フォルクスワーゲン・モータースポーツは、フル電動のレーシングマシンID.Rで中国湖南省にある天門山「通天大道」ヒルクライムに挑戦する日程を9月2日と発表した。標高差1100m・約11kmの通天大道は、99の険しいコーナーが待つ峠道。8年の工事を経て2006年に開通し、天門山の崖にある高さ131.5mの天然の岩の門、「天門洞」に続くワインディングとなっている。
速度の幅が25〜230km/hと極めてトリッキーな道に挑むのは、すでにID.Rでパイクスピーク、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフ、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでの記録を更新しているロマン・デュマ。
「天門山と通天大道そのものが、純粋に見事だ」とデュマ。
「自然の驚異と、優れた工事の技能が集結している。レーシングスピードでこの道を上っていくのは、ドライバーにとってまさにチャレンジ。最大の敬意を払って臨む」
通天大道の99のコーナーは、まさに試練の道。見ても分かるようにひとつひとつのコーナーがタイトヘアピンで、崖と道を隔てるのはわずかなコンクリートブロックしかない。路面はコンクリートでできており、グリップは高いが非常にバンピー。なかでもターン88は半径6mしかなく、加えて道幅は5〜6mほどとボトルネック状態となっており、時速は25km程度になると見られる。対照的に、最長セクションでは500kW(680PS)のID.Rは時速230kmにも達すると見られている。
この通天大道の99のコーナーに挑んだ人間とマシンは、ID.Rとデュマが初めてではない。これまでにもスポーツカーやオフロードマシンが挑んでいるが、これまで公式にスタートやフィニッシュが設定されていなかったため、正式なタイムが記録されたことはない。今回、ID.Rが記録設定を目指して走行することで、スタートとフィニッシュが公式に設定された格好だ。