WRCは6週間のブレイクを経て、シーズン唯一のミックス路面イベント、ラリースペインを迎える。初開催は1957年。1975年に初めてヨーロッパ選手権カレンダーに入り、1991年にWRCに加わった。当時の拠点は、リョレート・デ・ マールだったが、2002年にサロウに移し、2010年からタラゴナの丘陵地帯を舞台とするミックス路面を舞台とするラリーとなった。
グラベルとターマックの2つの路面に挑むことは、クルーはもちろんチームにもさらなる試練となる。ルーズグラベル路面の初日を戦った後、チームは金曜日の最終サービスに与えられた75分間で、マシンをグラベル仕様からターマックスペックに変更しなくてはならない。そしてドライバーも、その後の2日間で待ち受ける高速でリズミカルなターマックステージに向けて、即座にドライビングスタイルを切り替え、対応する必要がある。気温が高ければ、タイヤマネジメントも大きな要素となり得る。
新規定のWRカーが導入された今年は、例年以上にエキサイティングで予想のつかないシーズンとなっており、3戦を残した時点でもタイトル争いが続いている。セバスチャン・オジエは上位リザルトの常連だが、激しい追い上げを続けるティエリー・ヌービルも初タイトルを視野に入れている。このイベントでは、Mスポーツがタイトルを確定させる可能性が上がっており、ヒュンダイは、アンドレアス・ミケルセンを新加入させ、マニュファクチャラーズ選手権での争いにテコ入れを行い、必死の攻防を続ける。
WRC2部門は、すでにポンタス・ティデマンドがタイトルを確定させているが、今回も16台がエントリーしている。一方、全6戦のJWRCはこのスペインが最終戦。WRC3タイトルを確定させている地元スペインのニル・ソランスが選手権リーダーに立っており、同2位のニコラス・シャミンとの対決に注目が集まる。
■2017年のルート
木曜日の夜、サロウでセレモニアルスタートを行った後、金曜日にクルーはおなじみのグラベルステージに向かう。しかし、テラ・アトラのロングステージには、ターマックセクションも数多く含まれる。この日の最終サービスでマシンをターマックスペックに変更した後、土曜日には新しいステージが2本登場する。エル・ポンド・アルメンテラは昨年とは逆走の設定。サバラは、まったく新しいステージだ。この日は、サロウのシーフロントに設定されるショートステージで締めくくる。日曜日は、実質的には新ステージ同様の設定で、2012年以来の構成、または逆走での設定となる。フィニッシュまで気を緩める隙はなく、最終日の6ステージ、74.26kmの間には、サービスは設定されない。
ライブ中継は、3本のステージで予定されている。土曜日はエル・モントメルの2回目の走行、日曜日のサンタ・マリーナは両方の走行を中継。その2本目は最終ステージで、パワーステージに指定されている。
■ヤルモ・マホネン(FIAラリーディレクター)
「ここ何年で最もコンペティティブなシーズンとなっているが、その展開が今回も続きそうだ。マニュファクチャラー同士の戦いは張り詰めているが、新規定マシンの導入により今年はさらにレベルが高まっている。さらに、若手ドライバーが経験豊富なドライバーに果敢に挑んでいるほか、様々な勝者が誕生しており、初めてポディウムに上がったドライバーもいる。シーズンも終盤にさしかかり、スペインでも同様の興味深い展開が見られると確信している」
■ラリーデータ
開催日:2017年10月5-8日
サービスパーク設置場所:サロウ
総走行距離: 1,297.62 km
総ステージ走行距離:312.02 km (SS比:24.5%)
総SS数:19
■開催選手権
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