ゼロカーを支える高山自動車短期大学の学生メカニックたち – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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ゼロカーを支える高山自動車短期大学の学生メカニックたち

©Jun Uruno

10月12日〜14日にかけて岐阜県高山市で行われた全日本ラリー選手権第9戦『第46回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2018 Supported by Sammy』。そのゼロカーを務めた高山自動車短期大学ラリーチームをご存じだろうか。

2年次の選択科目である“世界ラリー実習”では、近年アジア・パシフィックラリー選手権の1戦であるラリー北海道に参戦を続け、連続完走を果たしていたのだが、今年はラリー開催直前の9月6日に発生した北海道胆振東部地震の影響を鑑みて参戦を取りやめることとなったのだ。4月から練習を積み重ね、国際格式ラリーの舞台で走るラリーカーを整備することを目標にしてきた学生メカニックたちにとって、なんともやるせない結末となってしまったが、その後も余震が続いていたため断腸の思いでの決定であった。ラリー以前に、学生たちの安全には代えられない。学校としても正しい判断だったと言えるだろう。その思いをぶつける場が、地元高山で行われた全日本ラリー選手権、ハイランドマスターズへの参加であった。

Takuto Nishio

今回、学生メカニックたちが整備するのは競技車両ではなく、コースの安全を確認するゼロカー。ドライバーを務めるのは高山自動車短期大学の大橋智樹助教だ。学生メカニック4名にOBが加わり作業が行われていく。最初は緊張気味だった学生たちにも徐々に笑顔が見え始め、最後は恒例となった“行ってらっしゃい!”の掛け声でマシンを送り出す。もちろん実際に競技に参戦する車両となればひとまわりもふたまわりも緊張感は上だろう。しかしゼロカーもラリー全体を支える重要な役割を担うクルマ。万が一にもトラブルや整備ミスなどがあってはならないし、完璧な整備をこなすという意味では競技車両もゼロカーも変わらない。

ドライバーの大橋助教は、「ゼロカーは選手が安全にタイムを出せるためのクルマ、です。選手目線で危ない部分を見つけるのが仕事だと思います。高山では6年目か7年目くらいになりますね。自分のラリーではないので、完走は絶対ですし、無理しちゃいけないし……観客の方たちが喜ぶようなかたちだといいですね。学生たちは、今回これが本戦になってしまいましたが、得るものは当然あると思いますので、終わった後にでもゆっくり話をしてみたいと思います。本当は本戦の北海道に行ってもらいたかったですが、こればかりは仕方がないですね……」とサービス作業を見守りながらコメント。

Takuto Nishio

チーム監督を務める坂井歩教授はこのラリー参戦について、「北海道を欠場ということで、地元高山のラリーに出場することとなりました。ゼロカーで競技車両ではありませんが、途中でいなくなるわけにいかないクルマですので真剣にサービスをするべきですし、学生の教育としてはいい機会だと考えています。学内でもきちんとしたかたちで取り組むと言う話をとおしまして、金曜日も学生を連れてきて車検も見させましたし、セレモニアルスタートも見せて、ラリーの流れや雰囲気も知ってほしいなと。例年以上にきちんとしたかたちで運営しています。大橋先生は久々のラリーでしたが、今回はきちんと彼に運転してもらって、それを学生に支えてもらうというかたちでよかったと思います。最終日のサービスではフロントの車高調整やアライメント調整など、制限時間を気にしながらの作業も実施でき、そういう面でも良かったですね。これで少し達成感と自信をもってくれると、その先が楽しみだなと思いますね」

大塚悠矢/エンジン

Takuto Nishio


今回のラリーで思いましたが、めちゃくちゃ面白いですね。クルマが仕上がって出て行くという。それだけ経験できただけでも良かったなって思います。トレーニングが過酷だったので、これだけ作業ができるようになったのはうれしいですね。いい経験になりました。やってよかったと思います。集中力や、周りを見る力などがついたと思うので、ここで学んだことすべてを今後に活かしていきたいです。

小竹孝尚/室内

Takuto Nishio


北海道に出られないのは残念でしたが、そこに向けてやってきた経験はいい経験になったと思います。練習は辛いこともありましたが、みんなで楽しくやれたのではないかなと思います。現場の雰囲気は想像以上に緊張してしまい、色々と頭が回らなかったりしました。周囲のサービスを見て回りましたが、とても手際がよかったり、自分たちとの経験の差を感じました。みんなでひとつのクルマを整備するという経験は社会に出ても大きな財産になるかなと思っています。

澤田明秀/下まわり

Takuto Nishio


APRCのラリー北海道に出ていると知ってこの学校に入ったので、北海道に行けなかったのは残念ですが、実際にラリーに出てみて、初めてということもありますし、失敗してはいけないと言うプレッシャーを感じてしまいましたが、やってみると楽しいなとあらためて思いました。この学校に入ってラリーチームに入って良かったなと思います。ラリーで大切なのは周囲との意思疎通なので、安全作業やきちんとした整備の力は社会に出た時にも役に立つと思います。

町谷望/下まわり

Takuto Nishio


最初はちゃんと整備できるか心配でしたし、緊張して固まってしまうんじゃないかと考えていました。それでも実際にやって、100%ではないにしろ無事に終えることができ、クルマが出て行くのを見届けることができたのはうれしかったです。ほかのサービス作業を見て回った時には、ほかの方が落ちついて冷静に作業して、楽しくやっているように感じられました。あらためてコミュニケーションの重要性を学ぶことができたと思います。来年のラリーチームに入る人たちには自分たちの分まで北海道で頑張ってほしいと思います。



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