この数週間、波乱の時間を過ごしたMスポーツ・フォードは、今週開催されるWRCフィンランドに、テーム・スニネンとガス・グリーンスミスの2台のフォード・フィエスタWRCで挑む。
最初の波乱はエルフィン・エバンスの欠場。WRC公式プロモートイベントとして開催されたラリーエストニアに参戦した際、ジャンプの着地時の強い衝撃で背中を負傷したのだ。エストニア同様、ブラインドクレストやジャンプの多いフィンランドでは体への負担が大き過ぎることから、ドクターストップ。代替に抜擢されたのは、R5でWRC2プロに参戦を予定していたガス・グリーンスミスだった。今季序盤にもWRカーでの参戦デビューを果たしている。
さらに今週に入って、スポット参戦を予定していたヘイデン・パッドンがテスト中にクラッシュ。本番車が深刻なダメージを負ったため、修復が間に合わず残念ながら出走を断念するという番狂わせが起きた。これにより、チームは地元の期待がかかるテーム・スニネンとグリーンスミス、2台体制でフィンランド戦に臨むこととなった。
前戦サルディニアでは、自己ベストの2位に食い込んでいるスニネン。テストを2日間行い、万全の態勢を備えた。
「このサマーブレイクは長かった、本当に長かった。ラリーマシンに戻るのが待ち切れない」とスニネン。
「ラリーフィンランドは、自分の好きなラリーの1つ。母国のラリーに出るのも特別なことだから、もちろんいい走りをしたい。今年は昨年よりもいいペースが出せているし、ここまで積んだ経験で上位を目指せると思う。マシンも12ヶ月前より一層コンペティティブになっている実感がある」
「もちろん、ライバルも前進を図っているので、現実を見なくてはならない。昨年は6位でフィニッシュしたので、少なくともそれより上でフィニッシュすることを目指す」
今季のポルトガルでWRカーでの初参戦を経験したグリーンスミス。今回のWRカーでの参戦の連絡を受けた33時間後には、フィエスタWRカーでのテストに臨んだという。
「まず、エルフィンが早く回復することを願っている。こんな形でまたWRカーに乗ることになるとは思いも寄らなかったが、自分たちがオファーされたことを心から誇りに思っている」と語るグリーンスミスは、5度目のフィンランド参戦。
「ラリーフィンランドは本当に達成感を感じるイベント。フィエスタWRCで走るフィーリングがどんなものなのか、想像もつかない。ポルトガルでWRカーデビューできたが、まだ成長しなくてはならない部分もたくさんあるし、フィンランドは格段にチャレンジング。自分は高速ラリーが得意なので、いい形で成長できればうれしい」
「ポルトガルの前は準備期間が6ヶ月あったが、フィンランドは6時間という感じ。連絡を受けて、次の日にはテストに向かったからね。すごく慌ただしかったが、すぐに乗りやすさを感じた。自分のポテンシャルは高まってはいるが、今はポディウムを狙うチャレンジに向かう道を上っているところ。出来る限り経験を積むことが優先だ」