ERC第4戦キプロスラリー(ターマック&グラベルのミックス)は、6月16日にキプロスの首都ニコシアで開幕。16日に4.85kmのステージで予選が行われた後、17日はレグ1に設定された8SS、117.40kmの走行が設定されたが、SS2はアクシデントを起こしたマシンがステージを塞いだためにキャンセル。結果、7SSで争われ、過去キプロスでは4勝をマークしているナッサー・アルアティヤ(フォード・フィエスタR5)が首位に立った。
この日の最終ステージは例年通り、ニコシアを分割する国連の緩衝地帯(通称グリーンライン)をまたぐスーパーSS。アルアティヤは、このステージのフィニッシュラインを超えた時点で、3分19秒の大差をつけて競技初日をトップで折り返した。
この日は選手権上位陣にトラブルが連発し、選手権リーダーのブルーノ・マガリエス(シュコダ・ファビアR5)は、パンクに見舞われタイヤ交換により停車した後に走行を続けたムラット・ボスタンキ(フィエスタR5)が巻き上げるダストの煽りを受けてタイムロス。
ニコライ・グライジン(ファビアR5)は、SS3でコースオフしてディッチにはまってしまった。スペクテイターの助けを借りてステージに復帰したが、SS5ではメカニカルトラブルが発生。ステージは走り切り、応急処置を施してSS6もフィニッシュしたが、ギアボックスのトラブルと判明、リタイアとなった。
さらにこのSS6では、ボスタンキ、昨年チャンピオンのカエタン・カエタノビッチ(フィエスタR5)、マガリエスが3人揃ってスタートから4km付近の全く同じ右コーナーでクラッシュ。3クルーには怪我はないが、マシンのダメージは大きく、デイ2を再スタートできる見込みがあるのはカエタノビッチだけだ。
この日を首位で終えたアルアティヤもトラブルなしとはいかず、SS7ではスタートから10km付近で左リアのパンクを喫している。
「本当に難しいラリーで、最後まで戦い続けるには強さが必要だ」と語るアルアティヤは、前戦のアクロポリスでも初日は首位で折返しながら、レグ2はメカニカルトラブルでリタイアを喫している。
「SS7ではパンクがあったが、もしペースを落としてステージを走り切ったとしても、ステージを制することができるのか、疑問だ。ドライバーたちのペースはとても高いし、常にプッシュしなくてはならない。今日を走り切ることができて、大差でリードできて本当にハッピーだよ」
「明日も走り切りたいが、速さも必要だ。今回は勝つことが求められるからね。明日は、キプロス5回目の勝利を獲得するために、全力を尽くすよ」
ERC2は、地元キプロスのクリストス・デモステノウス(三菱ランサーエボリューションIX)、ERC3はカストロール・フォード・チーム・トルコのウミキャン・オデミール(フォード・フィエスタR2)が首位に付けている。
競技最終日となるレグ2は、2SSを2ループした後、ニコシアの市街地を走行する2本のラブ・キプロス・ゴールデン・ステージを2回走行する計6SS・102.34kmが設定されている。ゴールデン・ステージは1本目がオールグラベルの5.31km、2本目はグラベル74%・ターマック26%とミックス路面の6.17km。このゴールデン・ステージには今年も、総額2万4000ユーロの賞金が懸けられており、2本の合計でベストタイムをマークしたドライバーには1万ユーロ、2WDマシンのトップタイムドライバーには7000ユーロが贈られる。
ERCキプロス:レグ1結果
1 Nアルアティヤ(フォード・フィエスタR5) 1:25:53.8
2 A.ソウロフタス(シトロエンDS3 R5) +3:19.0
3 P.ポリカルポウ(三菱ランサーエボリューションIX) +3:40.2
4 C.デモステノウス(三菱ランサーエボリューションIX) +3:57.8
5 S.ガラタリオティス(三菱ランサーエボリューションIX) +4:35.1
6 A.フォン・ターン・アンド・タクシス(シュコダ・ファビアR5) +4:41.8