長きに渡るシトロエンでのWRC活動にピリオドを打ったセバスチャン・ローブ。しかし、Mスポーツ代表のマルコム・ウィルソンは、ローブが以前、フォードをテストドライブし、契約寸前まで交渉が進んでいたことを明らかにした。
ローブとコ・ドライバーのダニエル・エレナが、英国カンブリアにあるMスポーツにウィルソンを訪ねたのは、WRC初タイトルを獲得した翌年、2005年の夏。ローブはその後、近郊の林道でフォーカスRS WRCをテストしたという。
「彼がフォードを乗っている姿を見るのは最高の気分だったよ」とウィルソンは明かす。「彼が何を求めているかも、そのためには我々が資金を集めなくてはならないことも分かっていた。でも、最終的には彼はシトロエンに残ることを希望した。おそらく彼はその後の2006年が辛抱の年になることを知っていたのではないかな。そしてシトロエンは、2007年に新型マシンでの長期契約を結んだ」
「彼は、フランスのチームでフランスのマシンに乗るフランス人のドライバーだったんだ」
ローブは2006年はサテライトチームのクロノス・レーシングからのプライベート参戦になることを承知で、シトロエン残留を決断した。ローブはフォードのテストを受けたこの年、タイトルを防衛した後、さらに7年連続で世界タイトルを獲得することになる。
ウィルソンは、もしローブが2006年にフォードから参戦していても、同じだけタイトルを獲得しただろうと確信している。
「彼は我々のマシンでも同じ成果を出しただろう。結果は何も変わりはしなかった」