先週末、WRC英国戦でマニュファクチャラーズ選手権4連覇を決めたばかりのフォルクスワーゲンに、再びWRC撤退の噂が持ち上がっている。英国、ドイツなど複数のモータースポーツメディアが報道した。
11月1日には、ドイツのフォルクスワーゲン社で首脳部による会議が行われ、複数のヨーロッパメディアは各自の情報筋として撤退が確定した模様だと報道。焦点はすでに、4連覇王者のセバスチャン・オジエを含むドライバーの去就に移っている。現在、2017年WRCのドライバーズラインナップが確定しているのは、ヒュンダイとシトロエンで、Mスポーツは来季のドライバーについては沈黙を貫いているほか、復帰するトヨタは、ユホ・ハンニネンひとりの発表に留まっている。
さらにフォルクスワーゲンをスポンサードしてきたレッドブルの資金がどこに流れていくのかという点に注目するメディアもあるなど、WRC業界に激震が走っている。
起因として思い起こされるのは、米国で発覚したディーゼルエンジンのデータ改竄問題。この件が持ち上がった後の3月には、フォルクスワーゲン・モータースポーツはあらためて2019年までのWRC活動継続を明確に表明していたが、10月下旬には、米国でフォルクスワーゲン社と自動車購入者・販売ディーラーとの間で補償について合意に達し、当該モデルの買い取り作業が始まったと伝えられており、フォルクスワーゲン社は莫大な予算を強いられることは明らかだ。その額については150億米ドル(日本円約1.5兆円)とも伝えられており、すでにグループ会社のアウディはモータースポーツ活動の再編成を発表、長年継続してきた世界耐久選手権(WEC)からの撤退と、フォーミュラEへの転換が決まっている。
一方、フォルクスワーゲンからは依然として公式な発表は行われていないが、早ければ11月2日にも声明を発表すると見られている。