堅実にこなしてきたマッズ・オストベルグは、得意とするグラベルのステージを待ちわびているひとり。さらにターマックでも、ここのところの連戦でドライビングに新しい戦略を見いだし、ここで成長を見せたいところだ。
スペインにはこれまで6回参戦の経験があるオストベルグは「スペインはとてもエンジョイできるし、これまでもいい走りをしてきたイベント」と期待を寄せる。
「またグラベルを走るのが本当に楽しみだし、舗装セクションではコルシカで学んだことを活かしたい。もし、すべてが思いどおりに進めば、トップ争いに挑まない理由はない。特にグラベルセクションではね」
「コルシカの後は、自宅でスペイン向けの準備を進めた後、そのままテストと、10月は本当に忙しい」とカミリ。
「2017年のマシンは、本当に素晴らしいし、チームとしてこのプリペアに関われることがうれしいよ。スペインは1度しか参戦したことがないけど、ターマックステージはサーキットのようで、とても好きだ。去年は舗装セクションでいいタイムを出した。WRCドライバーとして挑むのはまったく別モノだが、ベストを尽くすよ。今回もクリーンなラリーを目指すが、もし手応えを感じられれば、いいスピードを出すこともできると思っている。ちょうど、コルシカのようにね」