WRC第11戦スペインは10月7日、路面をグラベルからターマックに変えて競技2日目を走行し、セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)に13.0秒差をつけてクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)が首位に立った。一方、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)がトラブルに見舞われて後退し、Mスポーツがマニュファクチャラーズタイトル確定に王手をかける形勢となった。
浮き沈みの激しいシーズンを送っているミークにとって、今季唯一の優勝は3月のメキシコ戦にまでさかのぼる。しかし、ステージ路面が前日のダスティなグラベルから一転、舗装に変わったデイ2で、いち早くペースをつかんだ。この日最初のSSでベストタイムをマークすると、3番手から一気に首位に浮上。サロウ近郊に設定された残りの6SSでもアドバンテージをコントロールした。
「今日の午前は、みんなを飛び越すことができた。午後は、つまらないミスをしないようにすることに徹したよ」とミーク。
「グラベルが昨日で終わったので、できるだけ早く追い付かなくてはならないと分かっていた。僅差だったし、舗装で差をつけるのは難しいからね」
一方、2位争いは激戦となり、オジエ、ヌービル、オィット・タナック(フォード・フィエスタWRC)、ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)がステージ毎に順位を入れ替え、一時はこの4人が1ケタ秒台にひしめきあったほど。
オジエは午前、ハンドリングトラブルに見舞われた。急場しのぎのセットアップ変更でつなぎながら、午後に入るとステージウインを3本たたき出し、最終的に2番手につけた。そのオジエにわずか1.5秒差の3番手につけたのはタナック。ハンドリングのトラブルに加え、グラベルスペックのギアボックスにダメージを受け、交換を余儀なくされるなど、トラブルも多かった。この日最後から2本目のステージではタイトなコーナーのイン側にあったコンクリートブロックに引っかけたが、深刻なダメージは避け切った。
ヌービルは午前中ひどいアンダーステアに悩まされた上に、油圧システムが不調に。リエゾンで停車して応急処置に当たった後、エンジンが息を吹き返し、何とか次のステージのスタートに時間内に到着しようと急いだヌービルだったが、スピンしてリアにダメージ。タイムコントロールの到着が3分遅れたことで30秒のペナルティを受け、SS9終了時点で8番手まで後退してしまった。
ヒュンダイの受難は重なり、チームメイトのソルドと、前日を首位で折り返したアンドレアス・ミケルセンは、SS12でタナックと同じブロックにヒット。ソルドはステアリング破損、ミケルセンのマシンは衝撃でタイヤがもげてしまい、揃ってリタイアとなった。
オジエとタナックが2番手、3番手につけ、ヒュンダイ勢が揃って後退したことで、Mスポーツはマニュファクチャラーズタイトルが目前に迫っている。Mスポーツは、このスペイン戦でヒュンダイより23ポイント以上多くのポイントを獲得すればタイトルが確定する。現状の順位のままフィニッシュを迎えることができれば、2戦を残した時点でMスポーツのマニュファクチャラーズタイトル獲得が決まる。
トヨタ・ヤリスWRCのユホ・ハンニネンは、この日2本のベストタイムを刻み、前日8番手から4番手に浮上。背後には、オジエとのタイトル争いのために少しでも多くのポイントを狙うヌービルが5番手まで挽回してきており、両者の差は19.2秒で最終日を迎える。同じくトヨタのエサペッカ・ラッピは、マッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタWRC)を抑えて6番手に。ステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC)、エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)、R5マシンのエリック・カミリ(フィエスタR5)がトップ10にくいこんだ。
最終日に設定されているステージは、6SS、74.26km。3つのステージを2回ループするが、その間にサービスは設定されない。最終SSのサンタ・マリーナはパワーステージに指定されている。ステージタイムのトップ5にボーナスポイントが与えられるため、激しいタイトル争いの中、ボーナスポイントを巡るパワーステージでのバトルにも注目が集まる。
WRCスペイン SS13終了後暫定リザルト
1. クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC) 2:16:21.1
2. セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC) +13.0
3. オィット・タナック(フォード・フィエスタWRC) +14.5
4. ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC) +34.0
5. ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +53.2
6. エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC) +1:22.1
7. マッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタWRC) +1:39.8
8. ステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC) +2:00.7
9. エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC) +3:15.1
10. エリック・カミリ(フォード・フィエスタR5) +5:40.8