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WRCトルコ:ヤリスWRC、リヤウイング形状を大きく変更

©Matt Jelonek

トヨタはWRC第11戦トルコで、これまでとは形状の異なるリヤウイングを装着して走行を開始した。

もっともトルコで新ウイングを投入したのはトヨタだけでなく他の3マニュファクチャラー(シトロエン、ヒュンダイ、Mスポーツ)も同様で、これは第9戦フィンランドの時に各マニュファクチャラーとFIAの間で合意したテクニカルレギュレーションの補正に基づく措置によるものだ。

2017年から導入されたワイドボディのWRカーレギュレーションでは、“リヤウイングはリヤバンパーから+30mmのオーバーハングが許される”とされているが、実はこの規則は、“ベース車のリヤバンパーから+30mm”なのか、“完成したWRカーのリヤバンパーから+30mm”なのかがはっきりと明示されていなかった。このため、フィンランドまでのWRカーは“WRカーのリヤバンパーから+30mm”のクルマと“ベース車のリヤバンパーから+30mm”のクルマなどが混在し、そのどちらもがレギュレーションに合致しているという状況だった。そこでFIAは遅ればせながら、自らのミスを認めてラリーフィンランドの場で“ベース車のリヤバンパーから+30mm”に統一することを要請。各マニュファクチャラーもこれに同意し、開発期間を設けトルコから新解釈に合致したリヤウイングが一斉に登場することになったというわけだ。

ヤリスWRCは今回の新形状ウイングの投入に先立ち、すでに第10戦のドイツでもオーバーハング短縮バージョンのリヤウイング(形状は以前と同様)を暫定仕様として使用してテスト。その成果を反映させた新形状ウイングを今回投入するかたちとなった。ウイングの形状そのもののほか、上面左右にあるバーチカルフィンの形状が大きく異なっていること、また、ウイングレットの前端が短くなっていることが分かる。

2019年トルコでのリヤウイング/Matt Jelonek

2019年モンテカルロでのリヤウイング/Naoki Kobayashi

気になるのは車体全体のダウンフォースバランスとパフォーマンスへの影響だが、そこは生き馬の目を抜くような世界選手権の技術競争の場。せっかくFIAが与えてくれた新パーツ導入のフリーチャンスをエンジニアたちがただ長さの変更だけで済ませるわけはない。他のマニュファクチャラーを含めて、当然この機会にパフォーマンスの向上をも狙ってきているはずで、相対的に各WRカーのパワーバランスはそれほど変わらないのでは、というのが多くの関係者の見方だ。



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