TOYOTA GAZOO Racingは、3月9日(木)から12日(日)にかけて開催されるFIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリーメキシコに、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)とユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム組(#11号車)の、2台のヤリスWRCで参戦する。メキシコの厳しい未舗装路から多くのことを学ぶべく、3戦連続となる2台完走を目指す。
2月に行われた第2戦ラリースウェーデンでは、ラトバラ/アンティラ組が、トヨタにとって1999年以来18年ぶりとなるWRC総合優勝を実現。チームの志気はさらに高まったが、今季最初のグラベルイベントであるメキシコはトヨタにとって未知なるラリーであり、新たな挑戦となる。
ラリーメキシコは、2004年に初めてWRCのカレンダー入りを果たし、以降シーズン最初のグラベルラリーとして定着している。3月のメキシコは外気温が摂氏30度前後に達し、かなり暑い。そして、タイムアタックが行われるスペシャルステージ(SS)は海抜1,800m〜2,737mの高地が舞台となるため、最高地点周辺では空気密度の減少によりエンジンの最高出力が通常よりも20%程度低下すると言われている。ドライバー、マシン、エンジニアにとってメキシコは、他のグラベルラリー以上にタフさが求められる1戦である。
今年もラリーメキシコはグアナファト州のレオンを中心に開催されるが、初の試みとして首都メキシコシティでオープニングステージが予定されている。9日(木)の夜に、市の中心部の観光名所ソカロ(憲法広場)で、全長1.57kmの市街地SSが2本行われ、競技開始。翌日10日(金)よりレオン周辺でグラベルステージがスタートするが、SS2は全長54.9kmと非常に長く、今季ここまでのところ最長のSSとなる。また、同日夕方のSS6では、ユネスコ世界遺産に指定されているグアナファトの町中で、かつて銀鉱のために設けられた地下道をコースに含む市街地SSが予定されており、盛りだくさんな1日となる。そして11日(土)、12日(日)と計4日間にわたる競技は、ボーナスのドライバーズポイントがかかるパワーステージのSS19で幕を閉じる。SSの合計距離は370.46km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は897.68kmとなっている。
ラトバラは2016年にメキシコ初優勝を果たしているが、前戦からの好調を維持して走りきることを目標とする。一方、ハンニネンは2011年に1度出場したのみで経験は十分とはいえないが、得意とするグラベルラリーで今季のベストリザルトを狙う。チームは、メキシコを想定したテストを2月末にスペインで実施し、ラトバラとハンニネンは、チームとともにヤリスWRCをラリーメキシコ仕様に仕立てあげた。
トミ・マキネン(チーム代表)
「我々がこれまでに実施してきたテストは大部分がグラベルのコースだったので、メキシコに向けてはそれなりに自信を持っています。しかし、ひとつだけ読めないのは、高い気温と高い標高の組み合わせがどのように影響するかということです。昨年、我々はスペインのグラベルコースで気温が40度に達するような状況でテストを行いました。また、エンジニアは高地でのエンジンマッピングについて開発作業を続けてきました。しかし、実際にこのふたつの要素が一緒になった時にどうなるのかは、分かりません。
前戦ラリースウェーデンでは優勝という、信じられないような結果を得ることができましたが、地に足を着け、より一層成長できるよう本戦もハードに仕事をしたいと思います。現在、WRCは全マニュファクチャラーの力が拮抗しており、最速タイムを競い合っています。これは、このスポーツにとって素晴らしい事だと思います」
「昨年優勝したラリーメキシコには、とても良い思い出があります。しかし、勝つことができた理由の1つは、私は出走順が遅かったため、早い出走順の選手たちが苦労しながら走って掃除をしてくれた、クリーンな状態のグラベルコースを走行することができたことだと思います。今年は逆の立場になりますし、5位以内に入る事ができたら、喜ぶべきでしょう。
今後については、常にベストを尽くし、安定性を保つことができれば、1年が終る頃には選手権で良い位置にいるかもしれません。もっとも、今年は我々のチームにとって最初のシーズンなので、それが1番の目的ではありませんが。
ラリーメキシコは、いつもとても良い雰囲気です。去年、メキシコのファンは私の事を「ラ・バラ」と呼んでくれましたが、それは「弾丸」という意味だそうです。ファンの皆さんに喜んで頂けるように頑張りたいですね」
ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC #11号車)
「ラリーメキシコは2011年に1度出たきりですが、個人的に好きなラリーです。グラベルのコースを走るのは常に楽しいですが、金曜日に用意されるロングSSの「エル・ショコラテ」は、私にとって非常に大きなチャンスとなるかもしれません。今回、私の出走順は良いはずなので、それを最大限に活用して戦いたいと思います。
前戦のスウェーデンは私自身にとっては良いラリーではありませんでしたが、今後の戦い方について多くの事を学べました。特に、事前のテストを通じて、自分自身が準備ができていると確信を得た状態になることが重要です。ラリーメキシコに向けたテストは、サスペンション等のセッティングを多少変えた程度ですが、とても満足のできる内容で、自信を持って本番に臨むことができます。エンジニアの皆がエンジンに施した仕事は完璧で、高い標高でもいつも通りに運転できるのではないか、とさえ思っています」