TOYOTA GAZOO Racingは、全日本ラリー選手権2019年シーズン全10戦にTGR Vitz GRMN Rallyで出場することを発表した。
ドライバーおよびコ・ドライバーは、昨年に引き続き眞貝知志と安藤裕一が務める。チームはすでに開幕戦に向けて着々と準備を進めており、2019年シーズンも全日本ラリー選手権参戦を通じて「もっといいクルマづくり」を継続していくという。
豊岡悟志(チーム監督)
「2018年はヴィッツGRMNを投入しましたが、想定していたよりも早い段階からスピードを示すことができました。サービスに関してもレベルが上がってきていて、メカニックたちも、全員が同じ方向で物事を考えられていると感じます。また、ラリーには学べることが多いので、それを人材育成の場として広げていくことも自分たちの役割です。2018年はクルマをトータルで見る車両開発試験課という部署から若手を人選してチームに参加してもらいました。この試みは2019年もぜひ続けていきたいと思っています。
新しいシーズンは、クルマのさらに細かい部分へのトライを増やしてスピードを高め、自分たちの身にしていきたいですね。ライバルであるR車両と戦って勝つところまでいきたい。また、トミ・マキネン・レーシングに出向しWRCの現場で仕事をしていたメカニックを加えるなど、新たな取り組みも続けていきますのでご期待ください」
宮本昌司(チーフメカニック)
「新しいクルマ、新しいクルー、さらに人材育成という様々なテーマに取り組んだ2018年でした。クルマづくりについては試行錯誤でしたが、色々な仕様書を紐解いたり、トヨタ社内の智恵を借りて、最終的に戦えるところまで持っていくことができました。クルーのふたりはしっかりとフィードバックを出してくれますし、私たちの考え方や想いを理解して、クルマづくりのためにハンドルを握ってくれている信頼感があります。また、メカニックたちはそれぞれの目標に向けて色々な部署を巻き込んだり、主体的に考えて行動するという点には大きな成長を感じました。
2019年シーズンは、応援してくださる皆さんがワクワクできる順位を走りたいと思います。そのため、トヨタ生産方式(TPS)の考え方を入れていこうかと考えています。たとえば窓を拭く、工具を取る、物の配置や準備も含めて、ベストなものを突き詰めていけばクルマ作りにも反映されていくのではないかと思います。そういうところで標準化を図り、さらなるカイゼンも行うことで後進への環境も整えていきたいと思っています」
佐々木良典(GRプロジェクト推進部)
「このプロジェクトを始めた時から、なんとかラリーの経験を活かしたクルマを世の中に出して、それで勝ちたいという目標を掲げてきました。第4戦の久万高原ではドン底でしたが、シーズンのうちに“いかに速く走らせるか”というレベルまでもっていけたのは大きな成果でした。最終的には1回勝つこともできましたし、思いのほか順調だったと思います。冷却関連を一生懸命やったとはいえ、実戦の舞台は違いますから、デビュー戦からそれなりに走れたのでホッとしましたね。
クルマの弱点も強みも分かってきたので、2019年はそこを克服し伸ばしていきたいですね。また、全日本ラリー選手権での活動が将来のクルマ開発に繋がるよう、エンジニア側でも人材を育成する方法を模索しています。実際の戦いの場で様々な経験をして、クルマづくりの勘どころを身につけられるようにしたいですね」
眞貝知志(ドライバー)
「ヴィッツGRMNのポテンシャルの高さをタイムで証明することができたという点で、前向きに2018年シーズンを終えることができました。タイムの秘密はこの車の最大の特長でもあるスーパーチャージャー付エンジンの『アクセルコントロールが正確にクルマの挙動に反映され、効率良く車を加速させることができる』という点だと考えています。投入序盤こそトラブルもありましたが、いわきで1勝を挙げられた点は良かったと思います。ただ、ドライビングミスによるポイントの取りこぼしがあったことはドライバーとしての反省点ですね。
2018年に初めてチームに加わりましたが、新しいセッティングやアイテムをどんどん試させてくれる。たとえそれがダメでも、次に繋がる経験やデータが得られればいいとブレずに言ってくれることがすごく心強かったですね。
2019年は、序盤戦から新しいアイテムが投入される予定なので、ライバルと終盤まで秒差で争えると期待しています。私自身も目の前の勝負だけでなく、ヴィッツやトヨタ車をもっと良くすることに貢献できるよう、開発者としての目も忘れずに取り組んでいきたいです」
安藤裕一(コ・ドライバー)
「2018年シーズンは、クルマやチームとともに自分自身も成長できたと思います。実戦のなかで様々なトライをしてクルマを鍛えるところに身を置いたことで、今後に向けて糧となる経験をさせてもらいました。一方で、自分に至らない部分もありました。たとえばチームやドライバーが各自の仕事に集中できるよう、全体のコントロールをもう少しできたらと感じていますので、2019シーズンでは改善していきたいですね。
チームはチャレンジに対する寛容さが印象的でした。何かを試した結果や変化を蓄えにする。目の前のラリーだけではなく、先を見た視点で取り組んでいることを感じました。
2019年は、もっといいクルマづくりにいかに貢献できるかを目標にやっていきたいと思います。ドライバーも、2018年シーズンのグラベルラリー連戦を経験して引き出しが増えましたし、応援してくださる方に勝つ喜びを提供できたらと思います」