TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元、新井大輝が、7月27-30日に開催されたWRC第9戦ラリーフィンランドのWRC2部門にフォード・フィエスタR5で参戦。勝田/マルコ・サルミネン組、新井/グレン・マクニール組ともにマシントラブルに見舞われながらも随所で好タイムを記録し、昨年からの成長を示して見せたが、両クルーとも最終日にリタイアとなった。
勝田、新井にとって昨年に続き2度目の参戦となったラリーフィンランドは、多くのジャンプとクレストのあるステージを特徴とする、WRC最速とも言われるグラベルラリー。フィンランドを拠点とし、この地で多くのトレーニングを重ねてきた両選手にとって、今回のホームラリーはふたりの成長度合いが試される場となった。
新井はデイ2、マシントラブルに悩まされながらも堅実にラリーを運び、激しい争いとなったWRC2のなか3位でデイ2を終えた。翌デイ3、今度は過給圧のトラブルによりスピードが上がらず、5位に順位を落としたが、一日を通し忍耐強い走りを見せた。最終日のデイ4は気持ちを新たに臨んだものの、この日2本目のSS23でコースオフし、マシンを立ち木にヒット。ラリーの継続が困難となり2つのSSを残してリタイアとなった。
勝田はデイ2、エンジンルームに入り込んだ石によりオルタネータベルトが切れ、ロードセクションで交換を試みたがTCに間に合わず、SS2走行後に早くもデイリタイアとなった。デイ3、ラリー2規定により再出走した勝田は、SS16の「オウニンポウヤ1」で2位、 2ループ目のSS19「オウニンポウヤ2」でも3位のタイムを記録し大きな成長を証明したが、翌デイ4最初のSS22でハーフスピンを喫し、ラジエータにダメージを受けリタイアとなった。
勝田貴元
「最終日のSS、ごく普通のコーナーでハーフスピンしてしまい、車へのダメージからリタイアとなりました。レッキも含めこの1週間で得たこと、感じたことはポジティブなことが多かっただけに、小さなミスで完走できなかったことがとても悔しいです。昨年、このラリーを走ったときに比べ、ペースノートもドライビングも自分自身でとても成長を感じることができました。それだけに結果は本当に残念ですが、今回の走行で自信を得ることもできたので、そのフィーリングを保ちながら、次回以降は“走りきる”ことに重点を置いて挑みたいと思います」
新井大輝
「今回はマシントラブルも多かったので、その状況でどうやって車をゴールまで運べるかを考えてラリーを進めていました。そんな中で多くの学びがあったのですが、最終日に些細なミスで車がラインから外れてしまいラリーを終わらせてしまいました。前戦、前々戦とリタイアが続いており、悪い流れを断ち切りたかったのでとても残念です。今後、WRCのような長いイベントでトラブルが起きたときの対処の仕方や、ストレスの持っていき方など、ノートや運転のスキルだけでなく、自分自身に向き合ってさらに成長したいと思います」
ヨウニ・アンプヤ(チーフインストラクター)
「勝田、新井ともに良い走りは見せましたが完走できず複雑な思いです。2台ともマシントラブルもありましたが、それについてはうまく対処したと思います。良かった点は、ふたりとも昨年に比べ非常に競争力あるスピードを見せてくれたことです。昨年の参戦時は、トップから1キロあたり2-3秒遅れていましたが、今年はWRC2のトップ3のタイムを争うようになったことからも、彼らの成長は明らかでした。このスピードで走行するためのペースノート、ドライビングスタイル、車両セットアップを彼らが身につけてからまだ日が浅いので、今後はラリーの初日から最終日まで通してそれらをうまくコントロールできるよう、さらに経験が必要です」