10月5日(木)から8日(日)にかけて、スペインのカタルニア州で開催されるWRC第11戦スペイン。大御所WRCメディア、マーティン・ホームズによるラリー直前のWRCチーム近況をお届けしよう。
シトロエン
ドイツでの最も価値の高い収穫は、ゲストドライバーのアンドレアス・ミケルセンがポディウムに上がり、チームのポテンシャルが高まったこと。ラリーカタルニア最大の試練は、金曜日に2回走行する39kmのミックス路面ステージ。バランスの取れたセットアップを見つけることが重要となる。
プレイベントテストは、グラベルステージに専念。デイ1がドライで、それほどダストが上がらなければ、走行順の面ではチームが有利に立つことが期待される。
このイベントでは、テクニカル面での大きな変更は予定されていない。使用するマシンはフィンランドと同じだが、ステファン・ルフェーブルはクレイグ・ブリーンが使用したマシンを駆ることになる。
ラリーGBのエントリーは、クリス・ミーク、ブリーン、ハリ・アル‐カシミとなり、最終戦オーストラリアのエントリーの最終決定は、後日発表される。
ヒュンダイ
ニュース満載の一週間となった。ヘイデン・パッドンに代わってカタルニアに参戦するアンドレアス・ミケルセンは、ヒュンダイからの初ラリーとなるが、2年間のWRC参戦契約にも合意。ミケルセンは、4人目のドライバーを務める。また、オペルのドライバー、ヤリ・フッツネンが若手育成プログラムのシュートアウトを通過し、2018年のWRC2に参戦することが決まった。
ラリードイツは、チームにとっては悪夢の結果となった。ティエリー・ヌービルは小さなミスが大きな痛手となり、ダニ・ソルドは珍しいミス。期待されたサービスパークでの改良も不発に終わり、サールブルッケンのステージは最悪の内容となった。
ミックス路面イベントのカタルニアは、かなり独特。チームは、タラゴナ周辺で、グラベルとターマックの両路面でテストを実施した。またミケルセンは、フランスのマザメ周辺でも、ターマックテストを1日行っている。両路面を戦うスペインでは、グラベルにもターマックにも気をかけなくてはならない独特の厳しさがある。
テクニカル面の変更を一部予定しており、このラリーに間に合うように公認が進められている。使用するマシンはドイツと同じで、ミケルセンはパッドンが使用したマシンを使う。
Mスポーツ
ノートラブルでラリードイツを終えたMスポーツは、その後ラリーデイを開催。スペインでは、9台を走らせる忙しいチームだ(GBでは10台になる模様)。
カタルニアのステージ自体は、これといった試練はないが、新規定の(より複雑になった)マシンを、75分に拡大されたサービス時間内にグラベル仕様からターマック仕様に変更するのは、これが初めてだ。大所帯のMスポーツにとっては、これが最も大きな試練となると見られる。
テストは舗装に専念し、3人のドライバーが1日ずつ行った。マシンにはテクニカル面での変更はなく、全ドライバーがドイツで使用したマシンを使う。
ドイツ戦の振り返りとしては、チームはサービスパークとサールブルッケンのステージは、改良の余地があると感じたようだ。
トヨタ
ラリードイツに関しては、フィンランドでのヤリ‐マティ・ラトバラ車のECUトラブルに続き、ユホ・ハンニネンが予想外のダンパートラブルに見舞われるなど、テクニカルトラブルが続き課題を残した。
スペインでの主な試練は、両路面とも、ここまでのラリーと全く異なるため、チームはラリー開催地の近郊で、両路面で同じようにテストを行った。
技術的な変更点は、ブレーキの冷却システムにアップデートを行い、ダートやグラベルでの回復力を向上させた。これにより、グラベルでもターマックでも、同じパーツを使用できる。
チームが走らせる3台は、すべてドイツで使用されたもの。注目点は、ラトバラはスペイン戦では2012年から4年連続で2位フィニッシュを果たしている。トヨタ・ガズーレーシングWRTの代表、トミ・マキネンが20年前に三菱でマークして以来、スペインでのフィンランド人ウイナーは誕生していない。
(Martin Holmes)