WRCラリートルコは9月15日、デイ3に設定された3SSを2ループする130.62kmのステージで競技が行われた。前日首位に立った選手権リーダーのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)、選手権2位でヌービルを追う世界王者のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が立て続けにリタイアするなど、ラリーは大波乱の展開となるなかで、ラリーフィンランドから2連勝中と絶好調のオィット・タナック(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位に浮上。3連勝をかけて最終日を迎える。
この日を総合首位で迎えたヌービルは、最初のステージとなるSS8で左フロントのサスペンションを破損し、パーツがボンネットを突き破るトラブルに見舞われた。ヌービルは、このステージを何とか走り終え、サスペンションの部品を前後で入れ替える応急処置を試みたものの、あまりにもダメージが大き過ぎリタイアを決断した。
これでオジエが後続に22.5秒差をつけて首位に立ったが、続くSS9のフィニッシュ手前で右フロントのウイッシュボーンを破損。オジエは、電話でサービスパークにいるエンジニアにアドバイスを受けながら、トラブルを抱えた部分の交換を試みた。
「絶対に無理だと思った。トラック・コントロールアームを戻そうとしたが、ウィッシュボーンがサブフレームにガッチリ入り込み、装着することができなかった。必死でがんばったが、ほぼあきらめモードだった。(自分の)エネルギーがもうゼロだったからね」とオジエ。
修復のため次のステージのタイムコントロールへの到着が遅れ、60秒のタイムペナルティを科されたオジエは4番手に後退。しかし、すぐさまSS10でベストタイムを獲得してみせ、ここからオジエの追い上げ劇が始まるかに見えた。しかし、オジエのその願いは水の泡と消えてしまう。午後最初のステージとなるSS11でワイドにスライド。オジエのマシンは木をなぎ倒し、コーナーのアウト側でスタックしてしまった。
この結果、前日のほとんどで首位に立っていたアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)が首位を奪還したが、トランスミッションのトラブルを抱え、午後のステージは全てリヤ駆動のみでの走行を強いられた。これで4分近くのタイムロスとなり、5番手に後退した。
代わって首位に立ったのがタナックだ。自身も認めるようにタナックのペースは鈍かったものの、石が散乱する道でも落ち着きを維持したことが功を奏した。
「初めからタフになることは分かっていたし、パフォーマンスも出ていなかったので、道の上にとどまり続けなくてはならなかった」と語るタナックは、同じトヨタのチームメイト、ヤリ‐マティ・ラトバラに13.1秒差をつけてこの日を締めくくった。ラトバラが総合2番手につけ、新生トルコ戦でトヨタの1−2フィニッシュも見えてきた。
ヒュンダイのヘイデン・パッドンが、ラトバラから1分10秒5遅れの3番手。以下、テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)、ミケルセン、ヘニング・ソルベルグ(シュコダ・ファビアR5)がトップ6に続く。
シトロエン勢にとっては、悪夢の一日となった。クレイグ・ブリーンのシトロエンC3 WRCは出火で全焼。マッズ・オストベルグはターボの破損でストップした。また、トヨタのエサペッカ・ラッピは、6番手走行中にクラッシュ、リタイアを喫している。
競技最終日となる日曜日には、4本のSS、34.98kmが設定され、最終の7.14kmのステージがパワーステージに指定されている。距離こそ短いが、ここまでの2日間と同様に厳しいコンディションが続く。タナックが3連勝を飾ることに成功すれば、シーズン3戦を残してタイトル争いは近年では最もエキサイティングな三つ巴の戦いとなる。注目のオープニングステージ、SS14は日本時間9月16日(日曜日)16時8分にスタートする。
WRCトルコ SS13後暫定結果
1. オィット・タナック/マルティン・ヤルベオヤ トヨタ・ヤリスWRC 3:34:22.5
2. ヤリ‐マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ トヨタ・ヤリスWRC +13.1
3. ヘイデン・パッドン/セブ・マーシャル ヒュンダイi20クーペWRC +1:10.5
4. テーム・スニネン/ミッコ・マルックラ フォード・フィエスタWRC +3:22.2
5. アンドレアス・ミケルセン/アンデルス・ヤーゲル ヒュンダイi20クーペWRC +6:25.4
6. ヘニング・ソルベルグ/イルカ・ミノア シュコダ・ファビアR5 +11:55.5
7. エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット フォード・フィエスタWRC +16:49.0
8. ヤン・コペッキー/パベル・ドレスラー シュコダ・ファビアR5 +17:05.9
—
12. セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア フォード・フィエスタWRC +21:04.8
14. エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム トヨタ・ヤリスWRC +28:52.2
19.ティエリー・ヌービル/ニコラ・ジルスール ヒュンダイi20クーペWRC +37:19.1