大御所WRCメディア、マーティン・ホームズが、長年の経験に基づく独自の視点で切り込むMartin’s eye。ラリーGBでは育成するドライバー4人すべてがワークスエントリーという誇らしい快挙を果たしたイーブン・マネジメント。オーナーであるエリック・ベイビーに、今後について聞いた。
ノルウェーの企業家、エリック・ベイビーは、開催中のラリーGBで自身が率いるイーブン・マネジメントが育成する4クルーが勢揃いした姿を見て、誇りを感じていた。エサペッカ・ラッピ、ポンタス・ティデマンド、オーレ・クリスチャン・ベイビー、アンドレアス・ミケルセン、4人がすべてワークスドライバーとしてこのイベントを迎えたのだ。
そしてもちろん、一番気にかかるのは自身の息子であるオーレ・クリスチャン・ベイビー。初めてシュコダ・ワークスのドライバーとして、WRC2チームにエントリーを果たした。
ーーオーレ・クリスチャン・ベイビーについて。
「OC(オーレ・クリスチャン・ベイビーの愛称)のラリーGB以降のことについては、まだクリアになっていることは何もないが、期待値は高い。シュコダ・モータースポーツが彼に興味を示していることは、誰もが理解していると思うが、決定権は我々にない。シュコダとは、とてもいい協力関係にあり、何年も一緒に仕事をしている。アンドレアスはシュコダUKで走っていたし、エサペッカもシュコダ出身、ポンタスもだ。シュコダは、イーブン・マネジメントの仕事ぶりを分かってくれていると思うし、OCはシュコダのマシンで参戦しているAPRCで今年活躍している。彼にいい将来が待っていることを願っているよ」
確固としているのは、ベイビーがフィンランドのプライベートチーム、プリントスポーツと協力関係にあること。イーブン・マネジメントのドライバーのマシンを走らせているチームで、拠点はWRCフィンランドのルーヒマキに近い。
ーープリントスポーツとはどんなチームか。
「ここ5年間、プリントスポーツは急成長している。それが最初に如実に表れたのが、エサペッカ・ラッピが入ってきた時だ。プリントスポーツ最大の特徴は、ラリーへの情熱にあふれた勤勉なチームであるということだと思う。特にオーナーのエーロ・ライコネンだ。彼は、すべてのイベントでチームを指揮している。彼の手法は、安価だがプロフェッショナルな方法だ。だから、彼らを気に入っているし、彼らと仕事をしている。エーロ自身もラリードライバーなので、このスポーツのことをよく知っているし、若手ドライバーへの対応もいい。どのように指導するかをよく分かっているし、若手のドライバーの分析方法も分かっている。エーロはOCの成長にも、とても助けてもらっている。まったくのプライベートチームだ。自分たちでマシンを所有し、自分たちでビジネスを運営している。彼らのチームからOCを走らせてもらっているのは、これで3年目。最初の2年はシトロエンでジュニアWRCに、そして今はR5だ」
ーー今年のOCを振り返って、最大の成果は何なのだろうか。 APRCでのリザルト?
「最大のことは、ポーランドで真っ向対決の末にポンタス(ティデマンド)に勝ったことだと思う。高速のラリーで、ポンタスはワークスカー、我々はプライベートのマシンだった。それがOCのブレイクになったと思うよ」
ーーそして、他のドライバーについても。アンドレアス・ミケルセンは、落ち着き先が決まり、ハッピーになったのだろうか。
「アンドレアスは、ヒュンダイでとてもハッピーだ。とてもプロフェッショナルで大きなチーム。施設も整っているし、とてもいいマシンを持っている」
ーーポンタス・ティデマンドは。
ーーそしてラッピ。
「EP(ラッピの愛称)は、将来の世界チャンピオンだと言っていい。彼は、何かが違う。とても決意が固い。彼のドライビングスタイルは、力が入り過ぎずにスマート、コーナーにストレートで入っていく今どきのスタイルだ。彼の性格からしても、とにかく勝ちたい男なのだということが一目で分かるよ」
(Martin Holmes)