フォルクスワーゲンの今季いっぱいでのWRC活動終了に伴い、11月に入ってから突如ストーブリーグに放出されたドライバー陣。そのうち、セバスチャン・オジエとヤリ‐マティ・ラトバラについては、まもなく去就が固まりそうであることをwrc.comが伝えている。
wrc.comは、フィンランドのメディアによる報道として、ラトバラがトヨタとの契約に向かって進んでいることを伝えている。トヨタのWRCチーム代表である同郷フィンランドのトミ・マキネンは、12月13日には国内ヘルシンキでチームの体制発表会を行う予定にしており、ここで公式な発表が行われると見られる。チームは現在、2017年参戦ドライバーとして、ユホ・ハンニネンのひとりだけを確定しているに留まっている。
この報道に対して、発表会までにトヨタから公式コメントが出る可能性は低そうだが、もしラトバラがトヨタと契約することになれば、先月スペインでヤリスWRCをテストドライブしたオジエのトヨタ入りの選択肢は消えることになると見られる。
そのオジエは、自身の去就についてまだ明かしてはいないが、先月同じくフォード・フィエスタをテストドライブしていることから、Mスポーツからのオファーを検討しているのではないかと考えられている一方で、シトロエンへの移籍も完全にはまだ否定していない。
そして、ここにきての変化球技として見られているのが、来季以降もポロRのドライブを続けることができるチャンスがあるというものだ。マニュファクチャラーズ選手権を4連覇したフォルクスワーゲンは、今季いっぱいでワークスとしての活動は中止するが、フォルクスワーゲンの首脳部がプライベート体制によるチームを立ち上げて2017年スペックのポロR WRCをWRCのステージで走らせようという動きが出ているというのだ。
フォルクスワーゲン・グループのモータースポーツチーフ、ウォルフガング・デュレイマーはオートカーマガジンの取材に対し、自分は自社のモデルを競技参戦させることについては常に推進派だと語っており、フォルクスワーゲンのワークスチームは撤退するものの、興味を持っている組織との交渉についている模様だ。
デュレイマーは、会社にコスト面での負担がなく、チームへの投資に適切な契約が固まれば、フォルクスワーゲン・モータースポーツのチームスタッフを、マシンの開発と運営に向けることができると説明した。
「どのような求められ方をするにせよ、我々の専門知識を提供する用意はある」とデュレイマー。
「1月のモンテカルロにチームを参戦させ、選手権を通して継続できる契約を期待している。もしそれが実現できれば、最高のストーリーになる。苦境から立ち上がったチームとして見られるだろうし、ファンにも歓迎してもらえる」
一方、この報道では、不確定情報として、2017年にポロRをドライブする有力候補として、ナッサー・アル‐アティヤの名前が挙がっていることを伝えている。アル‐アティヤは母国カタールからの支援による資本を確立しており、そのカタールは、フォルクスワーゲンの大株主でもあるのだ。