2018年全日本ラリー選手権第8戦「ラリー北海道」は、9月14日(土)にレグ1の7SS、119.84kmを走行し、勝田範彦/石田裕一(スバルWRX STI)が、新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI)に10.3秒差をつけてトップに立った。
土曜日のオープニングとなるSS2「リクベツ・ロング」を制したのは、奴田原文雄/佐藤忠宜(三菱ランサーエボリューションX)。本格的な林道ステージとなるSS3「ヤム・ワッカ」は、新井が2番手の勝田にこのステージだけで10.2秒差をつけてみせる。前日まで2番手につけていた鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)はサイドブレーキが戻らなくなるトラブルに見舞われ、10秒以上をロス。勝田にかわされて3位にポジションを落とした。また、5番手につけていた福永修/齊田美早子(三菱ランサーエボリューションX)もコースオフを喫して戦列を離れている。
SS3はサイドブレーキのトラブルが解消した鎌田がベストを記録し、2番手に浮上。「クンネイワは難しいと分かっていたから、ここは抑えて走った」と振り返った新井が0.5秒差で続く。この日2回目のリクベツ走行となるSS5では再び奴田原がベスト。午前中のセクションを終えて、首位の新井と2番手の鎌田が15.6秒差、3番手の勝田が18.3差で追う。以下、4番手に奴田原、5番手にSS2で右リヤのドライブシャフトを壊し、我慢の走りとなった柳澤宏至/加勢直毅(スバルWRX STI)がつけている。
陸別でのリモートサービスを経て、午後のセクションへ。SS6は勝田がベストを獲り、鎌田をかわして2番手に浮上。SS7はリクベツマイスターの奴田原が3度目のベストを獲得する。この時点で勝田との差を21.6秒に拡大し、順調にトップをキープしていた新井だが、SS8でまさかのトラブルが待っていた。SS8のスタートから約18km地点で左フロントタイヤをパンク。このステージだけでベストの勝田から37.6秒も遅れて、4番手まで順位を落としてしまったのだ。それでも新井は最終のSS9では先頭スタートの有利を活かして、ダストのない視界良好の状態でアタック。2番手タイムの勝田に5.7秒差のベストを刻み、2位に順位を戻してみせた。
首位で初日を終えた勝田は「首位ですが、かなりの僅差です。新井選手のパンクで面白い展開になりましたけど、上位にはほとんど差がありません。明日はもう一度新たな気持ちで頑張ります」と、慎重なコメントを残した。10.3秒差の2位につける新井の直後には、ドライブシャフトを破損しながらも我慢の走りとなった鎌田が11.5秒差の3位。「スバル勢の3人が本当に速かった」と肩をすくめた奴田原が4位で続く。上位4人は13.1秒差以内で競っており、最終日に大きく順位が変わる可能性もある。
JN5の首位はシトロエンDS3 R3T-MAXをドライブする川名賢/キャシー・デュロッソウ。同じくDS3を駆る小濱勇希/馬場雄一が43.7秒差の2番手につけている。SS4では優勝候補の一角に挙げられていた横嶋良/木村裕介(プジョー208 R2)と眞貝知志/箕作裕子(トヨタ・ヴィッツGRMN)が揃ってロールオーバー。どちらもマシンのダメージが大きくリタイアを決めた。ラリー序盤は「マシンの調子が悪く、思うように攻められない」と語っていた川名だったが、リモートサービスでマシンを修復すると、SS6でベスト刻む。さらにSS8では小濱を30秒以上も突き放すベストタイムを叩き出し、首位に躍り出た。「リモートサービスでクルマを直してもらって、気持ちよくドライブできるようになり、小濱選手を逆転できました。今回は久々に組んだコ・ドライバーだったので、ラリー中にコミュニケーションを取りながら、徐々にペースを上げていきました」と、川名は笑顔を見せている。
JN4、初日トップに立ったのはベテランの石田雅之/遠山裕美子(トヨタ86)、2番手には地元出身の関根正人/草加浩平(スズキ・スイフトスポーツ)、3番手には山口貴利/山田真記子(ダイハツ・ブーン)がつける。サバイバルレースとなったこのクラス、SS3ではポイントリーダーの上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビックタイプR)と香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビックタイプR)がコースオフ。SS4では曽根崇仁/藤田めぐみ(トヨタ86)もラリー続行を諦めている。ラリー前半は「思うようなグリップを得られていない」と不満を表していた石田だったが、終わってみれば、ラリー北海道を得意とする関根に33.4秒差。シーズン初勝利をかけて最終日に臨む。
JN3はすでに早々に今季のタイトルを決めている天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が圧倒的な強さでラリーをリードした。2速が使えなくなるトラブルに見舞われながらも、盤石の連勝記録をさらに伸ばしている。石川昌平/竹藪英樹(トヨタ・ヴィッツ)と大倉聡/豊田耕司(トヨタ・ヴィッツCVT)による2番手争いは、SS7まで大倉がリードしていたが、SS8で石川が逆転。それでもふたりの差は33.2秒と、明日も今日以上に白熱のバトルが繰り広げられそうだ。
今シーズン全日本デビューながらも、2勝を挙げている長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)がラリー北海道初参戦とは思えない安定した走行を披露。一方、前戦いわきで待望の全日本選手権初勝利を挙げた鎌野賢志/蔭山恵(トヨタ86)は、思うようにペースが上がらず、長﨑を追うことができない。「後半になるにつれて、北海道のスピードレンジにも慣れてきました。基本的にはマシンを労わりながら走っています。それでも首位で戻ってくることができて嬉しいです」と、長﨑は安堵の表情を見せた。
JN1はスタート前に「絶対完走」を掲げていた古川寛/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)が、首位を快走。2番手の三苫和義/遠藤彰(ホンダ・フィット)、3位の小川剛/佐々木裕一(ホンダ・フィット)をしっかりと抑えてみせた。「序盤は少しペースを落としすぎた」という古川は、SS4で三苫に首位の座を奪われるが、SS6で奪還。「北海道は完走できるか不安でしたが、無事ここまで走りきれて良かったです」と、ホッとした表情を見せている。
全日本ラリー選手権 ラリー北海道 レグ1終了時点結果
1. 勝田範彦/石田裕一 スバルWRX STI 1:16:27.5
2. 新井敏弘/田中直哉 スバルWRX STI +10.3
3. 鎌田卓麻/市野 諮 スバルWRX STI +11.5
4. 奴田原文雄/佐藤忠宜 三菱ランサーエボリューションX +13.1
5. 堀田 信/河西晴雄 三菱ランサーエボリューションX +5:27.3
6. 川名 賢/Cathy DEROUSSEAUX シトロエンDS3 R3-MAX +6:12.8
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10. 石田雅之/遠山裕美子 トヨタ86 +9:16.2
12. 天野智之/井上裕紀子 トヨタ・ヴィッツ +10:32.9
13. 長﨑雅志/秋田典昭 トヨタ86 +11:55.4
20. 古川寛/廣田幸子 スズキ・スイフトスポーツ +13:17.4
ラリー北海道 リザルト速報ページ
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