WRCラリーGBは10月27日、本格的な林道ステージを舞台にデイ2の競技が行われた。英国ウェールズ中部に設定された6本のスリッパリーなステージを終えて、地元英国のエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)が総合首位に立った。エバンスは、この日3本でステージベストをマーク。2番手につけたチームメイトのオィット・タナックに24.6秒差をつけている。3番手は同じくMスポーツのセバスチャン・オジエが続いており、マニュファクチャラーズタイトル確定が懸かる地元英国拠点のMスポーツがトップ3を独占。オジエもドライバーズタイトル確定に、また一歩近づいた。
母国戦という地の利に加え、ファンからの大きな声援を受けるエバンスは、あるコーナーに自身の名前をつけたコーナーも登場させてしまうほど。この熱烈な応援を背に受けたエバンスは、マディなコンディションに向けて開発された新タイヤを存分に使いこなした。この日は日差しも見られ気温も穏やかになり、林道はわずかに乾き始めてきた。自宅から5kmというエリアにステージが設定される明日、エバンスはこのようなコンディションが続くことを祈るばかりだ。
「日差しがどこかへ行ってくれるとありがたいね。ウェールズでは普段、こんなことは言わないけど」とジョークが出る余裕も見せたエバンス。
「母国戦でラリーをリードするのは少しプレッシャーではあるが、最高のポジションでもある。明日は、山場になると思う」
グリップレベルが常に変化するため、午前中は自信をつかむのに苦戦したドライバーが多い中、タナックは首位を行くチームメイトとの差を射程圏内に収め切った。しかし、フィエスタWRCのバランスには満足できず、午後にはその差がやや広がった。
選手権リーダーのオジエは、スリッパリーなセクションでは勇気を出し切れなかったことを認めたが、タナックの苦戦で利を得た形。ベストタイムを1本マークし、タナックとティエリー・ヌービル、ドライバーズタイトルが懸かる残り2人の間に挟まれる順位に陣取った。
ヌービルとオジエとの差は10.3秒。ヌービルにとっては、タナック以上にフラストレーションのたまる一日となった。前日夜は開幕ステージ、ティア・プリンスに向かう際に、ヒュンダイi20のエンジンがかからず、到着が遅れ10秒のペナルティを受けた。このトラブルが解決しないまま、この日を迎えたヌービルは、やはり最初のステージ、メイヘリンをスタートした直後、3つめのジャンクションでエンジンがストール。アンダーステアに悩まされた上に、コ・ドライバーのニコラ・ジルソウルが声を出せないハンディも負い、ヌービルにとっては厳しい戦況となった。
ヤリ‐マティ・ラトバラもアンダーステアに苦戦した。トヨタ勢最上位の5番手につけたラトバラの0.1秒後には、クリス・ミークが続いている。ミークは、午前の3SSを終えた時点でトップ3に食い込んでいたが、2ループ目で順位を落とした。
土曜日のデイ3は、9SS・142.38kmのステージが設定される長丁場。競技時間は17時間に及ぶ。早朝にスタートした後、サービスなしで7本を走行した後、最後の2本は陽が落ちてからのナイト走行となる。
WRCラリーGB SS7終了時点暫定リザルト
1. エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC) 1:09:20.9
2. オィット・タナック(フォード・フィエスタWRC) +24.6
3. セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC) +26.8
4. ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +37.1
5. ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) +41.9
6. クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC) +42.0
7. アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC) +52.0
8. ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:13.9
9. ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC) +1:22.9
10. ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC) +1:43.5