WRCフィンランドのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。選手権リーダーとしてシーズン後半戦の初戦を迎えるティエリー・ヌービル。サマーブレイクを選手権トップで過ごす初めての経験を語った。
●WRCプレイベントカンファレンス出席者
ティエリー・ヌービル=TN(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
エサペッカ・ラッピ=EL(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
クレイグ・ブリーン=CB(シトロエン・トタル・アブダビWRT)
テーム・スニネン=TS(Mスポーツ・フォードWRT)
Q:ティエリー、27ポイント差の選手権首位でラリーフィンランドを迎える。サルディニアでの勝利から長いブレイクを挟んだが、今の気分は? リフレッシュできたか。重要なシーズン後半に向けての準備はどのように進めてきたのか。
TN:言う通り、ブレイクはかなり長かったが、それでもやることはたくさんあるし、ベルギーでもいくつかイベントに参加した。自由な時間を楽しむことにも努めた。選手権をリードしているのは、いい気分になるものだよ。この気分でブレイクを過ごすのは初めてなので、心から満喫したよ。
Q:このイベントに向けて、テストにかなりの時間を費やしてきた。ヒュンダイはこのイベントでは、これといった好成績を残してはおらず、君がポディウムに上がった姿も見ていない。昨年はグリップに苦戦していたが、今年は違う展開になるか。
TN:少しだけ、イエスだね。かなり作業を行ってきたのは事実だ。自分自身がマシンに乗ったのは2日間だけ。1日はエストニアで、1日はここだ。でも、アンドレアスもさらに2日テストを行い、エストニアでラリーに参戦したヘイデンもだ。だから、チームはいいデータを得ることができた。日曜日にこのフィンランドで行ったテストの内容には満足しているが、この週末はトヨタのホームでのイベントでもある。彼らは今回もかなり速いと見ているよ。
Q:午前中のシェイクダウンはどうだったか。
TN:よかった。スリッパリーで、少しルーズだった。明日も同じような感じになるだろう。少し苦戦するだろうということは覚悟しているが、同時に、自分が何に集中するべきなのか、しっかり見えている。選手権争いのことだ。この週末はしっかりポイントを穫っていかなくてはならない。もし、可能なら、オジエの上を狙って差を広げたい。
Q:マシンのフィーリングはよくなったということだが、昨年と比べてどの要素が変わったのか。
TN:昨年の終わりに新しいエアロダイナミクスを投入したが、高速ステージのフィンランドではこれが最も重要な要素の一つであることは間違いない。サスペンションのトラブルはあった。しかし少し変更を行い、マシンが改良された。
Q:エサペッカ、昨年はあらゆるWRCドライバーが抱く夢、フィンランドで勝つことを実現した。今年、連覇ができるのか、この週末は注目が集まる。可能だと信じているか。
EL:走行順は4番手でティエリーほど厳しくはないので、もちろん挑むが、それでも走行順はベストではない。道は、最終的にどんどんよくなっていく。今年、再び勝つのはタフだと思うし、とても難しいことだろう。間違いなくビッグチャレンジだ。
Q:今年はコースが大幅に変更され、よりテクニカルになった。この変更について、どう思うか。自分好みか。
EL:間違いなく、よりナローな道は鍵になると思うが、どれもそれほど低速ではなく、いくつかのテクニカルな区間同様、速度を抑えることになるのはルーズグラベルだし、グリップはそれほど高くない。特に2ループ目に、隠れていた石がライン上に出てくるようなサプライズがあるかもしれない。そうなれば、これで戦況が変わることにもなる。それもまたフィンランドだが、これまでとは少し違う。
Q:今年はどんなことを学んだか。ミスをしても、すぐに対応するようになったように見えるが。
EL:このレベルでは、ほとんど限界まで攻めなくてはならない。自分は、例えばティエリーよりも経験が少ない。彼らと戦うには、限界まで攻めなくてはならない。ミスも起こるが、限界レベルで走っていれば、そのほとんどが学習だ。自分は、どこが限界なのかを学ぼうとしているし、そのわずかに下の部分であろうと努力している。
Q:クレイグ、フィンランドの高速ステージの準備としてラリーエストニアに参戦したが、これと1日のテストで準備が整った手応えはあるか。
CB:エストニアは全く同じ性格のイベントではないが、速さに慣れるためにはエストニアより速いところはないと思う。その面で、あのラリーに参戦できたことは本当にうれしかったし、ここに来るに当たって大きな自信になったことはもちろんだ。
Q:2016年はポディウムに上がったが、昨年は厳しい内容となった。あれ以来、マシンが大幅に改良された感触はあるか。
CB:2016年はいい思い出になったし、一生忘れない。昨年は、全体としていずれにしても難しかったと思う。マシンはあれ以来、今年の初めから比べてもかなり改良された。今回は新しいフロントジオメトリーも投入するので、アルゼンチンよりも前に施した変更がとても補われた。かなり自信を感じている。シェイクダウンでは、あまりプッシュはしなかった。アルゼンチンでは、自分とクリスが全く同じ状態で、この2台に新しいジオメトリーを投入した。これで全部の問題が解決されると思っていたが、ラリーはそうはならなかった。だから、地に足をつけ続けて、出来る限り全部のステージを走らなくてはならない。
Q:テーム、昨年のフィンランドでは、初めてWRカーで母国戦に参戦した。見事なペースを見せたが最終日にポディウム圏内から脱落した。今年はWRカーの経験もかなり積んでいるので、さらに本領を発揮できるのでは。
TS:もちろん、そうありたいね。昨年は、WRカーでの参戦はまだ2回しかなかったので限界まで攻めて自分のスキルを披露しなくてはならなかった。今年も同じような力を見せたいが、ラリーをフィニッシュして来年のために道を走り込む必要もある。
Q:究極のバランスだ。好リザルトのためにプッシュはしたいが、フィニッシュもしたい。このバランスを取るのは難しいことなのでは。
TS:もちろん、特にこのフィンランドではね。どのドライバーも限界まで攻めるし、どこもかしこも全開で走らなくてはならない。それでなければ、大量にタイムをロスしてしまう。
Q:WRCイベントの参戦が増えるようになって、より人気も高まってきたようだ。昨晩は、ジャーナリストから質問攻めに遭っていた。今年はよりプレッシャーも感じるか。
TS:そうでもない。昨年は2戦だけで、自分の力を思い切り披露しなくてはならなかった。今シーズンはもう少しチャンスがある。1ラリーだけが全てではない。でも、ここではいいリザルトを収めなくてはならない。